日本史の常識「源氏は三代で滅んだ」にまつわる謎(最終回)[嬰児殺害の噂] | 跡部蛮の「おもしろ歴史学」

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 竹御所の産んだ子が男子なら、鎌倉幕府の五代将軍(源頼朝の曾孫)となるだけに、源氏は三代で滅びず、ふたたび頼朝の血筋が続いた可能性もあったわけです。

 

 事実、初代将軍頼朝の御恩を奉じる御家人らが竹御所懐妊に歓喜している様子が『吾妻鏡』から窺えます。

 

 しかしそうなると、都合の悪い人たちがいました。

 

 執権として政治の実権を握る北条一族です。

 

 このため、彼女の出産を巡り、不穏な噂が流れました。

 

 竹御所の産所は北条時房(執権北条泰時の叔父)の屋敷。

 

 『吾妻鏡』によりますと、産所で竹御所が午前零時ごろに産気づき、翌日の午前4時に児を死産。その後、「悩乱」の末に午前8時ごろに亡くなるのです。

 

 難産の末、母子とともに助からないケースは現代でもありますが、嬰児が男子だったために北条一族の手にかかってしまい、そのことを知った竹御所が悩乱し、死亡したという推測は成り立つように思えます。

 

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