『吾妻鏡』建保4年(1216)3月5日付で、14歳になった竹御所が祖母の北条政子の計らいによって、鎌倉幕府三代将軍源実朝の御台所(京の公家出身の姫)の猶子になった事実が確認できます。
こうして竹御所はあらたに実朝夫妻という家族を得たものの、17歳の時、実朝が暗殺されて再び家族を失ってしまいます。
そして、事実上唯一の肉親といえる政子が嘉禄元年(1225)に亡くなると、その葬儀を竹御所がとりおこないました。
彼女が喪主の立場だったことがわかります。
実朝亡き後、政子が親代わりになっていたからでしょう。
その政子の死後、竹御所は15歳年下の四代将軍九条頼経の妻となりました。
おそらく、生前に政子がそうなるよう取り計らっていたのでしょう。
頼経が結婚生活を営める年齢なるのを待ち、竹御所は寛喜2年(1230)12月、こうして将軍御台所となったのです。
そして、竹御所は頼経の子を宿しながら、文暦元年(1234)、お産後に不審死してしまいます。
32歳の決して幸福とはいえない生涯でしたが、それにもまして死因については、不穏な噂があります。
(つづく)
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