藤原薬子は本当に希代の悪女だったか?②[二所朝廷] | 跡部蛮の「おもしろ歴史学」

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 桓武天皇が平安遷都して間もない頃の話です。

 

 延暦25年(806)3月に桓武が崩御すると、第一皇子の安殿(あて)が平城天皇として即位しますが、病がちで3年後に弟の嵯峨天皇へ皇位を譲り、上皇となりました。

 

 当時、病気と土地は密接に関係しているという認識があり、朝廷の役人がどこに落ち着けば上皇の体調が回復するのか探し回った結果、旧都の奈良が最適だと判断されたようです。

 

 奈良で平城上皇の宮殿作りが始まり、藤原仲成(薬子の兄)らが造営にあたると、上皇の体調が急激に回復しました。

 

 退位の理由が健康問題にあり、体調が戻った以上、ふたたび政治の表舞台に返り咲きたいと願うのは当然。

 

 しかも、上皇は旧都の平城京に平安京から役人らを呼び、嵯峨天皇が「二所朝廷」と危険視する情勢となったのです。

 

 そして大同5年(810)9月6日、ついに上皇が平城京へ還都する旨の命令をだすに至ります。

 

(つづく)

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