陰陽師「安倍晴明」の正体④[紫式部と疫病] | 跡部蛮の「おもしろ歴史学」

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 安倍晴明の陰陽師デビューはいつのことなのでしょうか。

 

 はっきりとはいえませんが、彼の生年を延喜21年だとすると、52歳のころには「天文博士」となり、正暦5年(994)ごろまで朝廷の陰陽寮に属していたといえます。

 

 その年、都を疫病が襲います。

 

 NHK大河ドラマ『光る君へ』第16回「華の影」でも描かれていました。

 

 ドラマの中で、主人公のまひろ(紫式部)が疫病に苦しむ人々を見て衝撃を受ける場面がそれです。

 

 それはともあれ、陰陽寮という組織には、陰陽部門と暦部門・天文部門などがあり、狭義の意味の陰陽師は国家的な災害などについて卜占(ぼくせん)を行う陰陽部門に属する官人を指します。

 

 しかし、暦の作成などを担う暦博士や天体観測・気象観測などを行う天文博士も、平安時代の半ばから卜占の技術を持つ者がつくようになり、陰陽寮に所属する官人すべてが「陰陽師」と呼ばれるようになったといいます(繁田信一氏著「陰陽師」参照)。

 

 ちなみに、この後、安倍家(土御門家)は陰陽道の家として師匠筋の賀茂家とともに二流をなし、さらに天文道は土御門家、暦道は賀茂家という住み分けがつづきます。

(つづく)

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