紫式部って本当はどんな人?(最終回)[44歳の男の夜這い] | 跡部蛮の「おもしろ歴史学」

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 ある夜、紫式部の部屋の戸を誰かが叩き、翌朝、歌が贈られてきたので歌を返したという話が『紫式部日記』に掲載され、その「誰か」が藤原道長であったことは他の史料で確認できます。

 

 ただ『紫式部日記』には「恐ろしさにそのまま答えをしないで夜を明かした」とあります。

 

 式部が時の左大臣(道長)の夜這いを気丈にも断った形です。

 

 後世、この解釈を巡り、「そうなんども断れないので最後は道長のオンナになった」といわれます。

 

 しかし、天皇の平均寿命が30代の当時、道長はこのとき44歳でまずまずの高齢。

 

 もちろん、藤原実資のように55歳で娘をもうけた例もあります。

 

 しかし、実資は女好きで知られる公卿です。

 

 筆者は、式部が好意を抱いていると知る道長がからかう気持ちで戸を叩き、彼女を驚かせてやろうとしただけのような気がするのですが……。

 

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