古代史の謎の一つ「中大兄皇子はなぜすぐ天智天皇にならなかったのか」①[空白の23年] | 跡部蛮の「おもしろ歴史学」

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 中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)が中心となって蘇我大臣(そが・おおおみ)家の蝦夷(えみし)・入鹿(いるか)父子を滅ぼした古代の政変が大化の改新のクーデター。

 

 その年、西暦645年の干支をとって乙巳(いっし)の変とも呼ばれます。

 

 皇子は外交使節を迎える宮中の儀式の最中、皇極天皇が臨席する前でみずから刺客として入鹿に斬りかかり、見事に仕留めています。

 

 入鹿は息絶える前、天皇に「私に何の罪がありましょうか」と訴え出るが黙殺され、その後、父の蝦夷も自邸で自害して果て、飛鳥時代の朝廷で権勢を奮った蘇我大臣家はあっけなく滅びました。

 

 以上、『日本書紀』の内容を見る限り、このクーデターの首謀者は明らかに中大兄皇子といえます。

 

 ところが、彼が天智天皇として即位したのは668年。23年たった後の話です。

 

 皇子は、クーデターを成功させて実力者の蘇我大臣家を葬り去ったにもかかわらず、なぜすぐに即位しなかったのでしょうか。

 

 即位するまでの間、少なくとも3回はチャンスがあったものの、ことごとくその機会を棒に振っています。

 

 古代史の不可解な出来事の一つ、「空白の23年間」の謎に挑んでみましょう。

(つづく)

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