本当は東海道を旅していなかった? 安藤広重の謎(最終回)[実景の誇張] | 跡部蛮の「おもしろ歴史学」

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 安藤広重が描いた『東海道五三次』の55図の中には、実際の風景にはない山があったり(「池鯉鮒宿」)と、実際に旅してスケッチした内容に忠実なら、犯すはずのないミスが散見されます。

 

 もちろんそれは、作者の制作意図に合わせて実景を誇張したり(「箱根宿」)、あるいは、三島大社の鳥居と老杉の位置を動かして改変したり(「三島宿」)と、あくまで作図上の問題であって、彼が実際に旅していなかったことの証明にならないという指摘もあります。

 

 しかし、広重が富士山を描いた画集の序文で書いた「まのあたりに眺望したものをそのまま写し取った」というのは『東海道五三次』に限っていえば、当たらないことになります。

 

 ただし、もし彼が東海道を歩かずに筆を取り、その風景が実景を弄ったものだとしても、『東海道五三次』の芸術性の高さは決して失われることはありません。

 

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