三井越後屋呉服店「新商法」の謎②[三井のいわれ] | 跡部蛮の「おもしろ歴史学」

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 三井呉服店の新商法が江戸っ子たちの評判を博し、店に行ってショッピングを楽しみ、気に入った商品があれば現金で支払う現在の小売スタイルが確立していくのです。

 

 ところが、この新商法は、高利の独創ではなかったというのです。

 

 また、越後屋は創業後すぐに新商法で業績を伸ばした印象を抱かれがちですが、決してそうではありません。

 

 しかも、江戸を代表する商人の一人とされる高利は越後屋開業後、伊勢国松坂や京に住み、ほとんど江戸にはいませんでした。

 

 知られざる高利の生涯を振り返ってみましょう。

 

 まず三井家の素性をさかのぼることにします。

 

 家伝では、祖先はかの摂政藤原道長ということになっています。

 

 そこから数えて6代目の信生が近江国の地方官となり、琵琶湖周辺を視察中、三つの井戸を見つけ、そこに財宝があったため、これを祝して三井に姓を改めたと伝わります。

 

 信生の子孫は武士となり、近江の守護佐々木(六角)氏に仕えたのです。

 

 ところが、高利の祖父にあたる三井高安の時代に六角氏が織田信長に事実上滅ぼされてしまいました。

(つづく)

 

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