計画的な闇討ちだったとする史料もありますが、いずれにせよ、息子の又五郎が処罰されることを恐れた半左衛門は、池田家(岡山藩）と不仲の旗本安藤家へ又五郎を逃します。
こうして、藩主池田忠雄が激怒します。
結果、又五郎の身柄引き渡しを求める池田家とそれを拒む安藤家の面子をかけた争いとなり、安藤家は、
「（河合）半左衛門このほうへ御渡し候はば、そのまま又五郎あい渡し申す」
と岡山藩側に通告します。
なぜ安藤家が又五郎の父・半左衛門の身柄引き渡しにこだわったのでしょうか。
じつは、もともと旗本・安藤正珍の家臣だった半左衛門が同僚を殺害して追われ、岡山藩へ逃げこむ事件が勃発していたからです。
岡山藩は半左衛門の身柄を安藤家へ引き渡さず、その両家の因縁を逆手にとって、半左衛門は息子の又五郎を安藤家へ逃がしたのです。
ところが、岡山藩が半左衛門を安藤家へ差し出しても、安藤家では、又五郎が逐電して行方不明になったという理由をつけ、又五郎の身柄を引き渡しませんでした。
愚弄されたと思った藩主忠雄の怒りは頂点に達します。
幕府の老中に対して、半左衛門か又五郎の身柄を渡すまでは「登城仕るまじく」と訴え出たのです。
登城をボイコットするというのです。
忠雄は徳川家康の孫。
当然幕府は慌てました。
（つづく）
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