「江戸の盗賊列伝」(雲霧編)①[雲霧五人衆] | 跡部蛮の「おもしろ歴史学」

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江戸時代、盗賊もまたヒーローでした。


石川五右衛門、鼠小僧次郎吉、そして、雲霧仁左衛門。


ご存じ、「殺さず、犯さず、貧しき者からは奪わず」の掟を守り、まるで雲か霧のような鮮やかな手口で盗みを働く怪盗です。



因果小僧六之(いんがこぞうろくの)(すけ)素走(すばし)熊五郎(のくまごろう)木鼠吉五郎(きねずみのきちごろう)・おさらば(でん)()の手下らも、そのユニークな通称とともに江戸庶民の人気を集めました。


明治維新後、仁左衛門は講談の世界で、「建武の新政」の英雄・新田義貞の血を受け継ぎ、その怨霊の力を得て神出鬼没の活躍をみせます。


また、戦後、作家の池波正太郎氏が同名小説を雑誌に連載し、なんども映画やドラマのテーマとなっています。



果たして、彼は実在の人物なのでしょうか。


江戸時代の末、黄表紙(きびょうし)本と呼ばれる大人向けの絵本で、ボスの仁左衛門を含めて因果小僧ら「雲霧五人衆」が大活躍しますが、そのルーツをたどると、『大岡政談』にたどりつきます。


ところが、大岡越前守忠相(ただすけ)の名奉行ぶりをおさめた『大岡政談』に収載される話の多くは、中国の判例や日本の実録小説などをネタに翻案(ほんあん)・再構成したフィクションだとされている。


それではやはり、雲霧仁左衛門は実在しないのでしょうか。

(つづく)



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