『ハンニバル』を観ました。
FBIのクラリスが指揮を執る麻薬捜査の最中、部下の突出により銃撃戦に発展。クラリスは多数の犠牲を出した責任を問われる。
その事件の顛末を知った大富豪メイスンはクラリスを自宅に招く。精神病院に収監されるレクターの犠牲者であり、今でも深い恨みを抱くメイスンは、クラリスにレクターの追跡を依頼する。
当のレクターは10年前に精神病院を脱走し、フェル博士と名乗りながらイタリアのフィレンツェに身を潜めていた。
レクターがよこした手紙から現在はフィレンツェに潜伏していると推測したクラリスは、地元の刑事パッツィと連携して捜査を進めるが……といったお話。
要約すると、クラリスがレクターへの復讐を図る大富豪に協力させられる話です。
前作『羊たちの沈黙』の続編です。
かつ、強烈なインパクトを残したレクター博士にスポットライトを当てた、ちょっとしたスピンオフ作品に見えなくもありません。
レクター博士と言えば、紳士的な振る舞いで医師としての博識な面を持ちながら、人肉を食らう殺人鬼でもある裏の顔とのギャップが大いに受けただけでなく、後に猟奇殺人モノが激増する引き金ともなった、映画史に残るレベルのキャラです。
後年、さらなる続編が多々作られたのはその証左でもあるんですが、スピンオフの度が過ぎているのは商業主義が色濃すぎて嫌な風潮です。どうせクラリスなんか出てないんだろう?
そんなレクター博士が今作ともなると、まるでホラー映画のモンスターに近付いてしまっているのは、チトやりすぎ感が否めません。そこまでやらなくても、とっくに怖い(というかアブない)人なのはよく分かってますから!
意外に腕力もあり、相手との力量差はハンカチに染み込ませた麻酔剤でフォロー。低カロリーで相手を即死させられる技術も、医者としての知識が豊富である証左です。
そして極め付けのクライマックスの晩餐は、初めて観た時は気持ち悪すぎて泣いたよね(笑)。今回の久々の再見で、内容は知ってたから多少の耐性はできていたものの、何回見ても引くシーンです(これのおかげで何度も観るような映画ではなくなる…)。
あんな風になったメイスンのアップも多すぎだし、今作はグロ度数が高めで下品に思えます。
前作の事件から10年後という設定ですが、公開時期も10年後というリアルタイム感もいい演出です。
今作ではジョディ・フォスターさんに代わり、ジュリアン・ムーアさんがクラリスを演じていますが、これはこれで受け入れられます。
女優としても10年のキャリアを積んだジョディさんのクラリスも見たかったけど、ちょっとホラー風味が強くなった今作には合わなかったかも?
前作ではFBIの新米捜査官という事で、どこか少女感が漂っていたクラリスですが、そこから10年のキャリアを経たベテランに見えるのもいい。
レクターを担当する看護師だったバーニーとのやり取りで、バーニーは当時の話をしたがらず虚偽の証言を繰り返しますが、そう来るのは分かっているかのように相手の2手3手先を読んだ上で証拠を突き付けるのもクールで、成長の度合いが伺えます。ムーアさんに代わったのも効果的です。
にしても……あんな状況であっても豪奢な暮らしができるレクター博士、金持ってんなぁ…。
**********
**********
**********
Blu-ray版の映像特典は予告編のみというチープ仕様。
吹替版を収録している分マシな方なのかもですが。
==========