観た、『ザ・セル』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『ザ・セル』を観ました。

 

セラピストが相手の精神に入り込むという、実験的な治療を行っている医療施設キャンベル・センター。キャサリンは未だ昏睡状態に陥ったままの少年を回復させられず、気落ちしていた。

その頃、FBIのピーターは女性を誘拐した挙げ句に溺死させる連続殺人犯カールの捜査を続けていた。新たに誘拐されたジュリアの行方を追うピーターはカールの潜伏先を発見。しかし、カールはなぜか昏睡状態に陥ったまま倒れていた。

カールをキャンベル・センターに運び込んだピーターは、例の治療方法を用いてジュリアの居所を探りたいという。

ピーターの依頼を受けカールの精神に侵入するキャサリンだったが、想像を絶する悪夢のような光景に耐えられず……といったお話。

 

監督であるターセム・シンさんと言えば、見とれてしまう風景が多々続く『ザ・フォール/落下の王国』を思い出します

公開順では本作が先ですが、『ザ・フォール~』の作風に繋がる片鱗が既に見えていますね。

妖しく不気味でありながらも美しい風景やセットで魅せる深層世界は、確実に本作の見どころです。

かつ、ホラー映画のような、これは年齢制限を設けた方がいいんじゃない?と思わせるようなショッキングなシーンも多めです。MRIを実際にやっちゃうなんて…!

 

そんな深層世界ばかりに目が行ってしまいますが、本来のお話は犯人捜しの刑事モノ。

本作は2000年の作品で、この頃にもなると映画における猟奇殺人犯の過激度はかなり高まっていて、本作のカールもその中の一人です。

幼少期の辛い体験が精神を歪ませてしまったのは分かるにしても、そこまでおかしくなるかね?と(笑)。

ガラスで密閉された檻=セルに誘拐した女性を閉じ込め、水を流し込んで溺死させた上で漂白するという異常っぷり。

極めつけは自分の背面にフックがあり(!)それらを鎖に繋いで自分を吊り上げるという、ここまで来ると幼少期のトラウマがどうこうという酌量の余地は与えられません(笑)。

カールとはそんな人ですからね、深層世界に侵入するも胸クソ悪くて一時退却せざるを得ないキャサリンの気持ちもよく分かります。

 

他人の精神に入り込む治療が本作のキモで、チト現実からかけ離れたSFっぽさもあります。

まぁ、仮にこれがなかったとしても、カールという異常っぷりはなかなかのものですから、そこまでの凡作にはならなかったかもですが。

ここで、治療に使う機械や原理についてそこまでタラタラ解しないのは正解ですね。「その理屈には現実味がない!」とか言い出すバカは必ず湧いてくるものですから…。

 

主人公キャサリンをを演じるのはジェニファー・ロペスさん。どちらかというと歌手としての周知度が高い人に思えますが、未だコンスタントに女優業もこなしているんですね。

本作では特異な世界で突飛な衣装に身を包み、けっこう好演しているように思えます。

そして、犯人であるカールを演じるのは“ほほえみデブ”で有名なヴィンセント・ドノフリオさん。

こちらも奇怪で醜悪な風貌の役を演じていますが、

 

深層世界に入り込む時に着用する、まるで筋肉の筋を表現したかのような専用着は『ドラキュラ』('92)の冒頭でドラクルが着けていた鎧を思い出しますね。

なるほど、石岡瑛子さんがデザインを担当しているんだから、それもそのはずです。

横たわったまま宙吊りにする画も、かなりのインパクトがありますね。

 

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Blu-ray版の映像特典はメイキングや未公開シーン集。

こだわり抜いているであろう画作りには暗喩を多分に含んでいそうだし、監督による音声解説は興味を持てますね。

 

ところで、本作には密かに続編があったようで…。

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原題も『The Cell 2』なので、日本の配給会社によるテキトーな邦題ではない、れっきとした続編のようです。

…が、こちらが話題になった記憶もなければ前作のスタッフ&キャストの名も見当たらないので、まぁその程度の作品なんでしょう。

とは言え、映画として世の中に現れたんですから、シリーズ作と思わなければ、あるいは楽しめるかもしれませんね。俺ッチは1ミリの躊躇いなくスルーしますが…。