観た、『ローマの休日』 | Joon's blog

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『ローマの休日』を観ました。

 

王女アンの来訪に沸き立つローマ。

しかし、当のアンは多忙を極める公務や王室のしきたりにウンザリしていた。日頃の鬱憤に耐えかねたアンは大使館を抜け出し、たった一人で街へ出る。

そんな折、ジョーは酔い潰れた女性に絡まれた挙げ句、自室で介抱する羽目に。翌朝、新聞を見ると王女が病に伏したという記事があり、そこにある写真こそがジョーが介抱した女性であり、アンだったのだ。

ジョーは新聞記者である事を、アンもまたアーニャと名乗り、お互いに正体を隠し合う。

ジョーは一日中遊んで回りたいというアーニャの願いを聞き入れ、ローマ巡りに付き合う。王女の独占スクープを狙っての事だったが、ジョーの心境は次第に変わり始め……といったお話。

要約すると、身分を隠して下町で遊ぶ王女と、それに付き合う男の話です。

 

これまで数々の映画を、そして魅力的な女優も多々見てきました。“可愛い”、”綺麗”、”凛”、”艶やか”等々といった誉め言葉に当てはまる人も大勢います。

その辺を超越した”美しい”というワードもありますが、個人的にそれが当てはまるのは本作におけるオードリー・ヘプバーンさんだけです。

ふた昔前には“銀幕の妖精”なんて呼ばれ方もあり、オッサンくせー言い回しだなーと思ったものですが、実際に本作を観れば、それがあながち間違ってもいない事に気付かされたものです。

髪型や体付きと言った表面的なものではない、コケティッシュとでもいうのかな、元来より女性が持っている魅力に溢れているんですよ。髪を切ってからなんて特に。

「昔の女優のどこがキレイなの?」と感じる人は、本作を見ると僅かながらも考え方が変わるかも? 俺ッチがクラシック女優の魅力を分かり始めるようになった作品でもあります。

 

やんごとなき身分の人が正体を隠してこっそり下町に出向くという、まぁ王女版『暴れん坊将軍』みたいなものです。

そんな王女が身分を隠し、庶民の男とデートするだけの話なので、ドラマとしては割と薄いんですよ(笑)。

金儲けのため、正体を知っていながらしらばっくれててアンに付き合うジョーは、アンを単なる金づる程度にしか思っていなかったものの、その感情は徐々に変わっていきます。まぁ、この辺はTHEハリウッド映画な流れでご都合的ではあるんですがね。

…とは言え、あんな女性と一緒に過ごしていれば、そりゃ9割の男は陥落するよね。不可抗力と言ってもいいくらいです(笑)。

 

打算だらけではあるものの新聞記者としてアンに接するも、その使命を忘れてしまうジョー。

それに対し、無邪気に遊び回るものの、それはひと時の間の幸せでしかない事を承知している上で、自分に課せられた義務を完全に忘れられないアンは意外と大人であるだけではなく、根っからの王女なんですよね。

後ろ髪を引かれる思いで別れる二人ですが、女々しく連絡先を教え合ったりしないのが潔く、明日はもう他人同士になってしまうのは胸が締め付けられます。

今日の体験は美しい思い出として、共に忘れる事はないんでしょうね。

 

ざっくり言えば本作は恋愛映画、さらにはロマンチックコメディでもあります。

それ故、どこか素っ頓狂でコミカルなシーンもチラホラあり、基本的には楽しい作品です。

が、終盤20分くらいは空気が一転、楽しかったそれらが思い出になってしまう時が近付きます。コメディとは言え、一国の王女とブン屋の庶民との恋が成就できるほど甘くはなく、想像通りの結末が待っています。

ラスト、アンと記者団との会見のシーンがビターでね。それまで見せていた幸せそうな表情なんか1ミリも出さず、お互いが本心を殺しながら向き合う姿が辛くて、ところどころで泣きそうになっちゃったよ。

『ローマ。何といってもローマです』

あの場で言うにはこれが限界ながら、ジョーもこれを聞けただけで本望だったんじゃないかな。

 

ところで、これは初めて知ったんですが、まさか&なんと本作にもリメイク作品があったようです。

圧倒的に酷評が上回る結果が待ち受けていることを恐れない、金ドブ企画にしか思えない……と、何も見ずにこき下ろすのは本来ならフェアじゃないけど、これくらい分かりきっているものならボロクソ言ったところで後悔する事はないと思います(笑)。

 

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Blu-ray版は映像特典が豊富。

…ですが、脚本を担当したダルトン・トランボさんが共産党員の燻り出し=赤狩りの対象として云々というやつは要らなかったですね。本作に関わった人ではあっても、あまりに本作のムードからかけ離れすぎているし。

 

スーパー余談ながら……乃木坂46の久保史緒里さんは、去年だか一昨年だかにリバイバル上映された際、映画館で本作を観たそうです。

若いのにモノクロ作品=えらく古い作品を、お手軽なネット配信ではなく、わざわざ映画館に足を運んでまで観ようとする女子って感心だなぁと思ったものです。

別名、見たってだけで女子力が高いと思ってもらえる作品です。