観た、『ダージリン急行』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『ダージリン急行』を観ました。

 

父の死をきっかけに再会したフランシス、ピーター、ジャックのホイットマン3兄弟。

長男のフランシスは、インドを走る寝台列車ダージリン急行での旅を通して兄弟の絆を取り戻そうとしていた。父の葬儀にも参加せず、尼僧になったという母に会いに行くのももう一つの目的だ。

久々に一堂に会したものの、どこかギクシャクした彼らは小さなトラブルばかり起こし、挙げ句には列車を追い出されてしまう。

様々な出来事に出くわしながら、3人は修道院にいる母と再会するが……といったお話。

要約すると、旅を通してお互いを理解しようとする3兄弟の話です。

 

…と、粗筋を綴ってみたものの、小さなドラマが積もったような、取り立ててドラマチックな出来事は起こらない系の作品です。

爆笑や号泣できるようなシーンもなく、せいぜいクスッとしたりホロリとする程度。

それほどに地味~な内容ですが、どこか心があったかくなる作品です。

まぁ、他人に勧めても期待している反応が返ってこない作品とも言えますね(笑)。

 

列車に乗って母に会いに行くという目的もある事から、ロードムービー要素もあります。

主人公が旅を通して変化していく様を見守るのはもちろんながら、旅の途中の光景に目を向けるのもロードムービーの副次的な楽しみ方です。

タイトルにもなっているダージリン急行が走る、人間の文明があまり及んでいないインドの風景は癒しを感じます。

大自然だけではなく人造物もどこかアーティスティックで、壁面等に描かれる絵や一つも読めない文字(笑)ですらしばし眺めていられます。おかげで後景に目を奪われ、前景で見せているドラマを見流してしまう事もあったり…。

 

まずは主役であるホイットモア3兄弟が見どころ。

3人集まっている時は和を乱さない程度に仲良くできていますが、その場から誰か一人が席を外すと、残った二人がその人の陰口を叩くような関係性です。

今回の旅行を“心の旅”と称し、一番乗り気なフランシスが一番嫌われているという、現実にもいそうな人っぽいのがまた(笑)。

そんな噛み合わない3人が、川で流されそうになっている子供らを見て、何の言葉も交わさずに助けに行くシーンはいいですね。言ってる事はバラバラでも根っこにあるものは同じという、兄弟特有の以心伝心っぽさを持ち合わせているみたいで。

この一件の後、3人に行動にまとまりが見えてくるのも、どこかほっこりします。

ラスト、バイクで3人乗りするシーンが象徴的です(エイドリアン・ブロディさんの運転技術に拍手!)。

 

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Blu-ray版には、劇場公開時に本作の前に上映されたという前日譚『ホテル・シュバリエ』も収録。

ジャックと恋人がホテルの一室で再会するというだけの短編です。フランシスにやめとけと言われていた彼女ですね(笑)。

この恋人を演じているのは、ななんとナタリー・ポートマンさん。久しく見ていないから気付けませんでしたが、どこか似てるな~と思っていたら、まさかの正解というね。

密かに本編にも1カットだけ登場していますが、エンドクレジットでのキャスト紹介の後半、端役に混じっているその名を見つけられた人ってどれほどいたのかな?