観た、『海の若大将』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

このところの当ブログが若大将シリーズの記事ばかりになっていますが……だって面白いんだもん

深いテーマやメッセージを含んだ芸術としての側面が強い作品とは対極に、気楽に楽しめる作品があってもいいというか、むしろ、それこそが映画という娯楽が本来あるべき姿です。

明快で堅苦しい事は考えさせずに観終えてスカッとする、”万人=老若男女が楽しめるもの”という、俺ッチが考えるエンターテインメントの定義に見合った作風の見本だと思います。

シリーズとして、総じて90分強という尺もいいんです。

 

という事で、『海の若大将』を観ました。

 

京南大学の水泳部は練習に明け暮れる毎日。若大将=雄一の調子も上々だ。

ある日、スーパーマーケットに買い出しに行った雄一は澄子と知り合う。

後日、友人の江口と石山=青大将による試験のカンニングに巻き込まれた雄一は3か月の謹慎を受ける羽目に。これをいい機会にと、航海に憧れる雄一は石山の船で江口、そして雄一を目当てに密航していた澄子らと共に八丈島を目指す。

しかし航海中に台風に巻き込まれた雄一たちの船は御蔵島[ミクラジマ]に漂着。船の修理を待ちながらの滞在中、澄子は一行を救った漁師の娘、昌江が雄一に惹かれているのを知り……といったお話。

 

現代人の悪癖よろしく、いちいち現実変換してしまうとアラや矛盾だらけの作品です(笑)。

例えば青大将のエレキバンドが停電の姓で演奏できなくなるシーンで、その場を繋ぐために若大将がギター一丁で弾き語りをするものの、伴奏はギター以外の音が聞こえるし、若大将は弾いているのにギターの音がないとか(笑)。

ただ、そうは思いつつも、映画としてしっかり見入っててしまえるくらいの力があるんですよ。強引だけどノリで押し込む力技というか(笑)。

所詮は映画というフィクション、リアルを追求しすぎて屁理屈ばかりにせず、少しくらいツッコミの余地がある方が面白いのになぁ。

 

海のど真ん中、雄一がボートで魚釣りに出た隙に、青大将は想いをぶつけた上で澄子を襲います。前作&前々作ではその役目を赤マムシに奪われていたせいか、久々のイベントに青大将も張り切っています(笑)。

もちろん若大将の登場により青大将の野望は潰えますが、あんな真似をしておいても青大将を許すどころか、気の毒に思える若大将の心意気はさすがですね。…いや、チトおかしいかな?

自分と一緒にいたかったからと言われても、男所帯の船に女性が乗ればああいう展開も予想できただろうに、それでも船に乗り込んできた澄子の迂闊さを雄一は糾弾します。

そんな事を言うのは雄一が自分を嫌っているからだ、青大将の方がよっぽど正直だし、自分を襲ってきたのも勇気(笑)があってこそだと澄子は反論します。もちろん本心からの言葉ではないとは言え、ますます迂闊だよ澄ちゃん、青大将に聞かれてたらリベンジされちゃうよ?

若大将はモテるのが宿命ですから(笑)、その前後にも近付いてくる女性がいるけど、その度にマメに焼きもちを焼くんですよね。そんないじらしさがが澄ちゃんの可愛さです。

若大将と相思相愛になるのはお約束ですが、なったらなったで重い女になるんだろうなぁ…。

 

シリーズ全作の脚本を担当した田波靖男さんは今作までのマンネリから脱皮しようとベッドシーンを書いたそうですが、ただただバッカじゃねーの?と。

マンネリだから商売になるんだと却下されたそうですが、俺ッチの観点からすれば、ここまでの家族で見ても楽しめそうなまでに健全で爽やかな作風に、安っぽく過激なシーンを取り入れようとするなんて不粋の極み、苦し紛れにもほどがあるだろ!と思うわけです。

これ、本当にやってたらシリーズの寿命が縮まっていたでしょうね。

 

シリーズ恒例のゲテモノ料理、今作はドッグフード。

あまりにも安い缶詰をごっそり買い込んで水泳部部員に振る舞ったところ、実はドッグフードであると知ってウゲ~となる恒例行事です。

ただ、大学生にもなって缶詰に記載されているドッグフードという言葉が分からない生徒が多いあたり、運動系に特化しすぎているんだろうな、京南大学…。

 

ラスト、想像通り大会で優勝した後、雄一はオーストラリアへの留学が決まる。その祝賀パーティーでスピーチを頼まれた雄一は、挨拶は苦手だから歌を歌うとの事で♪お~い雲よ、ど~こへ行く~♪と歌い始め、所信表明の一つも言う事なく、映画もそのまま終わるという(笑)。

周りの人も若大将らしいなのひと言で終わっちゃうんだろうなぁ、これぞ若大将ワールド!

 

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スーパー個人的な話ながら、俺ッチが初めて観た若大将シリーズが今作なんですよ(確かフジテレビがド深夜に放送してたもの)。今ほどハマるきっかけになはならないながらも、色々と衝撃を受けました。

今となっては毎度の事じゃん?で終わってしまいますが(笑)、この都合の良すぎるお話は何だ?と。ジグソーパズルの全てのピースがピッタリ収まるがごとく、様々な問題がストレスなく良い方向に解決するお気楽ぶりに、イメージ通り加山雄三さんのヨイショ映画なんだなと思ったものです。

けど、スポーツのみならず歌や演奏のシーンで見せる姿には説得力があるし、ヨイショするからにはされる側もそれなり以上に努力をしているものです。

公開当時は男性客が多かったそうですが、ああまでできる人に憧れたり羨んだりはするけど、そこから妬んだりひがんだりするような女々しい男が少なかった時代だったのかもしれませんね。

今や俺ッチも、純粋に若大将に憧れる男の一人だぜ!