観た、『レッド・サン』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『レッド・サン』を観ました。

 

1870年のアメリカ西部。

日米親善大使としてワシントンへ向かう坂口らを乗せた列車が、リンクとゴーシュを初めとする強盗団に襲われる。強盗団は列車内の金品を、そして坂口が大統領に献上するための宝刀も奪い去る。

その中で、ゴーシュの裏切りに遭い、負傷したリンクは坂口らのおかげで一命を取り留める。

リンクは金の在り処を知るため、坂口の家臣である黒田は宝刀を奪い返すため、ゴーシュを目指し荒野を行く……といったお話。

 

基本的に本作は西部劇です。未開の地でガンマンが列車を強盗するなんてパターンもありふれています。

ただ、そんなガンマンや開拓者やインディアンが登場する作品の中に、コテコテの日本人の侍が存在するの本作の無二な点です。昨今のアニメで例えれば、侍が西部劇の世界に転生したって感じ?

 

未開の地の寂れた駅にやって来た列車、そこから降りてくる裃&袴を着たチョンマゲ姿の日本人というファーストカットからしてインパクト大です(笑)。

そんな珍妙な組み合わせからしてコメディ寄りの作品になるかと思いきや、やってる事は意外にも(?)大真面目なので、痛快さに欠けていたのは残念だったかな? もうちょっとハジケた作風を期待していたので。

 

黒田による、日本における侍の終焉を臭わせるセリフがありましたが、これは廃刀令が発令されるのを予期していた事を意味しているんでしょう。

本作の時代は1870年、廃刀令が正式に発令されたのは1876年ですから、現実の時系列としても矛盾は感じませんね。歴史バカが何か言いたそうですが(笑)。

廃刀令と言えば『ラスト・サムライ』を思い浮かべますが、黒田はあちらに登場したオールグレン大尉と入れ違いにアメリカにやって来たと考えると何か感慨深いものを感じます(数年のズレはあるけど)。

 

日米仏スターの共演も見どころの一つです。

日本からは三船敏郎さん、アメリカからはチャールズ・ブロンソンさん、フランスからはアラン・ドロンさんと、おそらく当時の日本人に人気がありそうな面々ですね。

中でも、ドロンさんには垢抜けたイメージを抱いていたので、こういった土埃が舞うような西部劇に出演するのは意外に思えました。まぁ、1人だけ小綺麗な衣装をビシッと決めているのは、そんなイメージもあながち間違っていないという証左でしょうか?

 

そんなドロンさんが演じる、自信過剰な伊達男ゴーシュと、三船さん演じる黒田との、序盤にあるやり取りが好きです。

刀と銃では勝負にならないと言うゴーシュに対し、刀でも人は殺せると言い切る黒田。言葉には出しませんが、ここで見せる黒田の自信や眼力に気圧されゴーシュがその場を去るくだりは良いですね。多少は負けを認める気になってか、一応は名を名乗る引き際もカッコ良いです。

 

男性陣ばかりに注目しがちですが、ヒロインのクリスティーナを演じているのがウルスラ・アンドレスさんというのも、絶妙なキャスティング。カスカス声(笑)で気丈なビッチを演じています

監督もテレンス・ヤングさんという関連があるからか(?)、お色気シーンがあるのも嬉しいサービスです。

…この辺、ハニー・ライダーの名を知っている人なら分かりますよね?

 

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・・・ありゃ、配信版はないようですね。

Blu-ray版は吹き替え音声はあるものの、一切の映像特典すらない最低限仕様。

吹き替えを担当するのは大塚周夫さん・大塚明夫さん・野沢那智さんってんだから、こちらのキャストも豪華!