『OO7/慰めの報酬』を観ました。
ド直訳なのか、何にせよ意味不明な邦題が何ともまぁ…。
捕らえられたミスター・ホワイトを尋問する中、長年MI6で働いていたミッチェルがMに発砲。ホワイトと通じていたミッチェルを追うも、ボンドはミッチェルを殺してしまった上に、ホワイトにも逃げられてしまう。
ボンドはミッチェルと関わりのあるスレイトという男を探すため、ハイチに飛ぶ。
誤って殺してしまったスレイトになり切ったボンドはカミーユという女性と知り合う。カミーユは、ボリビアのメドラーノ将軍と砂漠の採掘権について話し合うグリーンの愛人だったようだ。
グリーンにより危機に陥ったカミーユを救ったボンドは、自分と似たような目的を持つ彼女と心を通わせる。
そしてホワイトだけでなく、グリーンもが仕える謎の組織とは……といったお話。
OO7シリーズとしては珍しく、前作『カジノ・ロワイヤル』と直接的に関連のある続編です。
つーかさぁ……これ、楽しいですか?
これまでにあった、フフッと笑えるシーンが皆無なんですよ(前作もそうでしたが)。
原点回帰という事で、ショーン・コネリーさんが演じていた頃の最初期のOO7シリーズに近付いたとか言っている人もいますが、その時ですら皮肉&冷笑的なジョークは欠かしていなかったじゃん?
…とは言え、クドいようですが『カジノ~』と本作はボンドがOO7になったばかりのお話。なので、まだジョークも言えるような余裕もないから、ここから徐々に我々の知っているジェームズ・ボンド像に近付いて行くんでしょう。
…と、公開当時には思っていたんだよな…。
ダニエル・クレイグさんが6代目ボンドに就いて以降のシリーズは、おそらくそこから流入してきたであろう新規の客が過剰に絶賛していますが……その褒め方にズレを感じる古参ファンよ、もっと声を出そうぜ!
今作は前作の続き=第1話の後編みたいなものだから、まだまだ新米のOO7とは言え……この人、不適格すぎやしませんか?
内通者を生け捕りにして情報を吐かせるのが目的なのに、乱闘の挙げ句にやりすぎて殺しちゃうし(しかも2人連続)、衆人環視の中で大っぴらに銃を撃ち始めるし、ちょっとガサツの度が過ぎてます。殺しの許可証を濫用しすぎというか(笑)。
クレイグ版ボンドは場をわきまえずに、至る所で安易に暴れ出すんだから、実はアブねー人物なんですよ。
短気で直情的、上司の命令を無視&失敗だらけ(笑)の割に“あなたを信頼している”とかアッサリ許しちゃうMさえも不適格者ですよ。
ハッキリ言わずとも今作はボンドのドジが多すぎるけど、結果オーライで済ませちゃうような、なぁなぁな関係にはイラッとしますね。
力任せに突進するタフガイのような姿は、どんだけ敵の攻撃を受けても死なない、まるでアメリカ映画のヒーローみたいな感じです。
おそらくは新規ファンなのかな、クレイグ版ボンドにシリアス&リアル、かつハードボイルドな作風を求めている人が多い印象ですが、そういうのは別の作品でやってくれと。
個人的には、スマートさを欠いている時点でジェームズ・ボンドというキャラにはそぐわないように感じるんですよ。
前作を評価する声が大きいのは理解できたにしても、今作はワーストの部類に入る作品に思えます。
尺も106分という短さで、長ければいいってモンでもないけど、もう少しやっといた方がいい事があったんじゃないかな。
もう2回くらい観てみて、今作の良さに気付けるかどうか…。
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Blu-ray版の映像特典はまぁ多めな方かな?
『カジノ~』まで統一していたメニュー画面やコンテンツが変わってしまったのは残念。