『劇場版 炎神戦隊ゴーオンジャーVSゲキレンジャー』を観ました。
臨獣拳を使う蛮機獣ヌンチャクバンキと戦う獣拳戦隊ゲキレンジャー。そこに合流した炎神戦隊ゴーオンジャーはゲキレンジャー共々、ヌンチャクバンキの作り出す烈波空間に飛ばされるてしまう。
烈波空間内では完全に力を発揮できず苦戦する両戦隊。しかもゴーオンジャーの相棒である炎神の魂である炎神ソウルが奪われたところに蛮機族ガイアークの幹部らに加え、臨獣殿の生き残りメカが出現。
メカの狙いは、ゲキレンジャーの長い戦いの末にようやく倒したロンを封印してある慟哭丸を使い、ヌンチャクバンキをパワーアップさせる事にあった。
ソウルを取り戻せず、しかも慟哭丸を奪われてしまった責任から、ゴーオンジャーはゲキレンジャー指導の下、獣拳の修業を始めるが……といったお話。
それまでのVSシリーズはVシネマ=オリジナルビデオ作品として展開されていましたが、そこから一歩進んで、本作以降は劇場公開が定番化しました。
3月に発売されるDVDを1月に劇場公開するって事で、特別興行みたいな扱いでしたね。劇場を問わず、料金も一律1200円というサービスっぷりも好印象でしたね、この頃は。
仮面ライダーシリーズに押されつつもスーパー戦隊シリーズが踏み出した、小さくとも力強い一歩とも言える作品です。
周知の通り、スーパー戦隊(と仮面ライダー)シリーズは基本的にはテレビの連続ドラマです。おおよそ1年=約50話近いシリーズですから、監督や脚本をたった一人で担当する事は(前者は確実に)できません。
それ故、各回の作風に差異が生じる事もしばしば。
特に顕著とされるのが脚本で、シリーズを通したメインライターのヘルプ要員とも言うべきサブライターが担当する回では、セリフ等に違和感を抱く事も稀にあります。
さらに言えば、監督も数人がローテーションで担当していますが、それぞれの監督で思い描くキャラ像が異なるため、特にレギュラーを演じる新人俳優が頭を抱えるという話もあるようです。
…何が言いたいのかっつーと、VSシリーズはちょっとキャラ変してません?と感じるところがちょいちょいあるものでね。
今作におけるそれは、ゲキレンジャーのジャンがゴーオンジャーの走輔に修行を付けるシーン。ジャンが、上手くできない走輔をスーンと澄ました様子で眺めているところに違和感があるんですよ。教える側とは言え、ジャンって人を見下ろすような真似はせず、誰とでも目線を合わせて対等に向かい合うキャラなんじゃないかと思うので。先輩になって成長した様子を見せたいんだろうけど、これはチト違うなぁ。
――まぁ、所詮はオモチャの宣伝番組だし、いい歳こいてオモチャを買うような年齢層を丸め込める程度のドラマになっていればいいという感じなんでしょうね。むしろ、この手のスノッブな作品に“文芸”なんて言葉を求めるのが不粋なのかな…。
理央とメレに決着を付けたのは、今作の秀逸な点ですね。
ゲキレンジャーの面々はこれからも高みを目指して生き続けるでしょうが、あの2人はもう…。
今作を含めた『獣拳戦隊ゲキレンジャー』というドラマを重んじるのであれば、今後、あの2人が登場する事はないでしょう。正伝としての続編として“~10YEARS AFTER”が作られなかったのは、ある意味における正解なのです。仲代先生のようにしちゃうのは不粋すぎますし。
不粋と言えば、またあのカレー屋ネタを引っ張るんだから、いい加減しつこいよね。
脚本には連名で香村純子さんの名もありますが、もう一人である荒川稔久がこれを譲らなかったとか。他に擦り合わせるべき箇所は多々あったでしょうに、注力するポイントが違うんですよ。
そんな小ネタにハシャいでるのは若い連中と、若かった頃の俺ッチくらいだよ…(笑)。
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Blu-ray版には『炎神戦隊ゴーオンジャー 劇場BANG!』『炎神戦隊ゴーオンジャー ネットでBONG!』も収録。
今作に関しては劇場公開時にもあった、夏にやってたゴーオンジャーライブの一部とニューヒーロー=侍戦隊シンケンジャー(&仮面ライダーディケイド)の紹介するコーナーも収録されています。