再度、『Mr.BOO!ミスター・ブー』を観ました。
2度目の鑑賞なので字幕版です。
「我々日本人にとってのMr.BOO!シリーズは日本語吹替こそがオリジナル言語!」と、ある程度以上の賛同を得られるであろう前提で強弁していますが、字幕版であっても、これはこれで的に楽しめます。
一番の利点は、各キャラの正式な名前が分かる事です。
所長の助手であるフグなんて、吹替版ではチョンボとかテキトーな名前だし(笑)、昭和の大らかさとはこういうところですよね。娯楽性を最重視した上で、小難しい事は無視or気にしないというか。
時代的にも、そんな所に突っかかる人って少なかったんでしょうね。
ギャグ要素に力を入れてるのは分かるけど、お金は掛けていない印象。
まぁ、小市民を描いたコメディですから、低予算の方が作品の雰囲気に合っていると思います。
とは言え、警察のガサ入れから免れるために縄梯子でビルの窓を降りたり、フォルクスワーゲンのビートルがボロボロになるカーアクションがあったりと、一応は映画ですから、それなりにスリリングな事もやっているんですよ。
特に後者、ビートルが原形を留めないほどにブッ壊れながら走るシーンなんて『OO7 美しき獲物たち』を思い出しますが、かなりのお金が掛かっているのが分かるあちらより、スズメの涙ほどの予算で頑張っているであろうこちらの方がリアリティを感じます。
ウォン所長は常にドジばかりで、今日まで探偵事務所を運転できていた事が不思議にすら思いますが、そこに新入りとしてやってきたレイは頭は弱いながらも腕っぷしはあるので、ウォンより秀でているものを持っています。
それ故、レイに出し抜かれるのは当然とは言え、ラストでの下剋上というか、世代交代を余儀なくされるウォンの哀愁が切ないですね。
…と思いきや、あっけなく解決してしまうのもまた本作らしいんですが、もう少し余韻みたいなものは欲しかったな…。
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初めて本作に触れる人にとって↑↑↑の字幕版はずいぶん寒いと感じると思うので、吹替版から入るのがベストな選択です。それでも寒いと思うかもしれないけど(笑)。
昭和(の頃)のギャグに理解のない人は見なくていいですが、吹き替えという仕事ぶりに興味のある人は勉強になると思います。アドリブってセンスがある人に与えられる特権なんだろうなって。