『∀ガンダムⅠ 地球光』を観ました。
かつては地球に住んでいながら、長きの間に渡り月で暮らしていた人々=ムーンレィスの地球への帰還が始まろうとしていた。
それに先駆け、調査員として仲間と共に地球にやって来ていたロランはハイム家に拾われ、キエルとソシエの姉妹と共に暮らしていた。
地球に降下してきたムーンレィスの軍隊に対し、ロランは偶然に乗り込んだモビルスーツで応戦する。
月の女王ディアナと、イングレッサ領の代表であるグエンとの領地を巡る交渉は一向にまとまらず、反対勢力の小競り合いばかりが続く。
そんな中、ディアナとキエルは容姿が瓜二つである事から、お互いが入れ替わるという悪戯を敢行。お互いが知り得なかった現実を目の当たりにする事で、二人は地球人とムーンレィスとの距離を縮めようとするが……といったお話。
いい歳になったせいか、近頃はガンダム作品を観ていても、モビルスーツの戦闘シーンより人間のドラマを多く見せてくれと思うようになっています。
が、本作を久々に観て、アニメロボットへのときめき(?)を思い出させてくれました。
周知の通り、本作に登場するモビルスーツのデザインはクセが強く、一見してカッコ良いと思わせるそれらは、従来のガンダム作品に比べて少ないと感じる人もいるんじゃないかと思います。
けど、そこはアニメの力ですね、動きを伴えば実に魅力的で、先入観を覆された人も少なくないんじゃないかな?
さすがにコレは……と感じさせるスモー(笑)も、アニメの中で動いているのを見ればカッコ良くないですか? 原画や動画のみならず、見せ方(コンテ?)や効果音も含めて、スタッフの才能に拍手です。
ディアナとキエルの入れ替わりは、『∀ガンダム』に欠かせないエピソードの一つ。
「いくら二人が似てるからって、そんな都合よくバレないわけないじゃん?」と、リアルさを欠いていてつまらないと感じるガンダムオタクは少なくないと思います。
俺ッチも紛れもないガンダムオタクではありますが、これに関しては肯定的です。
だってアニメじゃん? 荒唐無稽なフィクションの極みじゃん?と。
ガンダムはリアルでなければならんと思い込んでいる人が多いんですよね。
ディアナとキエルの見た目だけでなく、お互いがお互いの立場を大真面目に考えているからこそバレなかった、もしくはバレにくかったのです。二人の聡明さを表すものでもあるんですよね。
キエルはあそこで自白してもいいものですが、代わりにディアナがキエルとして父の墓に懺悔するシーンは、いい歳こいてから見直すと泣きそうになりますね。
片や言いたい事を言わずに堪え、片や普段は言えない事を堪えきれずに言う二人の大人っぷりが良いんですよ。
改めて見直すと、キャスティングにはつくづく感心します。
富野由悠季監督作品の出演者(の多く)は、アニメアニメしていない芝居が耳に心地良いんですよ。宮崎駿監督作品までやっちゃうと、アニメっぽさが抜けすぎちゃうんですが(笑)。
特に女性に関しては、どこからそんな逸材を発掘するんだ?と。
中でもキエル&ディアナを演じる高橋理恵子さんや、ソシエを演じる村田秋乃さんとか、実にハマッていると感じます。
肩まで浸かっているアニメバカほど、しょっちゅう聞いているいつもの声でない事に落ち着かないのか、ああいう芝居を下手だとこき下ろしますが……分かってないよね、気の毒に。
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配信版は知りませんが、Blu-ray版に関して。
↑の国内版も同様だと思いますが、音声が2種類=2.0ch版と5.1ch版が収録されていて、どうせなら5.1ch音声を選択しますよね。
けど、効果音やBGMの音量が大きすぎて、肝心の台詞がサッパリ聞き取れないんですよ。2.0ch版にしてもほぼ変わらず。ここまで音量のバランスが悪い邦画って、個人的には珍しく感じます。
国内版は日本語字幕が収録されているようですが、日本語の作品なら字幕を表示して観ようとは思いませんからね、あくまで救済措置扱いでしょう。ついでに言えば、高いし。