観た、『ニュー・ミュータント』 | Joon's blog

Joon's blog

どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『ニュー・ミュータント』を観ました。

 

居住区が竜巻に襲われ、父のおかげで危機を脱したダニは病院らしき施設で目を覚ます。

医師であり施設の長を務めるレイエスによれば、ここは人間でありながら特殊な能力の目覚めた、若きミュータントの保護や治療を行う診療所だという。

ダニと同じように施設に入れられている4人の少年少女もまた、過去の辛い体験を経た上でミュータントの能力に目覚め始めていた。

対立しながらも仲間意識が芽生えていく5人を見守るレイエスに上司からのメールが届く。そこにあった命令はダニの抹殺だった……といったお話。

 

X-MENシリーズの新作であり、スピンオフ作品です。

スピンオフと聞くと、誰が主役なのかが気になりますが、本編の特定のキャラをフィーチャーしたお話ではなく、本編の世界観を拝借した、世界中に数多く存在するというミュータントのごく一部を描いた作品になっています。

本編のキャラが出ない事でガッカリする人も多いと思いますが、本編のキャラを後付け設定で改竄するような真似をせず、同一世界内での別の場所でのお話という、スピンオフとして分をわきまえているのが良いですね。

近々マーベル・シネマティック・ユニバース=MCU、さらにはマルチバースという節操のない全肯定システムに編入される前のX-MENとしては、最後の作品になるのかな? 

 

本編のファンを困惑させる一つの要素として、ミュータントの超能力バトルが少ない点が挙げられます。

本編ではこれ見よがしにXパワー(?)を見せたがっていますが、本作でのそれはかなり控え気味。

例えば対立するキャラがお互いを罵り合い、激昂してようやく超能力を出すような感じで、あくまで人間ドラマの延長にしかないんですよ。

前半ではチラ見せ程度でしたが、切羽詰まった状況に追いやられてくるからこそ、後半では力を発揮するんですがね。

これも含め、全体的にホラー風味が強めのシリアスな雰囲気。クスッと笑えるシーンの一つも出てこないのも、本編とは全く違う雰囲気の作風です。

観終えてスカッとしないあたりは『LOGAN/ローガン』を思い出すな…。

 

前半では特殊撮影も少なく、キャストは総じて若め、5人の若いミュータントの苦悩や衝突とかを見ていると、これネット配信の青春ドラマですか?とか言いたくなりますね。どこがX-MENなのよと。

そこから最後まで観れば、まぁ外伝としてならX-MENシリーズを名乗ってもいいんじゃない?くらいに思えるようにはなりますがね。

あのメンドくせー、どころか鬱陶しい連中にも配慮するような描写もあるし、いかにも現代のアメリカ作品って感じは慣れるしかないのかねぇ…。

 

レイエスが司る病院は、まだ幼い少年少女=覚醒したばかりのミュータントを匿ってやるような、X-MEN本編におけるプロフェッサーXが運営する恵まれし子らの学園に似たような施設。

プロフェッサーらは姿を見せないけど、その分校なのかな?と思いきや、話が進んで行くとそんな事はない事が分かってきます。

X-MENとその敵であるブラザーフッドでもない、第3の勢力とも捉えられますね。悪側とされるブラザーフッドも、ああいう真似はしないでしょうし。

 

些事ながら、ちょっと気になるのがダニの呼び方。

本名であるダニエル・ムーンスターのあだ名として“ダニ”と呼ばれますが、字幕では“ダニー”にしましょうよ。字ヅラが良くなさすぎです…。

 

***********************

***********************

***********************

Blu-ray版の映像特典はそこそこ収録されていますが、今時に吹き替え音声がないのはずいぶん無神経だなぁ。1000円切るまで待てば良かったよ。

 

暗い作品だけど、メイキング等で共演者がハシャいでいる姿を見るとほっこりしますね。