観た、『ユア・アイズ・オンリー』 | Joon's blog

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『ユア・アイズ・オンリー』を観ました。

 

イギリスの監視船が事故により沈没した。監視船には弾道ミサイルを操作できる装置=ATACが搭載されており、これを察知したソ連はATACの奪取を目論む。

ボンドはATACの調査中に殺された海洋学者ハブロックを殺した犯人、そして黒幕の調査を命じられる。

イタリアのコルティナに飛んだボンドは現地の協力者から、親英家でもある実力者クリスタトスを紹介される。クリスタトスは、密輸に手を染めるコロンボを怪しんでいた。

ハブロック夫妻の敵を討とうとする娘メリナと共に行動するボンドは、コロンボと邂逅を果たすも、真の黒幕の正体を知り……といったお話。

 

前作『ムーンレイカー』において、ついに宇宙にまで行ってしまったボンド。

映画としてはヒットしたものの、作品的にはそれでいいのかと反省したんでしょうね、SF要素や秘密兵器は鳴りを潜め、己の頭と体だけを頼りに活躍する、つまり初期どころか第1作目である『OO7 ドクター・ノオ』にまで原点回帰した作風になっています。

これはこれでハードなOO7として楽しめますが、第2作目『OO7 ロシアより愛をこめて』以降は秘密兵器もレギュラーの一部ですから、これがないのはチト寂しいですね。

Qとしては心中複雑でしょう…。

 

秘密兵器の代表選手たるボンドカーは、またもロータス・エスプリ(・ターボ)。

ん……んんっ?

ちなみに、『私を愛したスパイ』の時はこっち。

うん、こっちの方がイイですね。

スーパーカーブーム真っ最中の、子供の時分であればターボの方がカッコ良く思えたでしょうが、オプションがない方がシンプルでカッコ良いと感じるようになったのは、歳を取ったからですかね? ランボルギーニ・カウンタックやデ・トマソ・パンテーラも同様に感じます。

…で、↑↑のエスプリ・ターボ、悪人を木っ端微塵にフッ飛ばす功績を残しますが、これは衝撃的というより悲しかった…(笑)。

 

最低限の兵器しか使えないって事で、今作のボンドはスタイリッシュさが薄れ、ずいぶん泥臭く体を張るようになりました。体育会系寄りになったというか。

その極みがクライマックスで、敵のアジトには乗り物では行けないから、自分の身一つで乗り込まねばならない事になります。

…けど、敵のアジトって、

こんな所にあるんですよ? 右の断崖から登っていくしかないとかサラッと言われても、ちょ待てよと(笑)。

ここでヒヤリ&ハッとなシーンが出てきますが、CGがない時代であってもフィルム合成はできるにも関わらず、OO7はちゃんと(?)体を張るんですよね。

CGがない時代の作品であると分かっているからこそ、それらが本物である事も分かる。古い映画というだけでつまらないと考える人でも、こういう緊張感は伝わってくるんじゃないかな?

ロジャー・ムーアさんになってからは、息を飲むような生身のアクションが必ずあるので、見どころは決して少なくないはずです。

 

今作ではタフな印象のボンドですが、キャラ的にも非情さを見せるシーンがありまして。

敵の乗った車が崖っぷちで止まり、その後の展開は分かりきっているんですが、そこでボンドが車を蹴って突き落とすのは、ちょっと違和感がありますね。撮影時、本人を以て“これはロジャー・ムーアのボンドじゃない”と異議を唱えたそうですが…。

たとえ敵であっても、あからさまな殺意を見せないのがムーア版ボンドです。

(ラペル)ピンを車中に放り込んだ重みだけで車が落ちるわけないじゃん?という意見が拮抗していたようですが、“そんなバカな”的なシチュエーションこそがムーア版OO7どころか、シリーズ全般としての醍醐味じゃないかなぁ?

 

…こうして考えると、なるほど、ダニエル・クレイグさんのタフで垢抜けないボンドとは、今作でのボンドのイメージを踏襲しているのかもしれませんね。なワケねーけど。

 

毎回恒例であるアバンタイトルの寸劇は元妻の墓参り、そしてその仇との対決ってんだから、軽く驚きです。シリーズの連続性を表したかったとの事ですが、ちょっと物足りなく感じる人もいるかな? 

数あるOO7シリーズですが、順番は関係なく、どの作品から見始めてもそれなりに楽しめるのが魅力の一つですから、あのくらいにサラッと見せて終わるのは絶妙ですね。

…あ、個人的には21作目以降はリブート作品だと思っていますので。

 

今作の主題歌でもある『For Your Eyes Only』、歌うのは80年代の洋楽を代表するシーナ・イーストンさん。

歴代OO7主題歌の中でも好きな曲です。

『死ぬのは奴らだ』あたりからですかね、OO7の主題歌も現代風というかポップス風になってきました。

…ただね~、↑を見ての通り、劇中のオープニング映像にシーナさんが顔出ししている点はダメ出しさせてもらいますよ。

だって、本編に出演していないんだもん

本人のMVとしてならアリだけど、映画に使われるものであればチト違いますよね。せめて端役ででも出演してくれればなぁ。

 

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↑のBlu-ray版は、いつもながら映像特典満載。

ちょっとしたメイキングのような、当時の舞台裏の映像まで収録されているのはいいですね。

深海探査船ネプチューンについての言及も欲しかったなぁ。