『カサブランカ』を観ました。
第2次世界大戦下、ドイツの侵攻に脅かされるヨーロッパでは、アメリカに逃亡しようとする者が後を絶たない。フランス領下モロッコのカサブランカにあるリックの店では、今日も国外への脱出を試みる人々が集まっていた。
ある日、警察署長のルノーから、レジスタンスの指導者ラズロが店に来る事を知るリック。
ドライでシニカル、政治にも人間にも興味がないはずのリックだったが、ラズロと共にやって来た女性を見て愕然とする。それはリックがパリにいた頃に付き合っていたイルザだった。
2人でパリを出る約束を交わしておきながら待ち合わせの場所に来なかったイルザに対し、リックは冷ややかな感情を隠せない。
ラズロを目の敵にするドイツ軍のシュトラッサー少佐の目を盗みながら、通行証を譲って欲しいと懇願するイルザに、リックは……というお話。
古典的な名画と呼ばれる作品は多々ある中、本作はそこに確実に挙げられます。
そんな触れ込みを鵜呑みにして観てみましたが、若い頃にはその良さがあまり分かんなかったけど、歳を取ってから再見すると実に良い作品であると感じます。泣いたし。
まだパリにいた頃、リックはイルザと付き合い、結婚の約束すらしました。
ドイツ軍がパリに近付いてるのを知った2人は、明日にでもフランスから出国しようと約束を交わします。
しかし、当日の時間になってもイルザは来ない。それどころか別れの手紙を残して、イルザはリックの前から姿を消します。
これが引き金となり、リックは厭人的でシニカルな性格にキャラ変してしまいます。
そんなリックでしたが、何だかんだで今でも愛しているイルザのため、イルザが愛しているラズロのために、大きな決断を下します。
――かなりどうでもいい話ですが、俺ッチもリックとちょっとだけ似たような境遇にありました。現在の俺ッチの、不健全な人格を形成する一因となった事件(?)でもあるんですが…。
必要以上にリックへ感情移入できてしまうのは、そのためかもしれません(笑)。
男女の付き合いがありながら別れてしまった人たちの中には、相手に対する怨恨の感情を抱きながら生きている人も少なくないでしょう。
けど、付き合っていた当時を思い返せば、楽しかったり幸せを感じていた思い出もあるはずなんですよね。
自分はそれさえ残っていれば生きて行けるんだから、かつて愛した女性には目の前にある幸せを掴んで欲しい――“男の美学”という言葉には少なからずの男のやせ我慢を含んでいると感じさせる作品です。
特に女性にフラれた男どもよ、これを真似できれば絶対にカッコ良い男になれるって!
…と、必死でこう言い聞かせているものの、心底ではそこまで達観できずにいる俺ッチは、やっぱりボギーにはなれないんだな…。
********************
********************
********************
さて、問題です。
本作の名セリフと言えば「君の瞳に乾杯」ですが、本作の名曲と言えば?
正解は『時の過ぎゆくままに』! …ブッブー、正解は『時の過ぎゆくまま』でした!
――何の事かというと…。
一般的には『時の過ぎゆくままに』とされていますが、Blu-ray版の字幕だと『時の過ぎゆくまま』なんです。沢田研二さんへの配慮のつもりなのかよと(笑)。
新しいメディアでのソフトが発売されるごとに字幕が変わるとかさー、もう止めねぇか、そういうの! 昔に観たものでは、「君の瞳に乾杯」すら変更されてた事もあったし。
『勝手にしやがれ』においても、「俺は最低だ」という字幕は、今やもう皆無。
名セリフとしての認知度が高いものに関しては、安っぽく変更しないで欲しいよね。こういうのって、時代背景とか関係あるのかな?