観た、『犬の生活』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『犬の生活』を観ました。

 
今日も浮浪者は職にもあり付けず、街の片隅で寝泊まりをしている。
ある日、浮浪者は野良犬仲間にいじめられている犬を助け、共に生活を送るようになる。
たまたま入った酒場で、浮浪者は、泣かず飛ばずの新人歌手と仲良くなる。
街では、ならず者が金持ちの財布をひったくる事件が起き、それを隠そうとするが、そこは浮浪者の住処。
犬が掘り当てた事から、財布を巡っての騒動が起き……といったお話。
 
チャールズ・チャップリンさんの、約30分くらいの短編です。1918年の作品ですから、とっくに1世紀も前の作品。
古臭いコメディ作品だから、笑いの感覚が現代のそれとは確実にギャップがあるけど、クスリと笑える程度には面白いと思います。
こういう体を使ったコテコテのギャグは、現代のお笑いに染まっていないであろう、小学校低学年くらいまでのちびっ子には受けそうな気もしますが。
 
浮浪者(チャーリー)の作品には警官が欠かせないけど、犬の出演率も高く、ムダに懐かれる姿をよく見ます。
そんな端役(?)だった犬が本作ではレギュラーとして、スクラップスという役名まで貰えてるんだから、これは立派にレギュラー出演者の一人ですよね。浮浪者の相棒として、名コンビとしていい味を出しています。
「犬が登場する時点で、お涙頂戴劇なんじゃないの?」と、とっくにマンネリの度が過ぎた昨今の風潮よろしく、“犬をダシに使ったお涙頂戴的な感動作品”という先入観から辟易しそうな人もいるでしょうけど、ほっこりするのがせいぜいなので、ご安心を…。
 
浮浪者、犬、歌手をメインキャラとしてお話が展開されます。
仕事にも就けず、家もない浮浪者。
仲間からいじめられる犬。
客の相手もできず、クビになる歌手。
――と、三者とも社会からつま弾きにされるような存在です。
そんな小さな存在であっても、心が通い合う者同士が身を寄せれば、小さいながらも幸せを得る事ができるんですよね。
 
浮浪者たちは財布が戻って来た事をバカ正直に警察に届けるも、持ち主の紳士は強盗に襲われた際に記憶喪失になってしまった。持ち主がいないんだからアンタらの物でいいんじゃない?――という、当時のユルい道徳観念に基づいて、本作がハッピーエンドで終われる理由を想像してみました。
もしくは財布を返した後、2人と1匹で頑張ってああなったとかね。
多少の曖昧があるから自分なりの想像で補完するのも、映画の楽しみの一つだと思うんです。
 

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商品名通り、短編集という事で本作に加え、『担へ銃』『偽牧師』を収録しています。

そもそもこの3作とは、1959年に『チャップリン・レビュー』と銘打ったリバイバル版として併映されたそうです。

作品間にはチャップリンさんのイントロダクションがあり、3作品イッキに観るのも良し、日を改めて別の作品を観るのも良し、ですよ。