観た、『モダン・タイムス』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『モダン・タイムス』を観ました。

 

巨大な工場で働く男(チャーリー)は、過酷な労働に耐えきれず精神に支障をきたしてしまう。

その後、ストライキのリーダーと勘違いされた男は逮捕されるが、脱獄を図る囚人を食い止め、晴れて自由の身となる。

街に出た男は、家族や家を失った娘と知り合い、心を通わせた二人は家を手に入れる決意をする。

しかし仕事はクビになったり逮捕されたりと、事はうまく運ばない。

そんな折、踊り子として仕事を見つけた娘は、男も同じ店で働けるよう口を利いてもらい、二人は夢に近付くが……といったお話。

 

ギュウギュウに押し詰められた羊の群れが、工場に出勤する労働者の姿にオーバーラップするファーストカットから、皮肉っぽい作品になりそうな予兆です。

今でこそ本作は、産業社会や機械文明への風刺や皮肉に富んだ作品と評されますが、これを1936年という大昔に世に問うているんだから、チャップリンさんの先見の明があるのみならず、勇気や覚悟を感じます。実際、チャップリンさんもその手の嫌がらせは多々受けてきたみたいですが、この手の社会的メッセージを含んだ内容は、今も昔も左とか右とかがネチッこく絡んでくるから…。

コメディという体を取っているんだからと、本作を見て心底からゲラゲラ笑える社会人は、きっと多くの人たちに羨ましがられる立場にあるんでしょうね…。

 

本作では、まずチャーリーがキチンと職に就いているのが、チト衝撃的です(笑)。

その後、ノイローゼ気味になってクビになったり、逮捕されて留置所に入ったりしますが……なるほど、チャーリーが浮浪者になった原因はコレだった、つまり“エピソードZERO”的な前日譚なんだ!と、近頃の風潮に倣った見方もできますね。バカだと思われるけど

チャーリーは上昇志向がある割に、ああいう定職には向かないから、自由気ままな浮浪者という生き方を選んだのかもしれませんね(各作品に繋がりはないんだけど)。

奇しくも、あの浮浪者スタイルを拝めるのは本作で最後です。

 

本作のラストもウルッと来ますね。

やっと踏み出せた小さな一歩が、過去の小さな過ちのせいで台無しになってしまう。

けど、長い人生には数ある障害も、支え合える相手がいれば必ず次の一歩も踏み出せる――そんなメッセージを象徴したラストカットは、特に結婚を考えているような、未来ある若い人たちに見て欲しいですね。

 

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Blu-ray版は映像特典てんこ盛りですが、中でも面白いのは、チャーリーが歌う『ティティナ』のカラオケ映像。一般的なカラオケよろしく、曲の侵攻と共に歌詞の字幕の色が変わっていくアレ方式です。

メロディは知っている人も多いけど、歌詞を知れるのが貴重です。デタラメ言葉らしいけど(笑)。