『仮面ライダーブレイブ&スナイプ』を観ました。
仮面ライダークロニクルを巡る戦いが終わり、仮面ライダーとなったドクターたちはそれぞれの道を歩んでいた。
そんな中、捕らわれていた壇黒斗[ダン・クロト]が脱走、かつて消滅させたバグスター・ラヴリカ、そして飛彩[ヒイロ]の恋人であった小姫[サキ]までも復活させる。
その頃、再生医療センターを訪ねた飛彩は、ゲーム病で消滅した人間を再生させる研究を続ける紗衣子に希望を託す。
一方、大我[タイガ]のクリニックにやって来たルークがゲーム病を発病、ラヴリカによる症状と見抜いた大我は飛彩と合流、ラブリカの前に立ちはだかるが、そこに現れた小姫を目前にした飛彩は……といったお話。
スーパー戦隊のVSシリーズが定番化したしたように、ライダーの方もサブライダーのスピンオフ作品が作られるようになりました。
多人数ライダー作品なら選択肢も多く、本作の原作である『仮面ライダーエグゼイド』もそんな作品の一つです。
さて、内容としてはタイトルにあるように、仮面ライダーブレイブ=鏡飛彩[カガミ・ヒイロ]と仮面ライダースナイプ=花家大我[ハナヤ・タイガ]をフィーチャーした作品です。
この2人の因縁はテレビ版を観れば一目瞭然なんですが、一見さんでもどうにか理解できるような説明はあるのでご安心を。…とは言え、一見さんはゲームがどうとかという、本作のルールの方がよっぽど難しいと思いますが。
飛彩の恋人である小姫がゲーム病を発病し、担当医の大我は小姫を救えなかったという過去があるので、ちょっとピリピリした間柄なんですよね。
テレビ版=本編で描き切れなかった、そんな後腐れに決着を付けるのが本作なのです。
と言った感じで、主に描かれるのは2人を中心にした人間ドラマなので、ライダーのバトルは少なめです。
――これ、実に良い傾向ですよね。「仮面ライダーナントカのなんちゃらフォームが~」とか言ってる子には分かるまいけど。
近頃の仮面ライダーはひ弱そうな若造ばかりで云々とか、延々とリピート再生するジジィも(未だに)存在しますが、イケメンを起用する事で、ドラマを濃密に描けるようになったのは平成ライダーの功績です。
とは言え、まだまだ物足りないところは少なくなく、会話が盛り上がっている真っ最中なのに怪人が来襲したから、話の決着は捨て置いて変身!→バトルスタートといった感じで、先の会話を中断される事がテレビ版ではままありました。これは結構なストレスですよね。
ハッキリ言うまでもなく、この手のジャンルにおける戦闘シーンとはオモチャの宣伝タイムですが、本作のようなVシネであれば、そんなスポンサーの横槍は少し減るのかな?
敵と戦うのも大事だけど、変身前の、人間として生きている時の問題を差し置いてばかりじゃドラマが希薄になってしまいます。
オモチャの登場シーンを減らした上で、ドラマを少し複雑に描いても許される状況になってきた昨今の環境をもう少し生かせれば最高です。
脚本はテレビ版と同じく高橋悠也さん。
テレビ版1年分のみならず劇場版、そしてこの度のVシネマ版と、『~エグゼイド』の全てをたった一人で構築したんだから、これは紛れもなく偉業です。
なおかつ、ヘルプ扱いになりがちなサブライターが一切関わっていないという意味でも、『~エグゼイド』の世界観は高橋さん以外は水を差せないんですよね(スポンサーの意思は確実にあるでしょうが)。
それ故、たった一つだけ納得したくないのは西馬ニコの将来。
テレビ版の最終回のニコちゃんの進路にウルッと来た身としては、ちょっと辛いかな…。
丁々発止なやり取りをしながらも付かず離れず、大我と共に花家クリニックを切り盛りしていくんだろうなぁと思ってたんですがね。
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Blu-ray版にはメイキングやコメンタリーを収録。
特典の定番コンテンツなんですが……こういう変身ヒーロー作品→総じてちびっ子向け作品にメイキングを収録するのって、チト複雑です。
本来の視聴層である年端も行かない子供に、撮影の舞台裏→映像のウソを明らかにしちゃうのってどうなんだろう? 劇中で勢いよく転んでるけど、実は地面にクッションとか敷いてあったりする(笑)のを見てショックを受ける子も、世の中には確実にいるだろうからね…。
…まぁ、ちびっ子ほど、本作がリリースされている頃には次作『仮面ライダービルド』に夢中だ(った)ろうから、そもそも見ないか(笑)。
ところで、ライダー系スピンオフ作品が作られるのいいけど、最近のそれらの公開形態には少なからずカチンと来ますね。
会員限定のネット配信だったり、Blu-rayソフトのBOXの映像特典扱いだったり、最近で強烈だったのは鎧武の外伝のBlu-ray版で、みんな大好きプレミアムバンダイ限定&オモチャ付き&18150円の一択=いわゆる映像ディスクのみの通常版がないという外道仕様。
しかも24分で全2話収録というショボさ! 『てれびくん』の全プレDVDにも負けてません(笑)?
そんな片手間&お気軽に作れそうな規模の作品であっても、リップサービスを義務付けられる俳優さんたちが気の毒で気の毒で…。