『ゴーストシップ』を観ました。
マーフィーをリーダーとする海難救助チームはアトランティック・ウォーリアー号を駆り、難破船の引き揚げ成功する。
その打ち上げのさ中にやって来たフェリマンは、ベーリング海峡に漂う大型客船のサルベージをマーフィーらに依頼。フェリマンを加えた一行はベーリング海峡に向かう。
目的地に突如として現れた客船は、40年前に消息を絶ったというアントニオ・グラーザ号。
朽ち果てた船内を探索するマーフィーらの前に、次々と起こる怪奇現象。その中で、チーム唯一の女性であるエップスは、少女ケイティーと遭遇し……といったお話。
ガブリエル・バーンさん(おお!)を抜かせば無名に等しいキャストばかりだし、“ゴーストシップ”なんてベタなタイトルやら(原題すら『GHOST SHIP』だし)、このジャケットやら、いかにもB級って感じがプンプンですよ(笑)。
が、製作にはジョエル・シルバーさんやロバート・ゼメキスさんという、A級プロデューサーや監督が名を連ねている以上、それなり以上の作品を期待していいと思います。
ちなみに、ケイティーを演じているのは、
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の、エミリー・ブラウニングさんだったとは!
そんな本作、タイトル通りに幽霊船を舞台にしたホラー作品です。
開幕して5分後にアントニア・グラーザ号での悲劇が描かれますが、まさに目を覆うような惨劇で超インパクト。これ、映画史に爪痕を残せるレベルじゃないですか?
本作はずいぶん前に観た事があるんですが、もう一度見たかったんですよ(あまり何回も見るような映像ではないですが…)。
つーのも、漫画&アニメの『MONSTER』の、511キンダーハイムでのアレを見て、本作を思い出したのでね。
…あ、だからって、どっちが前出だとかパクったとか、しょーもねぇ難癖を付けるための裏付けのための再見ではないですよ?
ホラー作品ですから少なからずキツいシーンはありますが、↑のドギツいシーンをクリアすれば、あとのそれらはずいぶんマイルドに思えます(笑)。
ジワジワと寄って来るような怖さっつーんですかね?
誰もいないはず船内に突如としてケイティーが現れるような見せ方は定番ですが、プールの壁に打ち込まれた弾痕のアレとか、生理的というか本能的にもゾッとしますね。
40年間も放ったらかしにされていたせいで、どこもかしこも朽ちているアントニア・グラーザ号のセットは、実によく作り込まれているおかげで説得力がありますね。ちょっとした見どころの一つに思えます。まぁ、特にハリウッド作品レベルであれば、このくらいの美術はいたって普通の事なんでしょうが…。
アントニア・グラーザ号で起きる怪奇現象との勝負(?)が、本作の主な内容です。
ただ幽霊の怨念が船内に漂っているのではなく、それらはとある何者かによる意思によるものだとケイティーは示唆します。
この手の密室劇は、それまで共に行動をしていた人物の誰かが犯人であるというパターンがお約束ですが、別に犯人が誰であるかはどうでも良く、犯人のそれまでの行動(=伏線)がどう結びつくかが重要なポイントになります。
本作の場合は、船自体が怨念の集合体にでもなってるかと思いきや、犯人は(まあまあ)意外な人物である以上に、その目的や正体が驚きです。小さそうで大きなスケールのお話だったんだなと(笑)。
ガッカリというか、断固としてダメ出ししたい点がBGM=劇伴に関して。
本作は現代劇ですが、多くのシーンはアントニア・グラーザ号の船内であり、すなわち40年前=60年代の背景を舞台にしているという事です。
ケイティーがアントニア・グラーザ号で起きた事件をエップスに伝えるシーンがありますが、それは60年代の出来事。…にもかかわらず、ここで流れる劇伴がテクノ調っていうんですかね、いかにもコンピューター的な音楽で、当時の時代感にそぐわない。
ラストシーンからエンドクレジットに使われる音楽も、シャウトが多いヘビメタ的な歌で、あまりにミスマッチ。
若い人に向けた作品だからって、若い人に受けそうな音楽を使うのは違くないかい?
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そもそもホラーというジャンルに超A級作品と呼べるものは少ないと思うし、本作もB級というか小品です。
尺も91分と短めなので、サクッと観るにはちょうどいいどころか、それ以上の満足感がありました。
…ところで、続編はできたのかい(笑)?