観た、『日本沈没』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『日本沈没』を観ました。

 

無人島が沈んだ原因を調査するため、小野寺は田所博士を乗せた潜水艇で海底に向かう。

そこには見た事もない規模のトレンチ(溝)や乱泥流があった。

その後、伊豆方面で大きな地震と噴火が発生。山本総理大臣は識者を集めた会合を開き、そこに出席していた田所より、日本列島が沈む予兆を聞かされる。

それに備えた内閣は極秘裏にD計画を発案、田所を筆頭に数人の学者が招集され、小野寺もその中に加わる事になる。

そして、ついに大地震が発生。未曽有の天災は日本を崩壊へと導かせるが……といったお話。

 

周知の通り、重力がある環境下に生きる我々にとって地震は大きな脅威であり、避けられないものです。

今や日本人にとって、地震の代名詞と言えば阪神・淡路大震災、熊本地震、そして極め付けの東日本大震災が挙げられます。

劇中で、マグニチュード8の地震が起きるのだろうか?と問うセリフがありましたが、本作の公開は73年。

当時の記憶で最も新しい最大級の地震と言えば、関東大震災のマグニチュード8でしたが、今このブログを読んでいる多くの日本人は東日本大震災のマグニチュード9を体感、もしくは見知りしています。

あの記憶を呼び覚ませば、本作で描かれたのはマグニチュード9を遥かに超えるものです。

地震の多くは特撮で描かれていますが、73年の作品という事で、さすがに今の目で見てしまえば映像技術面で劣ってしまうものの、チャチぃミニチュアによるショボい特撮だなーと一笑に付すより、今だからこそ現実に起きたあれらの大地震がダブって見えてしまう日本人は決して少なくないと思います。

そして、遠くも近くもない未来、現実に起こり得る可能性がある事も予感しています。

だからって何の対策ができるわけでもないけど、初めてあの地震を見知った時の感情を思い出す意味でも、たまにはテレビで放送してもいいんじゃないかと思わせる作品です。

 

災害を題材にした映画は多々ありますが、地震を題材にした場合に考えられるする起承転結は、

 起:地震の予兆

 承:地震発生

 転:事後処理

 結:未来に向かって頑張ろう

といった感じが想像できます。

観た人なら分かると思いますが、これってネタバレにしてネタバレにあらず、ですよね。間違ってはいませんが、個人的にはちょっと衝撃的でした。

73年の作品という事で、この頃の日本はまだ高度経済成長の過渡期にあるのかな? そんなイケイケブームに水を差すような内容、かつこれだけスケールのデカい作品が公開できたんだから、大らかな時代だったんだなーと実感します。

 

東日本大震災=3・11以降の視点で見ると、庶民の描写が不足しすぎているのが短所の一つでしょうか。

一寸の虫にも五分の魂とは言え、小さな命をつぶさに描いていたのでは何時間あっても終わりませんから、ここは仕方のない話です。

国を構成する国民=ミクロではなく、それらをまとめる首脳=マクロの視点から、国は何をすべきか&何ができるのかを大局的に描いているんですよね。

なので、キャスティングはされていませんが、本作の主役は日本という国家なんじゃないかと思います。

 

地震の真っ最中、火を着けていなければどうにかなるという関東大震災での教訓を説きながら、身を伏せて耐え凌ごうとする家族のシーンがありましたが、その直後に起こる悲劇の不条理さと言ったら…。

個人的に、本作で一番のやるせないシーンです…。

もう一つ、『ジャーヘッド』にもありましたが、焼けた人間の死体、いや炭と化しているのもゾッとしますね。時代の割にキッツい事やってんな…。

 

その昔、どこだったかで大きめの地震が発生した際、きゃりーぱみゅぱみゅさんの“地球さん、落ち着いて下さい”みたいなツイートが炎上してたとかというニュースを見知りしましたが、何がいけないのか、俺ッチにはサッパリ分かりません。

きゃりーさんがどう感じているのかは知り得ませんが、少なくとも俺ッチが思うに、大きな天災とは、地球をいじめている人間に対する仕返しだと思っています。

本作では、地球も生き物だと捉えるセリフがちょいちょい出てきますが、それこそが答え。

生き物だから成長する、その過程での変化が、本作の問題の発端になるマントル対流の云々なんですよね。

多くの生き物は、かすり傷程度なら自然に回復できますが、深手を負えば治癒に時間が掛かる、もしくは永遠に治らない可能性すらある――それは地球という、我々が知り得る最大の生き物も同じという事です。

特に我々人間は地球を傷付けながら生かしてもらっているんだから、なるべく大きな怪我や病気をさせないよう気を遣おう、敬意を払おうという事から始めないと、さらなるシッペ返しを食らうんじゃないかと。

…と、こんな観念的な考えが劇中で語られる事はありませんが、常々思っている事を綴ってみました。要スルーです(笑)。

 

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個人的な見どころの一つとして挙げるのは、序盤で大活躍する小型潜水艇わだつみ。

実際に稼働していたものなのか、映画のために製作したのかは分かりませんが、どっちにせよカッコイイですね!

何年か前にバンダイやアオシマあたりが、潜水艇のプラモに躍起になっていた時代がありましたが(一瞬で終わったけど)、わだつみも発売して欲しかったですね~。

特にアオシマは、ムービーメカシリーズなんてのを展開していたんだから、是非ともお願いしたいところです。

お願いしたいと言えば、ブルーサンダーの再販もお頼み申し上げます、アオシマさん…。