『メイズ・ランナー2 砂漠の迷宮』を観ました。
謎の組織WCKDから逃れるトーマスらは、ジャンセンが指揮を執る施設に身柄を保護される。
快適な環境に訝しむトーマスは、自分らと同じように他の迷路から脱出してきたエリスと共に探りを入れてみると、ここで人体実験が行われている事を知る。
ジャンセンはこの実験の首謀者であるエヴァ、すなわちWCKDと繋がっていたのだ。
それを知ったトーマスらは施設から脱出。眼前に広がる砂漠と化した世界に絶望しながらも、WCKDに対抗する組織であるというライトアームを目指す。
道中で知り合ったブレンダらも加わり、ウイルス感染により凶暴になった人間=クランクやWCKDの追撃から逃れながらも、トーマスらはようやくライトアームとの接触を果たすが……とーいったお話。
アトラクション系の内容とは言え、“迷路”“ステージ”‟攻略”“トラップ”なんてワードを使いたがる配給会社のダッセー宣伝のおかげで、どうもゲーム感覚が強めの作品に思われがちですが、そこまでノーテンキな作品ではありません。
まぁ、原作の小説は若い人に支持されているとの事だから、そういうワードの邦画食いつきが良いんでしょうが…。
それどころか、まさかのゾンビ映画に移行です(笑)。
18年の作品であればセーフだっただろうけど、今となってはゾンビはもうお腹いっぱいですよねぇ。90年代のバンパイアもヒドかったけど…。
敵とされる組織は(字幕では)“WCKD”と表記されますが、セリフ(=発音)としては“wicked(ウィケッド)”として発音されます。
“wicked”という言葉を知らなかったので調べてみましたが、全うな組織に冠する名前にするには問題がありそうな意味でした(笑)。敵対する側の人間が呼ぶには皮肉が効いてますがね。
まぁ、原題にもあるから、配給会社が付けるテキトーな邦題に責任はないけど、今作においては“メイズ”要素は皆無です。
けど、“ランナー”要素は健在で、ま~今作でもよく走ります。
この“走る”という行動こそが本作の象徴で、何かから逃げつつ何かを目指すという、迷走する若者のメタファーでもあるんですよね。
オジサンはすぐに開き直って諦めちゃいますから…(笑)。
今作の主な舞台は砂漠。
“水没”ならぬ“砂没”した、高層ビルの半分が砂に埋もれてるようなビジュアルが圧巻です。
前作での、閉塞感を煽る迷路とは真逆の、だだっ広すぎる世界ってのが対極的で面白いですね。どちらにせよ目の当たりにした時の絶望ったらないけど…。
そして、今作のラストでの、意外などんでん返しも若者向け作品らしさ全開ですね。
いかにも取って付けたような、安っし~展開というか(笑)。若い人って、続編の臭わせとか好きじゃない?
まぁ、いよいよ次作は完結作ですから、どうなるのか見守っていきましょう。そこまで心を震わせる展開はないと思うけど(笑)。
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“若い人向け”という言葉を連呼しましたが、映像特典を見ると、一層その感が強まるんです。
なにしろ、出演者が総じて楽しそうにしていて、そんなテンションでいられるのは若い証です。
そんな同世代の出演者=仲間同士で盛り上がっているのを見てると、楽しい事もあればこそ作品=仕事に打ち込めるモチベーションに繋がるんだろうなぁとも思うんです。
節度を以てハシャいでる若者を、端で見ながら微笑ましく思うのは年寄りの特権です。
若いモンが浮かれてるのを見てイラっとするようでは、偏屈なジジィに成り下がってしまうから気を付けないとな…。