観た、『愛人 ラマン』 | Joon's blog

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『愛人 ラマン』を観ました。

 

メコン川を渡る船に、寄宿舎に戻る少女と中国人の青年が乗り合わせた。

ふとしたきっかけで知り合った二人は次第に親密になり、少女は青年の愛人として、秘密の関係が始まる。

貧しい家の少女は金を目当ての、華僑の青年は欲望を満たすだけの、愛のない関係を続ける二人。

やがて少女はフランスに帰国する日が、青年は結婚する日が近付き……といったお話。

 

…と、堅苦しい言い回しで粗筋を綴ってみましたが、平たく言ってしまえば、男から金を踏んだくろうとする女子が、ヤリ部屋でエンコーするというお話です(起承転結の“承”に関してですが)。

余談ながら、“(フランス領)インドシナ”、“サイゴン”なんて地名が出てくる点から、ずいぶん古いベトナムあたりのお話です(1920年代のお話だとか)。こういう風習は、それよりもっと古い時代からあったんだろうけどね。

劇場で公開される、世界中で公開される映画の割には際どいシーンが多く、それでいてPG12だのR15だのと言ったレイティングが見当たらないんだから、思春期真っ盛りの中高生には嬉しい作品でしょう。

かく言う当時の俺ッチも、本作を観る発端は、その辺にあった記憶がありますが…(笑)。

 

おそらく本作はエロティックムービーとしてジャンルされている(事が多い)でしょう。

上述した通りに際どいシーンも多く、映像ソフト化される際には“無修正版”なんて文言も纏わりつくくらいですし。

が、そう鼻の下を伸ばしていられるのも前半まで。

本来は文学作品が原作なだけあって、後半は特に深刻ムードです(前半もそこまで楽天的なムードではありませんが…)。

若い頃=初見時にも感じましたが、かなり歳を取ってから再見してみると、実に深みのある切ない作品であったんだと、いっそう染み入るものがあります。

今は下心MAXで観てもいいけど、ウン十年後に再見すれば印象が変わる作品じゃないかなと思います。

 

現実にも、いわゆるヤリ友やセフレと呼ばれる関係を継続している人は世の中にはいるようですが、そんな人たちとは、それで事足りているんでしょうか?

いやね、体の隅々を知ってしまえば、そこから一歩進んで、相手の人とナリをもっと知りたいという欲に駆られそうなものだと思うので…。一般的には順番が逆ですが、それはさておき。

体を重ねた上で、自らの身の上話でもすれば、それは少なからず情が湧いている証拠です。

お互いの境遇を話し合えるあたり、少女と青年は体だけでなく、少なからず心も通い合っていたと思います。

その上で、青年は少女を愛してしまった事を吐露します。

少女がフランスへ帰国してしまうだけでなく、自分は愛してもいない女性と結婚しなければならない……青年は苦悩の日々を送ります。

ただでさえ親の資産を浪費するだけのプー太郎(死語)でしたが、さらに堕落を重ねる青年の姿は、やや不憫です。

 

一方で少女の方はと言えば、母親と二人の兄に囲まれたギスギスした家庭で育っただけあってか、15歳にして心がスレてます。退廃的というか。

そんなバックボーンを持ちつつ、性的な関心も持つ年頃なだけあって、青年との出会いは偶然の必然だったのかもしれません。しかも金持ちなら、ダブルでしてやったりというか(笑)。

自分を愛するようになった青年の気持ちを無視するかのように振る舞う少女ですが、愛情に乏しい家庭に育ったせいでもあってか、青年の愛に気付けないという幼さが罪にすら思えます。

 

全体的に虚無感の漂う作品で、観終える頃には、鑑賞に臨むに至ったあの時の下心はどこかに消えている事でしょう(笑)。

ハッピーエンドともアンハッピーエンドとも言えないラストシーンが好きな作品です。

 

DVDの頃からですかね、商品名に“無修正版”と記されるようになったのは。

確かに修正はないけど、一般的なAVとは見せている物の度合いが違うので、これを詐欺だとか言ってみればバカだと思われるので、勇気があれば試してみるのも一興です(笑)。

おそらく劇場公開時は丸いボカシが入っていたんでしょうね、あの不自然な動きとか懐かしいな(笑)。