いわゆるロボットアニメにおいて、覇気のない主人公の元祖は『機動戦士ガンダム』のアムロだと言われています。
今やギャグとして使われるようになっ(てしまっ)た、「親父にもぶたれた事ないのに!」というアレも、そう言わせる一因になっているのは確実です。
けど、これは、その直後のシーンを生かすためのひと手間(?)にすぎないんです。
敵襲があっても戦おうとしないアムロにしびれを切らしたフラウが、今までの功績に自信を持てないアムロを軽蔑し、自分がガンダムに乗って戦うと言います。
そこで(やや)目が覚めたアムロは「悔しいけど……僕は男なんだな」と、自発的にガンダムに乗ります。
古谷徹さんを以て、好きなシーンだそうです。
…今思ったけど、『Z』において、ベルトーチカが言った「女の愛撫で男を奮い立たせることができるのなら、女はそれをする時もあるのよ」というセリフ、暗にこのシーンを示唆していたのかな。
話は逸れたけど。
『超時空要塞マクロス』で、それまで惚れた腫れたでウジウジしていた一条輝が、とゼントラーディの大艦隊との決戦を前に、人目もはばからずミンメイに告白をするシーン。
『新世紀エヴァンゲリオン』で、エヴァンゲリオンから降りたシンジ君が、友人が次々に倒されていくのを目の当たりにし、自らの意思で搭乗を決意するシーン。「僕はエヴァンゲリオン初号機のパイロット、碇シンジです!」ってアレですね。
――とまぁ、流されてばかりのヘタレ系主人公も、いつかは自分のすべき事に気付き、能動的に行動する、つまり男を見せるシーンがあるって話です。
どんだけクサいと呼ばれようが、俺ッチはそんなシーンがすごく好きです。
『0083』のコウにも、そんなシーンがあります。
正直、コウは根っからのMSバカですが、ガンダムを通じて、ニナ(=女性)との接点が激増しました。
接点が増えれば少なからずの好意は持ってしまうもので、ニナの事が気に掛かってしまうようになります。
そんなコウが、思い切ってニナをデートに誘おうとしますが、なかなか言い出せません。
結局、ハッキリ言い出せず、ガンダムの指がどうとかとか(笑)話を逸らしてしまったがために、ニナはキレてしまい、アルビオンより下艦せよとのお達しをOKします。
その後、始まった戦闘でニナが巻き添えを食います。その時の衝動でコウはパワーアップ(笑)、どうにかケリィに気迫勝ちしました。
戦闘終了後、漂流していたニナを救出したコウは、ここで一念発起。
「…来て欲しいんだ、僕と一緒に! そばにいて欲しいんだ…いつも!」
と、思いの丈をぶつけます。
おそらく『~0083』が好きな人にとっては、コウとニナの色恋模様がスゲー邪魔な要素に感じてるんじゃないかな? 劇場版では↑のシーンは丸々カットされているのが、その表れでしょう。
でもね~、個人的には名シーンだと思うんですよね~。
ロボットに乗って、戦って、強いところを見せるから主人公?
強いor弱いなんかさておき、いざという時に行動に移せる意志があってこそ、感情移入できるキャラになれるんじゃないのかなと思うんだ。