『いつか陽の当たる場所で』のSP版を観ました。
放送は4月1日だったんですが、精神状態が平静な時(?)に没入して観たかったので、こんな今さらな時期の鑑賞になってしまったワケです。
で、内容ですが、良くも悪くも連ドラ版と同じ雰囲気です。
自分の近親者にはムショ暮らしをカミングアウトし、ある程度の理解を得られた芭子[ハコ]&綾香。
しかし、生き続けていれば、接する人間は否応なしに増えていくもの。
新たに知り合った、かつ親しくなっ(てしまっ)た人々にカミングアウトしたところで、全ての人々が理解してくれるとは限りません。
人間が2人以上で生きていく上で、世間体というものがいかに大切であり、いかに忌まわしいものかを感じさせてくれます。
今回は、決断を迫られる場面が多く見られます。
ひっそりながらも、そこそこまともに生きていけるようになった芭子&綾香。
シャバで自分に温かくしてくれる人が増えてきたものの、だからこそそんな人々に対し、嘘や隠し事はしたくない。
なら、過去を包み隠さず打ち明ける事が、自分にできる最大の誠意なのではないか?と。
この辺の葛藤は連ドラ版でも描いていましたが、今回も同様。
そして、自分の犯した過ちの重さや、世間の視線の厳しさを思い知らされるのです。
人でなしという呼ばれ方が相応しい人間が起こす事件は後を絶たず、その都度、存在を否定するような世論が、特に多くはネット上を駆け巡ります(人間が持ち合わせている意地悪な面を加速・表面化させるのがネットの役割ですから)。
…けど、ホントはそれじゃいけないんだよね。
魔が差す時は誰にでもあるんです。大なり小なり、人間なら誰もが過ちを犯します。
なのに生き続けられるのは、誰かしらの許しがあるから。
そして、許されたのであれば、その恩を何かしらの形で返すのが義務と言ってもいいでしょう。
芭子と綾香を演じる、上戸彩さんと飯島直子さんのキャスティングも絶妙です。
お二方に関しての見どころは笑顔。幸薄そうにしか笑えなくなった芭子と、無理をして強がってでも笑おうとする綾香の笑顔は、見ていて胸が苦しくなりますね。
またいつか再放送でもして欲しい良作でした。