『鳥人戦隊ジェットマン』!
スーパー戦隊シリーズに革命をもたらした作品だけあって(断言)、やっぱり面白い。
本作の白眉は、戦士も人間であると強調している点にあります。
戦士は悪を憎んだり倒そうとする気持ちが人一倍強いものですが、感情の100%がそれで占められているわけではありません。
戦士だって人間。そして人間なら憎む心を持っていれば、愛する心も持っている。
それまでのヒーローモノにおける戦士の愛情の対象は、自分の住む世界だったり人類だったりと、スケールのデカいものばかりでした。
けど、フツーの20歳前後であれば、愛情は異性に向けたくなるものだよね。
ステレオタイプのヒーローのような滅私奉行ではなく、本能に基づいて行動したがるのがジェットマン(に変身する5人)の魅力なのです。
本作は冷やかし半分(?)でトレンディドラマと形容されますが、個人的には大歓迎。
なにしろ、敵をやっつければいいだけだったヒーロー作品において、“ドラマ”の部分を今まで以上に掘り下げてもらえるようになったんだから。
それまでのヒーロー作品にもドラマ要素はあったけど、キャラクターの人格を軽視する傾向が強いんだよね。まぁ、本作でも一貫性があるとは断言できない回もありますが(笑)。
近年はイケメンヒーローのおかげで変身前の俳優の見せ場が多くなっている、つまり、必然的にドラマ部分が増えている傾向にあります。オモチャ屋の宣伝でしかなかったジャンルの番組にドラマを、大げさに言ってしまうと“文芸”の要素を取り入れられるようになったのは『ジェットマン』のおかげだったんじゃないかなと思い込んでいます。
1年を通して数回は本筋に関係ない話(=見逃してもガックリ来ない話)があるのはスパ戦の常。
現在10話まで観終えましたが、そういったどうでもいい話の中には、なにげに現代社会に対する風刺を混ぜているんだから感嘆します。
いくら着飾っても中身が付いてこなければ本当に美しいとは呼べないとか、待ち時間を惜しむ割には無駄な時間を過ごしているとか、ハッとさせられるメッセージを含んでいるのが深いんだよね。
特に後者は荒川稔久が脚本を書いているんですが、近年のこの人の仕事ぶりを見る限り、そこまでの深慮遠謀は皆無だと思いますが(笑)。
例の色恋事情の先行きはもう分かっていますが、そこに至るまでの経緯というか、各キャラの感情の機微を読み取るのも面白い。2周目以降の楽しみですね。
ジェットスワンの操縦が上手くできない事を咎められた香が、まるで挑発するかのように過剰に竜に口答えをするシーンがありましたが、なるほど、この時点で既に惚れていたのかな~とか。
カンケーないけど雷ちゃんよ。香には、君の好きなタンポポの要素はないと思うぞ。