- クチコミはこうしてつくられる―おもしろさが伝染するバズ・マーケティング/エマニュエル ローゼン
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クチコミを誘発する・・・。これは商売をしていると非常にやってみたいことの一つです。マーケティングの中にもいろいろな手法はあると思いますが、やはりクチコミに勝るものはないんじゃないか、と思うほどです。
確かにクチコミは大規模に、なだれのように起こるかといえば、そんなことはないです(と思います)。なので、売れているその原因がクチコミだったかどうかというのはなかなか難しいところがあります。購入の都度、アンケートをとり、誰かに紹介されたのか、どうかを聞いたとしてもです(アンケートは歪曲されるのが常ですから)。
それでもやはりクチコミは強力だということは認めざるを得ないですね。すべての選択を自分自身で行っていると思っている人でも人の意見は少なからずも参考にして、チョイスしているというのは日常茶飯事です。もともと興味があるものに対してクチコミが発生する、いわゆる補完的な意味合いでのクチコミはさらに効果が高いでしょう。こういう時は「もとから欲しかった」と人は言うみたいです。
この本の副題にもバズ・マーケティングの文字が躍っていますが、この手法はインターネットが普及し、ブログやSNSで簡単に情報発信が出来るようになったことで、もてはやされていますが、なんとなくクチコミとは似て非なるものではないか、と思っています。
この本ではそこの違いについては書かれていなかったと思うのですが、ブログなどで書かれているものは、見ず知らずの人になり、どちらかと言えばその書かれてあることは「情報」にはなり得ても行動を起こす起爆剤になるかというとやや怪しい感じがあるからです。
ブログの情報の信頼度、つまりブログの作者を知っている、あるいはそのブログが自分の属するカテゴリーによって運営されている、などがないとパイプは細くなると思います。
この本にも書かれているように、クチコミはやはりコミュニティを作ってそのリーダーからの発信で広がるものだと思います(ハブ、クラスターという表現で書かれていましたね)。リーダーというのはいつもリーダーかというとそれはその状況や商品によっても変わるということで、同じようなコミュニティでも発生源はいつも変わるので、固定の誰かをターゲットに情報を投下していてもダメで、そこがやはり難しいところではあります。
ですが、クチコミが広がる方法というのはやはり本書に書かれているように王道というか当たり前のルートでの発生事例になると思います。ですが、先にも書いたように、その発生プロセスを逐一、追っていくことが難しく、見えにくいということがあるので、途中で頓挫してしまうことが多く、より緻密にそのプロモーション結果を計測できないというのがクチコミを科学できていないというところではないでしょうか。
クチコミを仕掛けてもやはり最低限の条件(それが話をするに値するか、どうか)が必要になってきます。少々同じことの繰り返しであったり、ネットの出始め的な話が多いので、読破スピードが鈍るかも知れませんが、クチコミのための基本を抑えたい人にはお薦めです。