さて、今日は、またいつもの小説創作の話題。
これは前に、このブログでも紹介したんですが、その時はチラ見程度だったのが、
やっと、半分近く読めました。
(おい、まだ半分かよ)
三浦しおんさんの『マナーはいらない』(集英社)
僕は単行本で買ったのですが、’20年刊行なのに、もう文庫化されていますね。
この本、今まで読んだ、小説創作本の中で、一番、腑に落ちるものでした。
いわゆる、文章読本は、谷崎潤一郎のものとか文豪が書いたものから、高校生の時に読んで、
「へぇー、凄い」と感心はしたものの、全然参考にならないと思ったものでした。
が、それらとは全然、違います。
しおんさんの本では、書けないポイントを指摘しつつ、書けない壁を変えるポイントへの巧みな誘導がある。
もしくは、書けないポイントからの脱却には、どう考えたらいいかを、懇切丁寧に教えてくれる本でした。
今の僕のレベルにはぴったりです。
文豪の文章読本は、どこが、どう違うかというと、その手の文章読本は、作家が自作の宣伝を兼ねての、自慢話になりがちで、
プロ級に書ける人向けな気がします。
また、文章表現そのものについて語っているだけで、長編と短編の違いとかを無意識的に抜かしている気がしています。
一方、前にこれも書いた鈴木輝一郎さんのマニュアル本も、ある意味で、長編小説を書く際の、注意事項や道案内としては参考になるけれど、
まるでレシピを並べただけのもので、それで、美味しい料理はできない。
肝心の「美味しさの秘訣」や「不味い料理からの脱却法」は、スポッと抜けているんですね。
おそらく、発想やら文章表現についてのベスト・オブ・ベストは、以下の本です。
ただ、この本も適切に読まないといけませんが。
この本は、大昔、僕が京都芸術大学の文芸コースの課題図書だったので、全編詳しく解析しております。
僕が詩や短編小説なら、今、すっと書けるのは、ある意味、この本での訓練のおかげだ、と言えなくもないです。
でも、この本はあくまでも、文章表現の基礎なので、長編小説には不向きです。
以下、最も感動した、三浦しおん『マナーはいらない』の一節、214-215ページです。
「大事なのはやはり細部で、(略)語り口や文章がどういう味わいなのか、などではないでしょうか。
『がんばれ! ベアーズ』と『シン・ゴジラ』は傑作かつ同じ構造(「弱小チームががんばって目標を達成できるのか否か」)を持っていると私は思いますが、(略)
作品の個性や美点は細部にこそ宿るのです。」
この一文を読んで、僕はハッとしました。
自分が無意識に、「新奇なストーリー」「オリジナリティ神話」に呪縛されており、これこそが【ストーリー展開の呪縛】だよなあ、
と改めて実感したからです。
物語に基本のストーリー構造があることは、僕自身も嫌というほど知っています。
ウラジミール・プロップの『昔話の形態学』ですね。
もう何十年も前から知って、本を持っております。
しかし、その形態を知って解析はできても、全然、小説へ転用できませんから。笑
たぶん、文章を書く思考というのは、身体性を伴う感覚的なものだから、「知識」だけでは体現化できないんですよね。
今回の、三浦しおんさんは、この本は、たくさんのエピソードで、その「身体感覚」を言祝ぎつつ、教えてくれる名著のように感じます。
また、完全に読み終えたら、続報を書きますね。





