深大寺恋物語15集は、直木賞作家でもある選者5人の、10枚の恋愛テーマでの見本作も載っている特別版だ。
まあ、参考までに、と取り寄せみたが、どれも素晴らしい傑作で、びっくりした。
(みなさん、ぜひ取り寄せて、買うべきですよ)
というか、申し訳ないが、他の素人の、他の各11集や、19集などの正賞作品が、
それら5人のプロ作品と比べると、その力量差に愕然とするほとだ、と感じた。
他の正賞作品がダメだと言っているのじゃない。
どれも面白いし、上手いなあ、僕にはとても書けないなあと感じさせられた。
でもね、素人さんは皆、規定枚数10枚の中で書こうとしている。
ところが、プロ作家は、むしろ書きたいテーマは直接書かないで、ゲシュタルト空間の中にあるように感じた。
5人、どの作家の作風も全く違うのに、共通して、書いてない表現が読み手の心の中に再生されるんですね。
すごく勉強になりました。
また、5作品どれも面白くすごかったんだけど、今村翔吾さん以外は、大人の恋、過ぎ去った過去の時間がたっぷり入った作品だった。
意外にも、時代作家で、一番そういう爽やか系を書かなさそうな今村翔吾さんが直球の青春小説だった。
しかも、重厚さはないのに、底が浅いものではない、爽やかだけれど、若者の、微妙なたゆたう心情が描かれていて、
読んでよかった。
生きててよかった、に近い気持ちを持ってしまった。
見事に、これ1作で今村さんのファンになってしまった。
今まで、今村さんの作品をチラ見しかしてなかったので、慌ててブックオフで、その時代小説の短編を集めようと思ってしまう。
(井上荒野さんの作品も面白くて、集めだしています。
角田光代さんや、もちろん、江國香織さんは前からファンで、上手いのは知っているし。作品をたくさん持っていますので)
こうして、行動してみると、
この深大寺恋物語の研究をすることは、シンクロニシティ的な流れのあるんだな、という気がしてくる。
もちろん、10枚の作品は今回、書いて応募するけれど、リミットの今日と明日の朝早くまでに書けるのかどうかは、微妙だ。
常識的には、無理だし、単に小説教室の締め切りだから、後回しで構わないんだけど、
今、この時に書くべきだ、という気がしている。
文學界新人賞へ向けて、6月残りと7月は全力投球で描きたいからね。