藤井聡太くん、渡辺明棋聖とのタイトル戦の第1局を勝利しましたよね。
続く第2局は、28日に見れると言うことで、楽しみです。
と書いたものの、将棋はコマの動かし方とルールしかわからない。
それが残念で、時々本を買って、勉強しようとか思ってしまう。
それは数年前の、藤井くんが登場して以来です。
そう言えば、藤井くんとヒフミンこと加藤一二三九段との詩で、
某新聞で詩の特選を取ったことがありました。
珍しく、その自作をここに書きたいと思います。
* * * *
「地図」
ある朝
少年のようなお爺ちゃんと
オジサンのような中学生が向き合って
もの閑かに地図を眺めていた
縦横九マスずつの地図には世界が映る
そこは乾き切った響きの世界
中指と親指に挟まれた黄楊の木造りの
駒の音だけが支配を告げる
五角形の駒たちは千年前から同じ姿
一歩一歩しか進めない九匹の鈍亀に
斜め飛び猛牛 縦横無尽の強面鳶も
違いがあるから 対局は面白い
弱者も 強者もあるようでない
殺されたとしても新たな生が得られる
理はどこにある
鳥や 魚に 聞くのか
雲や 大地の下を 探すのか
棋盤の目の張り詰めた静かな空気
確かに存在しているルールを
私たちは ふだん気づかないで暮らす
知らぬ間に私たちも二本指で挟まれて
駒音もなく 打ち続けられているのに
八〇歳過ぎて 投了の声が掛かる
その 朝まで
* * * *
最初、この詩は「現代詩手帖」へ出したんですが、
全然、ダメで不掲載。
でも、いい句だと思って、この某新聞に少し手直しして、投稿しました。
将棋の世界への憧れを、自分ありに人生とアナロジーで結んだ作品でした。
結果、評価してもらったことで、
アナロジーを詩の根幹に据える自分ありの作風が確立されていったのだと思います。
また、いつか、藤井君のことを詩に読みたいと思います。