講演会② 菜の花忌、司馬遼太郎賞の授賞式とシンポジウムへ | 読書と、現代詩・小説創作、猫を愛する人たちへ送る。(32分の1の毎日の努力を綴る)

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文学創作と大学通信等を書いています。【やりたい夢(小説家)がある1/2→夢を叶える努力をする1/4→完成作を応募(挑戦)する1/8→落選する1/16→落選しても諦めず・また努力・挑戦する1/32】(=日々、この1/32の努力を綴るブログです。笑)

土曜日、詩の教室を午前中に終えると、
そそくさと大阪のNHKホールへ向かいました。

菜の花忌シンポジウムを聴講するためです。
これは司馬遼太郎記念館の主催で開かれて、
今回の司馬遼太郎賞の授賞者は、作家の、朝井まかてさん。

二度ほど、まかてさんの講演会を聴講したことがあります。
今回は、授賞スピーチは5分ほどの短いもので、大阪商人を主人公にした授賞作品の紹介でした。

ファッショナブルなドレス姿で、シラーのことば「偉大な芸術家は、我々に対象を示す」を引用して、司馬遼太郎の『龍馬がゆく』がそういう作品であると説きます。

その上で、
「菜の花の海に漕ぎ出す我々の人生を示へるような」何十年の歳月にも負けない作品を書きたい。

人々は何を苦しんで、どんな風に時代を生きたかを語れるような小説を、
これからも、書いていくことの背中を押された気がします、とのことでした。

第2部は、作家の澤田瞳さん、安倍龍太郎さん、歴史家の磯田道史さん、元官僚の佐藤優さんの4人に、パネリストとして、元NHKアナウンサーを加えてのシンポジウムでした。

その中で、司馬遼太郎の「梟の城」を巡る話で、気に入ったことばをここに、記録します。

安倍: 3人称で書くと、どの人物も相対的に書かねはならないから、説得力が落ちる。なのに、司馬さんは違和感なく皆書けるのが凄い。普通は1人称だ

磯田: 天下人秀吉は組織力、忍者はスキル力だけの勝負になる。

澤田: ( 時代小説は、常に制約の中で書かれるが )私は、制約のある、資料の間を埋めるのが好きなんです。
安倍: それはそうで、空漠こらは何も生まれないのですから。
佐藤: 嘘のような本当の話と、本当のような嘘の話の両方を混ぜている。

(作中の忍者がクスリと笑うことに対して)
佐藤: くすりと笑うのは、やり手の国際弁護士か、やり手ののトレーダーですね。国家に囚われないポストモダン的な感じがある。
磯田: 私の知り合いでは、俳優の堺雅人がくすりと笑いますね。

安倍: 雇い主との契約は守るが、それ以外は無視する。今のアウトソーシングに通じますね。
   現代の忍者と言える無記名の新聞記者の原型は、明治時代の自由民権運動家の壮士ですね。

安倍: 司馬さんは、常にその価値観を読者に、匕首を突きつけて、問いかけてくる。今、そういう問いかけをする作家ぎ少ない。

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千円の参加料を払った価値はありました。
歴史小説家が何を考えて創作しているかが、実感としてよくわかりましたから。