ストーリーは、作家デビューを果たした若者がまだ高校生のころ、
田舎の自宅近くにあるミツザワ書店で、
たった一度した万引きと、その書店との関わりを描いた33枚ほどの佳品です。
きっと読む人によっては、つまらないと感じるありがちなエピソード作品なんでしょうが、
とにかく、そのありがちをうんうんと自然に読み込ませる角田さんの語り口が絶妙なんですよ。
一言で言うと、
【 周辺書き 】とでも言えばいいのでしょうか。
読み手が知りたい情報を、
イメージしやすく比喩でまとめたり、エピソードを綴ったりしながら、
無駄なく心地よいリズムで、ページをめくらせてくれる。
たぶん、僕が書く小説には根本的に欠けている、
プロの、御(み)技。
個々のパラグラフ、段落や文章の役割は僕にも分かるんですが、
果たして、自分がメインストーリーを語りつつ、
サブストーリーや脱線エピソードを上手く繋げられるか、というと、
まだ全然ダメでしょう。
この角田光代さんの、語り口を、
その感性を、自家薬籠中のものにすること。
それが今の僕の課題ですね。