コメントで、僕の中での「小説を書くこと」に関する質問がありました。
お返事が長くなるので、こちらへ書かせていただきます。
「小説を書かなければ生きていけないのか」とお尋ねいただきました。
僕自身は、新人賞を受賞しただけで、プロになれるかと問われれば、
全くそうは思っていません。
また、「小説を書かなければ生きていけない」
時々、そう仰ってるプロの作家の方がおられるし、またアマチュアでもそういう方がおられるのは無論、存じております。
羨ましいと思うと同時に、僕は限りなく近いところの感覚はあっても、そこまでは至れないな、と思います。
けれども、
小説(マンガや映像作品を含めた物語文化)を読まずに、本を一切読まずに生きていけるか、と、問われれば、
「いや、無理です。死ぬ方が、マシです」
これは、自信を持って断言できます。
回りくどいようですが、
なぜ書くのか、と問われた、これが正解でしょうか。
「小説が好きだから、書きたい」のです。
僕は昔、自分には、物語を紡ぐ天分は少しも無いと思って諦めて生きてきました。
小説とは、天から与えられた才能で書くものだと思ってましたから。
( バドミントンにしろ、絵画にしろ、天分でやるものだと信じて、ちゃんと「努力」しなかったことで、後になって、「あれ、出来るじゃん」と気づいたことがたくさんあります。)
バドミントンなどスポーツは、一流になりたければ、幼少期からの環境と指導者、天分ですが、
芸術分野は、絵でいう「ヘタウマ」が許されるので、二流も個性でなら、一番になれますから。
それで、その僅かな、あるか無きかの天分を育てようと決意してから、8年が経過して今に至っています。
プロ作家として活躍した人の中には、たまたま書いて応募した作品が受賞して、現在も作家を続けておられる方もおられます。
「作家になる(=本を出すこと)」と「プロ作家としてあり続けること(=一定以上売れる本を書くこと)」の間には、大きな差がありますから。
作家になるには、まず作品を書き続けること。
それが一番大切で、
次に、その作品のレベル(他にないオリジナリティとか)を上げ続けるしか無いかなと思っております。
思いの強さはあればいいと思いますが、
それは作品のレベルとは直接の因果関係はありません。
僕も、三年前、小説にに直接的に関係するものでは無いですが、
間接的には大いに関係する、全国規模のある賞を受賞した経験があります。
その賞とは無関係ですが、内容はほぼ同じもので、偶然にも同じ時期に出版社から声がかかり、共著で本を出したことがあります。
前者も、やった内容には熱意と自信はありましたが、真面目に取り組んだものであってもそれほど熱意をもって応募した訳でもなく、
後者は最初は無料のリーフレットか何かなんだと思って、気安く受けて原稿を書きました。
途中で、書籍として出版されるんだと聞いて、びっくりしました。
で、前者の結果が最優秀賞でした。
受賞パーティーで選者として選んで頂いた某有名な方から自分の原稿のオリジナリティを褒めて頂いたときに、
結局は、他を圧倒するオリジナリティさえあれば、受賞ってこんなにも簡単なものなんだな、と実感しました。
これで、お尋ねいただいた方への、お答えになっているのか、分かりませんが。