◆前回のあらすじ◆

 

前回——風除室のキスと、「mylove」。

 

40男が自分から呼び始めた恥ずかしい呼び名を、Gは嫌がらなかった。

 

 

 

 

【Gの言葉、そして「in loveしちゃう」】

 

 

 

 

Gは、こんなことを言う子だった。

 

「すぐお金お金言うフィリピン人は、嫌い」

 

これを、フィリピン人のGが言うのである。

 

WiFi工事代のZ、請求書のM、石鹸2万円のA——10年かけて積み上がった私の「お金と愛の見分けがつかない」問題に、まさかの当事者側からアンサーが来た。

 

ある日、店で隣に座ったGが、少し照れくさそうに聞いてきた。

 

「電話、いいの?」

 

テレビ電話をしてもいいかどうかの確認である。

 

私は迷わず答えた。

 

「もちろん」

 

その瞬間、隣のGが、小さく漏らした。

 

「私、in loveしちゃう」

 

英語と日本語がまざった、片言の一文である。

 

名詞と動詞の使い方が正確に言うと少し変で、だからこそ、営業の言葉ではないことが一発でわかった。

 

営業の告白は文法が完璧で、本気の告白は、いつも文法をどこか間違えている。

 

テレビ電話がどれだけのことか、経験者にはわかるはずだ。

 

時間を取られ、化粧を映され、部屋を見られる。

 

営業的には割に合わない行為である(ちなみに彼女たちの寮はWi-Fi完備なので、通信量の話ではない。

 

時間と、生活と、プライバシーの話である)。

 

ZもAも、ほとんどしてくれなかった。

 

——好きじゃなかったのかな。

 

と、Gからの着信画面を見ながら、ふと過去形で思ったりした。

 

過去の答え合わせは、いつも次の恋が代行してくれる。

 

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ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

 

このあと物語は、時計事件、黒髪、そして——「あなた、奥さんいるの? うそつき」から始まる、まさかのプロポーズへ。

 

喧嘩も、サヨナラも、離陸も。二人のすべての結末は、noteの有料記事(第3部・日本編/500円)にまとめています。

 

会って5分でプロポーズした男が、10年後にたどり着いた場所を、どうか見届けてください。

 

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