◆前回のあらすじ◆
第1部のあらすじ——高速90分先の店のZに2年通い、誕生日にパンダを贈り、桜の帰り道の一言ですべてを失った男。
一足目のナイキは、激情に終わった。
写真を全部消して2ヶ月後、物語は再開する。
【行く気はなかった】
Zの写真を消してから、2ヶ月が経っていた。
2025年6月。
友達と旅行に行くことになった。
成田発の早朝便。
前泊しようという話になり、空港から1時間ほどの街のホテルを取った。
それだけの話だった。
それだけの話のはず、だった。
夜、ホテルに着くと、友達が言った。
「ちょっと、行きたくなってきた」
どこに、とは聞かなかった。
聞かなくてもわかる。
私たちの「行きたい」は一種類しかない。
行く気はなかった。
本当になかった。
桜の帰り道の傷は、まだ塞がりきっていなかった。
でも私は気づけばスマホで検索していて、そして知ることになる。
その街が、フィリピンパブの多い街だったことを。
偶然である。
断じて狙っていない。
ただ、この物語を第1部から読んでいる読者は、もう学習しているはずだ。
この男の運命は、毎回「友達」の顔をしてやってくる。
◆次回予告◆
第2話「4ターン目の女性」——回転寿司ならぬ回転タレント。
3ターン目まで動かなかった心が、4ターン目で止まる。
この物語は全4部の実録エッセイです。
第1部・第2部は全話無料、クライマックスの第3部はnoteで公開しています。
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