◆前回のあらすじ◆
前回——帰国便のラウンジで、Aからの電話。
「私は待っていたのに」。
閉め出した女性の、待っていたという告白。
【全削除】
この後まもなく、私はZとAとMの、すべてを消すことになる。
トーク履歴も、写真も、LINEの友達登録も、全部。
Zの時のような怒りの削除ではない。
Aの時のようななし崩しでもない。
理由はただ一つ、たった一人の女性のためだった。
私はタガログ語で「パロパロ」と呼ばれる種類の男だったらしい。
蝶々、という意味だ。
花から花へ飛び回る男。
Z、A、M——なるほど、否定する材料がない。
海まで渡って、次の花へ移ろうとした男である。
パロパロ、海を渡る。
我ながら、この幕間にふさわしい題だと思う。
その蝶が、羽を畳もうと思った。
もう、どこへも飛ばない。
海も渡らない。
彼女に、嘘をつきたくなかったからだ。
◆次回予告◆
第3部「YES po」——最終部の舞台は、灯台の真下。
地元の、あの店である。
この物語は全4部の実録エッセイです。
第1部・第2部・幕間は全話無料、クライマックスの第3部はnoteで公開しています。
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