ぐだぐだ読書日記~年末年始総括 | 映画館でぐだぐだ考えた

映画館でぐだぐだ考えた

映画の感想、音楽、アウトドアについてなど、ぐだぐだと書き付けています。書いている期間だけが長いサイトです。

読書日記をひさびさにつけます。

もう取り返しもつかないほど、溜まってます。

某日。
「雪」オルハン・パムクを読む。

読みやすい新訳が、なんと文庫で登場。おいらは最初、英語で1/4くらい読んで、案の定ザセツしてしまったので、初めて読了した。

で、最後まで読んだ感想なのだが、実はその、ザセツしたあたりまでがこの本の一番面白いところである。特に謎の「イスラーム運動家」が登場して、Kaと会見するあたりの不気味さは、やはり新訳版で読んでも素晴らしい。

正直、「傑作」という誉れは過大評価かも、と思ってしまった。少女の自殺~殺人事件~クーデター、雪に閉ざされた国境の町、カルスと、これらの道具立てはいいのに、物語が少々盛り下がってしまうのだ。

しかし、それは「私の名は紅」「無垢の博物館」を読了した後だったから、これらの傑作には及ばない、という意味である。日本人にとって、トルコは親日的でエキゾチックな観光地であるが、その裏でこのような状況がある、というのが広く知られるのはいいことだ。


などと思いながら、でも読了するとやっぱり魅了されるのね。。

「生存者」PPリードを読む。

嫁の本棚から拝借。1970年代に、ウルグアイのサッカーチームを乗せた飛行機がアンデス山中に墜落。そのサバイバルを描いたドキュメント。本作は「人肉食」という衝撃的な事実で、他の要素がかすみがちだが、やはり「どのように70日間も生き抜いたか」の話は面白かった。

「ダークゾーン」貴志祐介を読む。

帰省の車中で読破したが。。。奇妙なゲーム小説。全てが悪夢の中のような。将棋に模した、実際の人間を使ったえぐいゲームを描いているが、う~ん。

文章の歯切れが悪いのは、確かに一気読みできたので、面白さ、という意味では評価すべきかもしれないのだが、それだけだった、という意味である。

貴志祐介。まだ「新世界より」は未読なのだが、もういいかも。

「ゼロ世代の想像力」宇野常寛を読む。

東浩紀を批判して登場した、サブカル批評家の出世作。この本に書かれた、「エヴァンゲリオン」すら見たことないが、論旨は非常に面白かった。サブカルの第一世代は「大きな物語」からこうしたサブカルチャーを批評しているが、ゼロ世代以降、そうした大きな物語は成立していないので、すべて的外れだという。

語り口は刺激的だし、論旨は明快で、こうした批評にありがちな「難解さ」「読みにくさ」がないのが特徴だ。

某日。
「絶望の国の幸福な若者たち」古市憲寿を読む。

東大大学院で社会学を学んでいる、そのキャリアに比して、なんて軽い語り口だ!小熊英二さんですらもう少し「肩肘はっている」感じがするのに。驚くのは、「売れている」こと。この重版ぶりはすごい。

内容は。。。ネット保守の取材のところが面白かったっす。上記とも重複するが、所詮、イデオロギーは「大きな物語」である。それが通用しないゼロ世代以降にとって、イデオロギーは関係ない。宇野さんとの論旨とも通底する内容に、ひざを打った次第。

某日。「インパラの朝」「誰も国境を知らない」など、「旅本」が控えています。。。これからざっと読むつもり。