映画感想「Looper」~タイムパラドックスは超えられたか? | 映画館でぐだぐだ考えた

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「Looper」を見てきました。

実は、「二番館スルー」しようか、とも思ったのですが、丁度時間があったので渋谷東急で鑑賞。

結果は、まあ、見てよかったです。

以下、ポイント毎に感想を書きます。

1.ラストが読めない!ストーリーテリングが絶妙!

時代は近未来。2040年代です。更に30年後に「タイムマシン」が開発されたのですが、その時代には全てIDがはっきりする社会になっているので、殺人をしたい組織は30年前、つまりこの映画の「今」にその人を送り、ルーパーと呼ばれる暗殺者に依頼することになっています。ルーパーはもしその仕事を辞めることを希望すれば、ある人物を殺すことを引き換えに足を洗えます。それは、30年後の自分、です。

今、この設定を書いていてもワクワクしてきます。そして、主人公ジョーは30年後の自分を殺すことができずに、掟を破ったため、組織から追われることになります。そして、その「30年後の自分」はある目的をもって、「今」にやってきたのでした。それは何か?というのもこの映画の見所です。

ラストまで、どうなるのか、まったくわかりませんでした。中盤、今のジョーが組織に追われてビルから落ちるシーンがあるのですが、それの結果を描かないまま、今度はオールドジョー(ブルース・ウィルス)の視点からそれが描かれます。この辺も、うまい、と思いました。

2.前半と後半ではトーンが違うが、それは評価が分かれるか?

後半、「ヤングジョー」が逃げ込んだ農家での話が延々、続きます。実はそこに、物語のキーとなる人物がいるから、ということなのですが、そのネタが割れるまで、ちょっと退屈かもしれません。しかし、やはり本当のラストのクライマックスに向けた、絶対に必要なシークェンスであることは間違いない。

3.タイムパラドックスを面白く見せる!

中盤で、現在のジョーと30年後のジョーが語り合うシーンがあります。それが妙に面白い。なぜか、二人の話がかみ合わない。おいおい。本人同士なんだってば。「オールドジョー」が、「お前はまったくわかっていない!」というのですが、おいらも過去のおいらにそれを言ってやりたいです。でも、この映画のように「ヤングアティッラ」もやはり納得しないでしょうけどww

「タマフル」でも指摘がありましたが、未来の人間をいたぶるには、現在の人間をいたぶればよいっていう描写が凄かったです。たとえば、現在の人間の指を切り落とせば、未来の人間の指がきえてゆく、というシークェンスの恐ろしくも面白いところに戦慄。で、ヤングジョーはオールドジョーを誘い出すのに、自分の体を使って、あることをします。それもう~ん!とうなるアイディア。

ストーリーテリングも含め、やはりよかったところでしょう。

4.町山智浩さんのベスト1。

町山智浩さんが2012年見た映画でベスト1、とおっしゃってました。面白いSFアクションかと思ったら、哲学的な話になっていた、というのがそのコメントですが、確かに考えさせられます。特に、上記したような考えつきもしないラスト。

話の辻褄も含めて、欠点がない映画ではありません。やはり中盤、ちょっと盛り下がるのが最大の欠点だと思います。ただし、スゴイ映画なのは間違いない。

アクション映画から哲学的な話へ。これぞSFじゃないでしょうか。

ところで、今日一日、ぐずる子供を見るたび、「TK炸裂だぜ~」と非常に怖かったことをお伝えします。映画をみれば、何のことかわかりますww