「なるほど。破壊か。それなら、初心者マスターでも扱いやすいし、小僧の体を無理にでも動かす活力を得られる、か」
まるで自分に言い聞かせるように言っているような男の声に、シェオルとジムは真っ直ぐ彼を見据えている。
先程とは一変した姿に、男は冷静さを欠いたように叫んだ。
「だが、覚醒したばかりのマスターなどに、負けはせん!」
言い放つと、自身のガイアに炎をまとわせ、斬りかかってくる。だが、それに、先刻までの凄みは感じなかった。シェオルは、あえて避けず、ガイア・リードで黒い悪魔の攻撃を受ける。
「俺を、誰だと思っていやがる?」
言ったのは、ジムの方だ。
「俺は、最強の、火のガイア・リードだ!!」
「はぁ…ッ!」
ジムの言葉に呼応するように、シェオルが気合いと共に男を弾きとばす。スピナーと剣、どちらが有利かは、さっきの戦いではっきりしていたはずだが、破壊のブースターがついたガイア・リードでは、普通のガイアに押し負けることはない。
そして、シェオルの口から、ゆっくりと紡ぎ出される言葉。
「業火、灼熱地獄!!」
解き放つが早いか、投げ出されたスピナーが黒い悪魔の体に絡みつき、一気に爆炎を上げる。
「く…っ! 最強と言えど、所詮は同じ炎のガイア。相殺など…」
容易い、そう続くはずだった男の言葉が、業火に飲み込まれていく。圧倒的すぎる力を前に、ついに、男のガイアが大破した。
「く…ッ、ぐあぁぁッ!!」
自分の身を守るものをなくした男は、ただただ炎に焼かれ、そのまま倒れ込む。
「加減はしてやった。感謝するんだな」
ガイア・リードの持つ魔術を発動しシェオルではなく、力を貸し与えたジムの方が吐き捨てる。だが、当のシェオルは、付加ブースターが切れた反動で息が荒い。
「やった、のか?」
「ひとまずは、な…」
褒めるでもなく、淡々とした口調で答えるジム。それを聞き、ようやく安堵すると、シェオルの体の力が一気に抜けた。
「おい!」
ジムの声が、どこか遠くに聞こえる。
そのまま、シェオルは意識を失った。