ミスティックゴート 8 | 気まぐれ図書館

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「残念だったな。もう、遅い」

「ッ…!」



 気付いた時には、周囲は魔物で囲まれていた。その奥にいる男は、くつくつと不気味な笑みを漏らす。



「まさか、お前のような小僧がマスターだったとはな。知らせてくれて、礼を言うぞ、女」

「く…ッ!」



 男の言葉に、セイルは悔しそうに歯噛みする。だが、いずれは知れたことだ。どうせ、姉の言うことに従う気など、毛頭ない。



「さぁ、ガイア・リードを渡せ」

「断る!」



 手を差し出す男にきっぱりと言い放ち、シェオルは剣を抜く。後ろで、セイルの回復を終えたらしいレット、そして、ザグも、ガイアを構えるのがわかった。



「ほぉ、ガイア・リードを使わずに、私に勝とうというのか?」

「ンなの、やってみなきゃわかンねェだろ!」



 言い放つが早いか、シェオルは手近な敵に斬り込んでいく。狼のような魔獣は、飛びかかってきたところを払いのけ、次いで、レットの援護射撃で吹き飛んできた魔物を袈裟斬りに伏す。



 ザグも負けてはおらず、”レオル=アルマ”を振るうと、それだけで周囲の敵を弾き飛ばし、一掃する。



「ほぉ…」



 三人の動きに、男は、本当にそう思っているのかどうか怪しい感嘆の声を漏らす。だが、深くかぶったフードの間から、嘲笑のような笑みが見えたような気がした。



「何がおかしい!」



 余裕たっぷりの男の反応に、思わず叫ぶシェオル。だが、今度は、男は声を上げて笑った。



「貴様等が、あまりに未熟だからだ」

「何…?!」

「シェオル!」



 挑発に乗って、飛び出そうととしたのを止めたのは、この中でも一番冷静なレットだった。次いで、ザグも、目で、やめておけ、と訴えてくる。



「この男、ただ者じゃない。ちょっと前に、噂になったろ? 黒い悪魔の話」

「え…?」



 唐突に聞かされたフレーズに、思わずシェオルは聞き返してしまう。だが、彼も、自警団に身をおく姉を持ち、自分もその手伝いをする傍ら、名前だけは知っていた。本名不明の指名手配犯、通称、黒い悪魔。



「なるほど。名前は通っていると見える」



 そう言い、男は、すっと手を前に差し出した。



「さぁ、わかったのなら、ガイア・リードを渡せ。さもなくば、村にさらなる被害を与えることになるぞ?」



 明らかに楽しんでいる口調で、黒い悪魔が笑う。だが、何と言われても、ガイア・リードは渡せない。それに、



「村も、村人も、これ以上、傷つけさせてたまるか!!」



 叫んで、シェオルは、魔物の群を越え、一直線に男の元へ走り込む。



「シェオル!」



 勢い余った幼なじみを救うべく、レットとザグも、それぞれのガイアで、魔獣達を退けながら、シェオルの後を追う。



 だが、