王子様とお姫様。 3 | 気まぐれ図書館

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気ままに綴っていきます。
主に、サイト更新関連かと。
社会人しながら、専門で小説の勉強中です^^

 今日は、週に一度、アレウッドの街に買い物に行く日だった。

 俺達の生活費は、全て俺が担っている。

 安定した生活。

 それ故、危うさも秘めた生活。

 きっと、彼女は気付いていない。
 知らなくても良い事実がある、この世の中には、いくらでも。

 そんなことを思っていると、

“次のニュースです”

 不意に、目にとまった、店頭のテレビ。そこには、高名な学者の姿。

「王子?」

 不意に、足を止めた俺に、姫が呼びかけてきたが、思わず無視して、テレビを見ていた。

“以前より問題になっておりました、不老不死の実験を重ねてきたウォン博士に対し、ついに倫理上の問題があるとして、宗教団体がウォン博士の実験を中止するよう、抗議活動を起こしました。なお、ウォン博士は、ラットでの実験で、不死についての研究を成功させており…”

「こんなことがまかり通るなんて、世も末だな」
「え…?」

 不意に、俺はテレビを見ながらそんなことを呟く。

 もちろん、俺達のことなんか知らずに、ニュースは報道を続けている。ウォン博士がどんな実験をしてきたのかを。

「いや、変なことを言ったな。悪い、忘れてくれ」

 何だ、この感情は。

 思わず自問しても、答えなどでない。
 わかりきっていたはずなのに、自分の愚かさに、思わず歯噛みする。

 そんな俺の胸中を知ってか知らずか、不意に、姫が口を開いた。

「人は、決まった時間があるから、精一杯生きようって思えるんだよ。不死なんて、意味ない」

 俺に同調したつもりで言ってみたらしい台詞に、俺は、思わず驚いてしまった。不意に、胸に去来する寂寥感。

「そうだな、姫も、たまには良いことを言うな?」
「たまには、は、余計!」

 自分の気持ちを誤魔化すように、茶化して言う俺の言葉に、姫は思わず怒鳴るように言うが、その後は、2人一緒に笑ってしまっていた。

「うちにはテレビがないからなぁ。あったら、姫も、もう少し教養を身につけてくれるんだろうけど。料理とか」
「もう、王子、しつこい!」

 笑い合って、冗談を言って。

 危ういけれど、少しずつ安定してきている。
 何となく、そう思った。