パパが女(アリッサ)になったとき LA発LGBTトランスジェンダー家族日記 -11ページ目

パパが女(アリッサ)になったとき LA発LGBTトランスジェンダー家族日記

「タイランドのトムクルーズ」とママ友からもてはやされたイケメンパパがある日突然「MTF(トランスジェンダー女性)である」とカミングアウト。苦労や苦悩もあったけど、私たち家族は大丈夫。LAから体験記を発信してきます。

 

Hello from LA

 

 

はじめました。カリフォルニアでトランスジェンダーのパートナーと娘2人の家族4人で楽しく暮らしている高山愛です。

はじめてのかたはこちらからどうぞ。

 

 

今日は会社で写真撮影があるとか言って、実際より2倍きれに見える鏡の前でいつも以上に時間かけて化粧して出掛けていきました。アイメークに時間かけすぎて、髪の毛をかわいくする時間がなかったんだって。

 

 

昔の「探偵!ナイトスクープ」でこんなエピソードがありました。依頼主(成人した子供を持つ中年の主婦)のご主人は依頼主と十数年も口をきいていない。依頼主はなぜ、夫が自分と口をきいてくれないのか、さっぱりわからず、探偵さんの力をかりて、なんとか理由を聞きだしたい。

 

判明した理由。このご主人はね、奥さんとの小さな口論がきっかけで、意地を張っちゃったんですね。「おまえなんかと口をきくもんか」って啖呵切ったら、いつのまにか、再び奥さんに話しかけるきっかけが掴めなくなっちゃった。引くに引けなくなっちゃって、十数年もの間、口を閉ざしていた。最後にこのご主人は奥さんに泣いてあやまりました。「子供みたいに意地張って、ごめんね、本当はいろいろ話がしたかったんだよ」って。成人した子供たちも「よかったね」って涙を流してた。

 

わたしは、アリッサに長い間腹を立て続け、「アリッサの話なんか聞いてやるもんか」って思ってた。このご主人みたいに。

 

もっともっと早くにアリッサの声に耳を傾けていたらよかったな。インタビューなんて口実。わたしはアリッサの本当の気持ちが知りたいのです。

 

 

さあ、質問にいってみようか。

「今後の目標は?」「老後はどんなふうに過ごしたい?」

 

 

見栄はらず、正直に答えるね。ポルシェを買いたい。それが自分の夢。子供の頃からポルシェが好きで、子供部屋の壁に何枚もポスターを貼っていました。ポルシェはね、高級車というより、走りに重点が置かれてるとこが魅力なの。サーキット用にデザインされたピュアなスポーツカー。

 

車を運転するのが大好きです。運転しているときはトランス状態、恍惚状態、もしくは入神状態になります。もちろん安全運転を心がけているけどね。自分をすっかり忘れて、神の世界に突入しちゃう感じ?ヨガと同じですね。イヤなことも全部忘れちゃう。残りの人生、一度はポルシェを自分のものにして、海岸沿いを豪快に走りたい。

 

ヨガは死ぬまで続けます。最近はじめたポールダンスもそう。おばあちゃんになってもがんばりたい。ロサンゼルス在住の女優で、政治活動家、作家、フィットネスインストラクタ−のJane Fondaがわたしの目標。80歳という高齢にも関わらず、彼女は聡明で美しい。ヨガフィットネスを教えているときの彼女の体を見たことがある?まるで、しなやかな筋肉を備えたヴィーナスみたい。心と体を鍛えて、年をとっても内面から美しく輝きたい。

 

家族について。娘たちには多くを望みません。強い心を持ち、正しい選択をして、幸せになってほしい。もし道に迷ったら、わたしや愛に遠慮なく相談してほしい。

 

愛はいつも夢に向かって走り続けているから、彼女の夢が叶うよう、側で応援していきたい。

 

 

タイに住む母親について。わたしがカミングアウトしたショックからまだ抜けられずにいるのが、とてもつらく悲しい。受け入れてくれるまで、どれだけ時間がかかるかわからない。一生受け入れてもらえないかもしれない。でもこちらから、あれこれがんばってアピールする気持ちはなくて、彼女の気持ちをレスペクトし、そっと見守っていきたいと思う。

 

 

 

 

パートナーのわたしとしては、ポルシェでずっこけたけど、正直でよい。きれいねお姉さんがポルシェを飛ばしてたら絵になるね。わたしはあなたとともに、貯蓄とか投資についてお勉強したいです。そしたらポルシェも夢じゃない。

 

 

次回のアリッサへの質問。「はじめて女性用トイレを使った感想は?」「トランスジェンダーのトイレバトルについて教えてください」。

 

 

 

いつもブログを読んでくださってありがとうございます。わたしはこのブログを書籍化を目標にして、真剣に書いています。それは、トランスジェンダーの人たちと彼らが関わる人たちすべてに伝えたいメッセージがあるからです。このブログとほぼ同じ内容を下記のサイトにも掲載しています。「読んでよかった」ボタン押していただけたら本当にうれしいです。よろしくお願いします。

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アリッサのヨガパンツ。日本では常識なのかしら。乾燥機使わず、きちんと室内干し。ずぼらなわたしとは大違いです。
わたしは何でも乾燥機頼り。
 
 
 
もうすぐ恋の記念日ですね。トレジョのバレンタイン用ガミー。パッケージがアリッサ好み。

 

 

 

この文章を書くにあたって、アリッサにいろいろ質問していたら、側にいた次女に「マミーはアリッサに許可をもらって、書いているの?アリッサはマミーがあれこれ書いて写真も載せて、それでいいの?」とちょっと心配されてしまいました。だいじょうぶですよ、すべてアリッサに許可をもらって書いてますからね。

 

 

さて、直撃インタビューシリーズ、第2弾、今回の質問は

「アリッサさん、LGBTQのお友達はいますか?他のトランスジェンダーのみなさんと仲良くしたい?彼らのコミュニティーに属したい?」

 

LGBTQの友達はいません。ソーシャルネットワークで知り合ったトランスジェンダーの人たちとオンラインで意見交換をしたり、困ったときにアドバイスを求めたりしますが、友達ではありません。会ってみたいとも思いません。

 

わたしの会社にはLGBTのサポートグループがあり、当事者と支援者合わせて全米で300名がこのグループに属しています。そのなかで3名のトランスジェンダーの男女と話しをしたことがあります。直接会って話をしたのは2名のみ。社内でカミングアウトするとき、2人にはアドバイスをもらいました。でも、話をしたのはその時だけ。社内のLGBTサポートグループはとても活発で、毎月イベントを開催しています。ボランティアとして参加し、できる限りのサポートをしていこうと思っていますが、このグループを通してLGBTの友達をみつけようとは思っていません。

 

もし偶然トランスジェンダーの人に出会い、彼、または彼女が当事者とわかったとき、たぶん、打ち解けて話をできると思う。でも自分から努力してトランスジェンダーの友達を探そうとは思いません。今の自分の状況にとても満足しているから。

 

トランスジェンダーとカミングアウトして、家族、友人、住む家、仕事を失う人がたくさんいるのは悲しい事実です。わたしは何も失わなかった。失うかわりに、たくさん人と知り合い、よい関係を築くことができた。昔からのヨガやバンド追っかけの仲間に加え、コスプレ、アニメ、ポールダンスを通して知り合った友人。わたしのカミングアウトは99%ポジティブな体験でした。残りの1%はタイランドにいる母親との関係。母の関係を修復できたら、100%満足ですね。

 

今、自分の居場所があり、幸せなので、他(例えばLGBTのコミュニティー)に助けを求める必要がありません。もし、差別を受けたり、つらい思いをしても、わたしには支えてくれる家族や友達がいる。だから、敢てトランスジェンダーの人たちと仲良くしたいと思いません。自分はトランスジェンダーだと自己主張せず、普通にひっそり女性としてわたしの人生を生きてゆきたいです。

 

 

わたしがアリッサと知り合った頃から、ずっとアリッサは現状に満足できる人でした。「あの日に帰りたいって思うことある?」とか「後悔はない?」という質問を繰り返すたび、アリッサは「今の自分が一番幸せ」「後戻りしたいと思わない」と答えていました。アリッサが幸せと思っているのを知って、わたしも幸せ。

 

 

次回の質問は「今後の目標は?」「老後はどんなふうに過ごしたい?」

 

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アリッサが一番気持ちを込めてるのはアイメーク。練習を重ねて、アイライナーだって3分できれいに左右対称に描けるようになりましたとさ。

 

 

 

肉食系の娘たちとわたしはクリームシチューよ。

 

 

豆乳ベースの辛いシチューはビーガンのアリッサ用。娘用とアリッサ用、シンクロするよう心掛けてます。
あたしって、ちょっといい女。
 

アリッサのカミングアウトについて今まで被害者、じゃなくてパートナーの立場から書いてきました。今回からがスポットライトを加害者、じゃなくて当事者のアリッサにあてて、アリッサの気持ち、意見をシリーズで書いていこうと思います。

 

素直に認めます。今まで被害者の色眼鏡をかけて、アリッサのこと、おもしろおかしく意地悪く書いてきました。ごめんね、アリッサ。もう色眼鏡はかけないよ。当事者のアリッサにだって、たくさん言いたい事、伝えたいことがあるはず。言いたい放題言ってもらいましょう。

 

 

初回はソフトな質問で行きましょう。

 

ずばり「アリッサさん、女らしくなるためにどんな努力をしていますか?」

 

化粧、ヘアー、ネイル、服装選びに時間を費やすのは、自分に自信を持って一日を楽しく過ごしたいから。

 

化粧は朝30分から40分かけて念入りにします。カミングアウトしてからYouTubeとか雑誌を見たり、友達のメークアップアーティストの意見を聞いたりして、常に勉強してきました。30分って普通でしょ?

 

最初に決めるのはアイメークのカラー。わたしは平日、毎日ヨガスタジオでクラスを取っています。まずその日どんな色のヨガウエアーを 着て、何色のヨガマットを使うかを決めてから、そのカラーと同じ色のアイシャドーをコーディネートします。色を統一するのが好き。休日はリップカラーもアイメークと統一します。青とか紫とか。

 

会社に行くときはワンピースを着ていくことが多いです。かわいらしい服が好きです。カミングアウトした当初は膝下丈のいわゆるペンシルスカートをよくはいていました。「膝下丈のスカートを履くときはハイヒールを、膝上丈のスカートの場合、フラットシューズを履くことがフランス流ファッションだ」と同僚が教えてくれました。その頃はミニスカートをはく心の準備ができてなかったので、ペンシルスカートとハイヒールが定番でした。今は自分が好きな服を着ています。

かわいらしいファッションが自分に似合うと思っています。

 

職場にはじめてスカートをはいっていったときの開放感は今でも忘れません。それまでずっと我慢していたので、「やっと自由になれた」と感慨に浸りました。スカートって気持ちがいい。ズボンはもう絶対履きたくないですね。束縛されている感じが大嫌い。自分が男性であったとき、ずっと束縛されていました。ズボンはそのときの自分の象徴。職場では金曜日はジーンズの日で、みんなうれしそうにジーンズをはいてきます。わたしは金曜日が憂鬱。最近はデニムのワンピースをはくようにしています。

 

 

学生時代からアバクロが好きでした。今はアバクロ商品はあまり買わないけど、カタログとかショップのディスプレイを見て、常にファッションを研究しています。日本人のファッションも大好きだけど、わたしにはサイズが合わないのが残念。

 

きれいに整ったネールは清潔なイメージを与えるでしょ。だからネールのケアもきちんとします。お湯に手をつけて、ちょっとふやかしてから、爪切りでギリギリまでカットします。仕事でコンピュータをよく使うので邪魔にならないように。そしてヤスリで丁寧に形を整え、表面もファイルして、甘皮を整え、ベースコートを塗り、マニキュアを塗ります。ネールは癒しの時間。心が落ち着きます。

 

髪の毛はがんばって伸ばしてます。ヨガスタジオの水がとてもよいので、シャンプーは自宅じゃなくて、スタオジオでします。カーラーで巻いて、ふんわりやわらかく仕上げるようにしています。カミングアウトしたばかりの頃はキュートになりたくて、ヘアクリップをしてたけど、自分には似合わないことに気がついたので、ナチュラルな大人の女性風にしています。同僚に「クリップやめたのね、よかった。あれはひどかった」と言われました。イヤな女でしょ、この同僚 (冗談よ)。

 

女らしく柔らかい声を出せるようにいつも気を遣っています。のど仏を手術して摘出する人もいるけど、わたしはもともとのど仏が小さいから気にしていません。仕事で見識のない人と電話で話すとき、よく「声が素敵だね」って褒められます。褒められるとさらにもっと女らしい声を出したいって意欲が湧きます。

 

ブラはプッシュアップブラで形のよい胸に見えるようにしてます。大きく見せたいのではなくて、ナチュラルに見せたい。ホルモン治療で胸は膨らんだけど、大きくはない。巨乳じゃなくてよいので、自然な感じに見えるよう、ブラ選びも気を遣います。

 

わたしはビーガンです。ヨガの先生の影響で動物愛護と健康のため、ビーガンになりました。ビーガンだから痩せるというわけではないので、食べ過ぎないよう、いつも食事制限しています。ホルモン治療をはじめてから、太りやすくなったので。目標はヨガのときにスポーツブラだけで運動すること。今はまだまだお腹まわりに脂肪があるので、無理ですね。

 

理想の体系はヨガの先生たち。体系だけじゃなく、中身も彼女たちが目標。しなやかに見えて、体も心も強くて美しい。わたしはヨガをはじめて6年になります。ヨガは体を鍛えるだけじゃない。自分と向き合うこと。自分を信じ愛することを教えてくれます。

 

 

アリッサのアイメークはその日に使うヨガマットの色とマッチングさせてたとは、露程におもいませんでした。ペンシルスカートの存在さえ知らなかった。あっぱれ、アリッサ。

 

次回の質問は「LGBTQのお友達はいますか?他のトランスジェンダーのみなさんと仲良くしたい?彼らのコミュニティーに属したい?」

 

 

 

 

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ポールダンス用の靴。腰痛になっちゃうよ、こんなヒールの高い靴はいてたら。
 
 

アリッサがカミングアウトして困ったこと、困ることは盛りだくさん。ブルーハーツ的に言うと、「いいことばかりじゃないけど、悪いことばかりでもない」。うーん、悪いこといっぱいすぎ。

 

 

鏡の奪い合い

ブスに見える鏡ときれいに見える鏡というのがありますよね。照明の色とか角度の違いかしら。我が家にはすっごい鏡があるんです。「本来の姿より2倍きれいに見える鏡」。

 

それはダイニングルームに隣接したトイレの中にあります。6年前に今の家に越して以来、このトイレがわたしの城というか、縄張りでした。スキンケア、化粧、髪しばりなど朝の身支度は必ずここでする。きれいに見える鏡で身支度すると気分が高揚するから。

 

カミングアウトして堂々と化粧するようになってから、アリッサがこのトイレに侵略するようになりました。アリッサもこの鏡のパワーに気付いていたのですね。そして自分を美しいと思い込みたい気持ちは女なら誰もが持っている。

 

でも、このトイレは、もう何年もわたしの縄張りだった。アリッサの化粧は時間がかかるし、小道具をいろいろ持ち込むから、トイレがごちゃごちゃするし。なので、わたしはとてもイライラします。

 

 

わたしの仕事が増えた

娘たちとアリッサの関係は良好。ふたりともアリッサのこと大好き。でも、なんてったってお年頃。ただでさえ、友達にどう思われるかがとても気になる。本音を言えば、お友達にアリッサのことを知られたくないのです。学校や習い事の送迎は時間の許す限り、父親(昔のアリッサ)に担当してもらっていましたが、今はすべてわたしが運転手。運転大嫌いなのに。

 

 

 

 

 

 

お金がかかるよ

半端ないです。トランスジェンダー専門のセラピーに通っていたときは保険がきかないので、一回のセッション200ドル。週1ペースで1年間通っていたそうです。後から聞かされてました。もう通ってません。

 

ホルモン治療は保険が効くからよいけれど、専門医の検診は保険が効かない。

 

クレジットカード返済地獄以来、カードでの買い物を一切やめたアリッサ。偉い。努力は認める。でも、やはり高級指向で買い物好き。服も靴も化粧品もよいものを買いたい。コスプレはじめたから、衣装代もかかる。ヨガの他に最近、ポールダンスもはじめて習い事にもお金使ってます。買い物依存症のときに買い込んだ高級時計をはじめとした品々を売りにだして、資金にしているけど、いつかは資金も底をつく。その頃までには女磨きの熱が冷めているとよいのですが。

 

 

レズビアンじゃない

Facebookで大好評したにも関わらず、アリッサは新しく出会った人には自分がトランスジェンダーであることを隠しておきたいようです。だから、わたしたちはレズビアンカップルと思われているかもしれない。姉妹、もしくは母娘と思われてるかもしれない。周囲の目を気にしなくなったと言いましたが、やっぱり同性愛者でないのに、レズビアンって思われるのはイヤだな。

 

父親不在

昔、父親だった頃、アリッサは子供たちを外に連れ出し、よく遊んでくれました。サッカーしたり、ビーチに行ったり。女になってから急にインドア派になったアリッサ。たぶんもともとアウトドアは大嫌いなのに、無理して付き合っていたのですね。サッカーに行くかわりに、娘たちに家でマニキュアしてあげてるから、まあいっか。

 

学校で、「父と娘のダンスパーティー」みたいなイベントがあるとき、娘たちはそのイベントについて一切触れません。娘たちの気持ちを想うと胸が痛い。

 

父親だった頃のアリッサが次女と買い物をしていたときのこと。アリッサがスーパー内でトマトソースのはいった瓶を床に落としました。ビンが粉々に割れ、床中にトマトソースが飛び散って、店中大騒ぎになりました。次女にとって、それは忘れられない、おもしろおかしい体験だったようです。カミングアウト後も次女がお友達にそのときのことを語るのを何度も耳にしました。娘は「わたしのダディーがね」、とまるでまだ父親が存在するかのように、昔の出来事を語るのです。

 

今のアリッサのことを友達に語るときも同じ。「ダディーがこんなこと言ってた」「ダディーがこんなおもちゃを買ってくれた」。そんなとき、わたしはとても切なくなって、娘をぎゅっと抱きしめたくなります。我が家にはもうお父さんはいないんだよ。

 

次回はアリッサに直撃インタビュー。

 
 

 

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2017年に作った「高山愛の宝地図」こと、ドリームボード。だいたい叶ってるよ。
 
 
 

 

わたしの好きな場所 。Lake  Shrine
 
今回はアリッサがカミングアウトしてよかったこと。
 

20年近く生活を共にした夫が女になったことは、確かにとてもつらかった。地獄を見た。でも、今の自分と昔の(アリッサのカミングアウト前の)自分を比べると、今のほうが数倍好き。

 

アリッサのカミングアウトは、天から与えられたわたしへの試練。試練を乗り越えたわたしに、天の偉い人がご褒美をくださったのかしら。

 

 

まず、度胸がついて自由になった。周囲の目なんかもう気にならない。怖いものなし。それはアリッサのことだけじゃなくて、わたしが選択するすべての物事に対して。自分が選ぶ道、 服装、付き合う人たち 。付き合いたくない人とは付き合わない。いらない関係はすっぱり切る。自分が着たいと思う服をきて、やってみたいことはなんでもチャレンジする。まわりの目を気にして、我慢するのはばかばかしい。 人生楽しまなきゃ損だと思うようになった。

 

 

自立の道を考えるようになった。カミングアウト前はアメリカ生まれの夫に頼りきりだった。一寸先は真っ暗闇 。 アリッサに好きな人ができて、離婚する可能性だってある。そのときに備えて1人で娘たちを育てていけるよう、家計のこと、キャリアのこと、投資や貯蓄のことなどを勉強して、もっと賢い女になる意欲が湧いてきた。

 

友人知人と深いレベルで会話ができるようになった。 人付き合いが苦手で、いつも表面的な付き合いしかしてなったわたし。今は自分が好きな人には自分たちの経験 をオープンに語るようにしています。そうすると相手も心を開いてくれて、自分の抱える問題を打ち明けてくれる。問題を抱えているのは自分だけでないことがわかり、相手をもっと理解したいと思うようになりました。

 

多様性を容易に受け入れられるようになった。LGBTだけでなく、人種、宗教、身体障害の有無、価値観。すべてをひっくるめて、違いがあって不揃いだからこそ、この世の中はおもしろいと思えるようになった。これは娘たちにも当てはまると思う。アリッサとの経験を通して、娘たちは心の広い人の痛みのわかる人間になったという自信があります。

 

義理の両親に言いたいことを言えるようになった。反対を押し切って結婚したので、義理の両親に気を遣い、いいたいことがあっても我慢して飲み込んでいました。アリッサのことで、たくさん苦労したので、わたしにだって、言いたいことを言う権利があると思うようになり、そうするようになった。自分の気持ちを素直に伝えることで、義理の両親との関係が改善された。

 

負ける賢さを身につけた。例えば、アリッサの化粧が濃過ぎるとき、以前だったら批判していたけれど、今だったら「今日のメーク、すごいゴージャス。似合っているよ」と、うそでも褒めちぎる。アニメエキスポに行きたいと言われたら「楽しんでおいで。帰宅は何時でもいいよ。でも、来週、私もお友達と遊びに行きたいから遅くなってもいい?」と素早く交換条件。相手に勝ちを譲ることで、もっと報酬を得られることを学んだ。

 

美しくなる努力をするようになった。美への努力を惜しまない

アリッサとともに生活していると、自然とわたしも努力するようになります。わたしだって、いつか恋をするかもしれないし。

 

 

こうしてみると、いいことづくし。

 

でもね、もちろん悪いこともいっぱい。次回はアリッサのカミングアウトで困ったこと、困ること。

 

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夢があるので、勉強苦にならない
 
女性専門のジムと近所の植物園で、ストレッチのクラスを教えています
 
 
 
今回は、アリッサのカミングアウトから、わたしが立ち直れた理由をまとめてみました。

 

1、気付き

不幸だったのは自分のせい。

人生にふりかかった困難をどう受け止めるかは自分次第。

幸せになりたいなら、まず自分の考え方、行動を変えることからはじめる。

相手を変える、相手をコントロールするのではなく、自分が変わる

これらの気付きが 立ち直りの最大の理由。

 

2、仕事が好き

マッサージセラピストとしての仕事が充実しており、よいクライエントに恵まれていた。家庭を離れてガス抜きする場所があった。

 

3、夢があった

マッサージの仕事と同時進行で、わたしは頭蓋仙骨療法とESSENTRICSというストレッチプログラムを勉強しています。夢は独立。自分のスタジオを持ち、これらの要素を取り入れたセラピー行い、クライエントの体と心と脳の健康をサポートすること。将来の目標があり、夢に向かって前進していたので、落ち込んで、撃沈してばかりはいられなかった。

 

 

4、娘たち

娘たちはもともと父親を愛し、尊敬していたので、子供たちからよいエネルギーをもらった。できた娘たちに支えられた

 

 

5、ママ友

もともと、ママ友との付き合いが苦手。深い付き合いを避けてきたので、カミングアウト後もややこしい、いざこざがなかった

 

 

6、両親

双方の両親が異国の地に住んでいるため、親や親戚への気遣いをする必要がなかった。

 

 

 

7、カミングアウト前の関係は冷めていた

カミングアウト以前の関係がラブラブでホットだったら、ショックは計り知れなかったと思う。わたしたちの男女としての関係は冷めかけていたし、セックスレスに近かったので、ラブラブカップルに比べるとショックは少なかったと思う。

 

 

8、時が解決してくれた

アリッサのカミングアウトでつらかったとき、わたしが相談相手として頼っていたのは、産婦人科の先生、メンドーサ先生でした。長女も次女もメンドーサ先生に取り上げていただいたから先生とは10年以上のおつきあい 。

 

 

コロンビアで生まれ、コロンビア育ちの美しく聡明な女性。人に媚びない。看護婦さんたちにはめちゃくちゃ厳しい。一見とっつきにくい感じがするけど、患者さん思いで実は情にもろい。仕事に対する真剣さが、看護婦をしている母を思わせる彼女を、女性として、職業人として尊敬していました。

 

 

男性だったときのアリッサのことをよく知っているメンドーサ先生。久しぶりの定期診断で「パパは元気?」と聞かれ、簡単に報告するつもりだったのに、結局、 すべてを吐き出してしまいました。

 

ご主人との関係で苦労され、セラピーに何度も通った先生。わたしにこんな話をしてくれました。

 

絶交、失恋、離婚、死別…

大切な誰かを失ったとき、わたしたちは感情のステージを経験する。

 

第1ステージ:ショック、否定

第2ステージ:怒り、反発、悲しみ、喪失感

第3ステージ:あきらめ、受け入れ

 

そして先生は言いました。「すべては時が解決してくれるから、あせらないでいいよ」。「怒り狂ってもいいし、泣き叫んでもいい。でも、夜明けのこない夜はないでしょ。大切な誰かを失って、感情のステージをすべて経験した後、もっと別の素晴らしい人生があなたを待っているから安心しなさい」と。

 

当時、第2ステージのまっただ中にいたわたしは、先生の言葉に感謝はしたものの、同時に疑問を感じていました。わたしに夜明けは来るのか?時が解決してくれるのか?本当に素晴らしい人生がわたしを待っているのか?

 

 

 

今はわかります。時が解決してくれることを。メンドーサ先生は正しかった。

 

時が経つに連れ、わたしはトランスジェンダーのパートナーのいる生活に慣れていきました。

周囲の反応に怯えて、不安や恐怖を感じていた時期もありました。でも、自分が思っていたほど、周囲はわたしたちのことを気にしていないことがわかり、また、ぶしつけな質問、反応への対処法も身につけました。

 

 

アリッサがカミングアウトしたばかりの頃、服装も髪型も化粧も中途半端、もしくはやりすぎ、盛りすぎで、男性ががんばって女装している感がぬぐえなかった。正直に言うと、わたしも娘たちも一緒に外出するのが恥ずかしかった。

 

アリッサは化粧を学び、ファッションセンスを磨き、今では一般女性より、もっと女らしくなりました。外出するときも、ママと娘とその女友達(もしくは親戚のお姉さん)といった感じで、誰もわたしたちを振り向いたりしません。

 

わたしが立ち直り、トランスジェンダーのパートナーを持つことを恥じる気持ちを捨てたとき、娘たちもさらに優しく強くなりました。

 

 

次回は「アリッサがカミングアウトしてよかったこと」について書きます。

 

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レモンは春の果物。カリフォルニアでは冬でもレモンがたわわに実ります。
マッサージのお客様からたくさんおすそわけしていただきました。
 
 
 
レモンをいただいたとき、わたしと娘は果樹をしぼって、
 
 
火にかけて
 
 
レモンタルトを作ります。

梶井基次郎の短編小説、「檸檬」とか、米津玄米師 ”lemon”とか、レモンにもいろいろあるねえ。

 

 

When life gives lemon, make lemonade.

 

わたしの好きな英語の諺です。

 

直訳すると「苦いレモンを与えられたら、甘いレモネードに変えちゃおうね」。

レモンは苦い思い、つらい出来事の例え。レモネードはポジティブな結果の例え。

 

「転んでもただで起きるな」と訳す場合もあります。でも、 高山愛的には「辛い体験をして辛酸をなめても、その体験から学んだことを活かして、一回り大きな人間になって、人生を楽しんじゃおうね」と訳したい。

 

 

学生時代から好きだった諺。でもね、自分が実際、ものごっつい困難にぶつかったとき、そう簡単にレモンをレモーネードを変えることができなかった。

 

 

 

(何度も書きますが)アリッサがカミングアウトして約2年間、わたしは深くて、真っ暗な穴に落ちて、暗闇をさまよっていました。きっかけはカミングアウト。でも、穴に自分を閉じ込めていたのはわたし自身だった。自分を不幸にしてた犯人は自分だったことにやっと気付いた。

 

脳活セミナーの先生の” What do you want in your life?”という質問がきっかけで。

 

 

わたしは幸せになりたいのに、そして家族を幸せにしたいのに、自分で幸せの道を閉ざしていた。

 

トランスジェンダーについて学び理解する時間はたっぷりあったのに、それを拒み、パートナーの話に耳を傾けることをせず、真剣な話し合いを頑に避け、いつも仏頂面をして、泣いてばかりいて、家族に辛い思いをさせていた。楽しいことがあって、心が浮き立ちそうになったときも「おまえには幸せになる資格がない」と自分を再び暗い穴に蹴落としていた。アリッサじゃない。犯人はわたし。

 

 

その夜、わたしは決意したのです。「自分の人生を変えるために、まず自分が変わるんだ」と。

 

トランスジェンダー関連の本や記事を読み、知識を得て、アリッサの気持ちをもっと理解しよう。アリッサときちんと話し合って、お互いの気持ちを確認しようと。

 

 

 

一大決心した翌朝、わたしは小さな嵐を起こしました。

 

出勤前のアリッサ。服装はいい感じ。でも髪はいまいち。もっさい感じ。普段だったら、ほっておく。でもその日、わたしは自分から買ってでて、アリッサの髪の毛をくるりんぱのクシャッっとしばりにアレンジしたのです。

 

アリッサの表情がぱっと輝きました。それを見ていた娘たちの目がキラッと光り、ふたりの顔が笑顔でいっぱいになりました。娘たちは大急ぎで子供部屋に戻り、リボンやら、髪飾りやらをごっそり持ってきて、「今日のアリッサの服にはこの色のリボンがいい」と大騒ぎをはじめました。

 

わたしはそのときね、2階の寝室にかけあがり、トイレに駆け込んで、ばかみたいに泣いたのです。トイレの壁に 頭をゴンゴンぶつけて、嗚咽したのです。

 

わたしはバカ者でした。家族のみんなを笑顔にするのは、こんなに簡単なのに、ちっとも気付いてなかった。なんの努力もしなかった。

 

 

これがわたしの転機。わたしたち家族の転機。わたしはようやく気付いた。そして、今までの自分のすべてを壊したくなって、人差し指を空にさし、引き金をひいて小さい嵐を起こした。急には変われない。でも風向きが変わったのはこの日から。

 

次回は「わたしが立ち直れた理由」。

 

 

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わたしはスポーツジム内のスパで働いています。職場入り口付近の巨大ポスター。

躍動感溢れていて、大好き。

 

定期的にかわります。このポスターに毎日パワーもらってます。
 
 

 

アリッサがカミングアウトして約2年間、わたしはどん底をさまよっていました。楽しい出来事があっても、笑っているわたしを別のわたしが冷めた目で制御する。「どうせ幸せになれないよ。笑う資格なし」と。

 

家族連れを見かけると、羨ましくて。「普通の家族」を羨ましがっているそんな自分が情けなく憎らしかった。

 

「自分は不運で、不幸で、これからずっとどん底」と信じてた。

 

 

そんなわたしを変える転機がやってきました。

 

 

わたしはその頃、市内の体操教室に通っていました。体操教室とはわたしが勝手に付けた名前。教室の本当の名前は “Body & Brain”。日本では「イルチ・ブレインヨガ」として知られています。韓国人のIlchi Leeさんがはじめたヨガとタイチの動きを取り入れた脳活性化プログラム。友人に誘われて教室に通うようになりました。

 

この体操教室で、ある日、 アリゾナ州のセドナから脳活性化プログラムの大先生を迎え、「精神を鍛え、真の自分を発見する」と題したセミナーが開かれました。体操教室の先生の強いすすめで、わたしも参加することにしました。

 

 

セミナーの最後にみなが座禅をくみ、瞑想するなか、大先生が韓国訛りの英語でみなに聞きます。

 

“WHAT DO YOU WANT IN YOUR LIFE?”  

“WHAT DO YOU WANT?”

 

「あなたは人生に何を求めているのか?」

「何がほしいのだ?」

 

 

熱のこもった大きな声で同じ質問を何度も何度も繰り返します。

 

 

しばらくすると、静だったスタジオ内ですすり泣きがはじまります。すすり泣きはやがて号泣にかわり、大勢の参加者が大声をあげて泣き出したのです。

 

わたしは正直、こわくなり、逃げ出したくなりました。

 

「新興宗教?」

 

「カルト?」

 

講師の大先生や、体操教室の先生方に失礼にあたらないよう 、最後までなんとかふんばったものの、セミナー終了後は挨拶もそこそこ逃げるように教室を後にしました。

 

 

帰宅後、湯船に浸かりながら、大先生の質問を胸のなかで繰り返してみました。

「わたしは人生に何を求め、なにを欲しているのだろう」。

 

 

答えは簡単でした。

 

「わたしは幸せになりたい」

「わたしは家族を幸せにしたい」。

 

 

そのときわたしは気がついたのです。犯人が誰なのかを。

 

 

アリッサじゃない。アリッサのカミングアウトのせいなんかでもない。

 

2年もの間わたしを苦しめ不幸にしていた犯人は、このわたしであることを。

 

続きは次回。

 

いつもブログを読んでくださってありがとうございます。わたしはこのブログを書籍化を目標にして、真剣に書いています。それは、トランスジェンダーの人たちと彼らが関わる人たちすべてに伝えたいメッセージがあるからです。このブログとほぼ同じ内容を下記のサイトにも掲載しています。「読んでよかった」ボタン押していただけたら本当にうれしいです。よろしくお願いします。

STORYS.JP

 

続きは次回。

 

 

Hello from LA

 

はじめました。カリフォルニアでトランスジェンダーのパートナーと娘2人の家族4人で楽しく暮らしている高山愛です。

はじめてのかたはこちらからどうぞ。

 

 
 
 
 
いつも仲良し。女の子ふたり産んでよかったな
 
 

 

アリッサがカミングアウトする4ヶ月前。ハイキング、また行きたい
 

 

今回は 娘自慢。耳をかっぽじってよく聞いておくんなせえ。目をかっと見開いて、しっかり読んでおくんなまし。

 

 

わたしたちの自慢の娘たち。

 

長女はアリッサの生き写し。若かりし頃、アリッサは「タイのトムクルーズ」と一部の熟女からもてはやされました。

 

長女はね、あるおかたから「平成の吉永さゆり」と褒められたんですよ。そんなふうに褒められたのは一度きりだけど、わたしはそれ以来、「うちの娘は平成の吉永さゆりです」と紹介するようにしています。

 

静かだけど、芯の強い長女。アリッサがカミングアウトした後、しばらくの間は、友達から好奇の目を向けられると「わたしのダディーは心は女なのに、男の体で生まれた。だから本来の姿に戻るために女性の格好をするようになっただけ」と、胸を張って説明していました。本当の話。この強さはどこから来たんだろう。

 

わたしが悲しくてつらい思いをしていたのをよく知ってるから、わたしを困らせるようなことをほとんど言わない。気を遣わせちゃって悪かったねえ。もう大丈夫だから、もうちょっと我が儘を言ってください。

 

絵を描くのが大好きで、将来はアーティストになりたいんだって。みんなを幸せにするような、優しい作品を作るよい芸術家になるよ、きっと。

 

 

次女の外観は「平成のキャンディーキャンディー」。

そばかすがいっぱいなとこだけ、わたしに似てる。ということはわたしの父にも似てる。高山家の血ですね。長女の顔をくしゃっと潰したしたみたいな、まん丸顔で、愛嬌のある顔しています。

 

シャイで偏屈なとこがあるけど、思いやりでいったらナンバーワン。映画の悲しいシーンではボロボロ泣いちゃう繊細で優しい子。

 

アリッサ思いで、アリッサが悲しい思いをしないよう、いつも見守っています。例えば、アリッサの服装と化粧が一般常識をはるかに超えていて、わたしが「それはちょっとどうかな?」と批判的なことを口にする。すると次女は「服を選ぶのも、どんな化粧をするのもアリッサの自由。マミーが口出しすることじゃない」とわたしを叱り、アリッサを守ります。そうだね、その通りだよね。

 

ビーガンのアリッサも甘い物を食べれるように、ビーガンデザート作りに夢中。将来は長女に内装を担当してもらい、ビーガンカフェを開きたいんだって。

 

 

娘たちはふたりとも大人しくて勉強嫌いだけど、優しくて強い子です。その優しさはどこから来たの?わたしじゃないね、アリッサからだね。短気で怒りっぽく、自分のやりたいことを追っかけることに夢中になってたわたしと違い、父親時代のアリッサは辛抱強く娘たちと向き合っていました。娘たちの話を最後まで聞き、どんなことがあっても彼女たちを怒らなかった。わたしは自由奔放で好き勝手で、怒りたいときは理不尽に怒ってたけど、「この父親がいるから娘たちはまっすぐ育つ」という自信がありました。

 

 

以前、娘たちのアリッサのカミングアウトに対する反応は

「受け入れてサポートした時期」、「怒りと反抗の時期」、そして「仲直りの時期」へと移行していったと書きました。

 

「仲直りの時期」は、暗くて長い冬の終わりを告げる雪解けみたいに、ひっそり我が家にやってきました。わたしがトランスジェンダーについて学び、理解し、アリッサを受け入れる努力をするようになったのと同じ頃。わたしの理解や思いやりが、伝染したかのように、そして本来の父親への愛情を思い出したかのように、娘たちはアリッサに対し、温和に、優しくなりました。

 

 

 

2017年の11月、横浜中華街占いの館、「愛梨」の鳳紫先生がロサンゼルスにみえた際に、わたしたちの家族について四柱推命で占っていただく機会がありました。

 

「アリッサさんとお嬢さんたちとの関係はもともととても良好。この関係をどういう方向に持っていくかは、母親である愛さん次第。ぶち壊すのも愛さん。さらによくするのも愛さん」と先生。先生はさらに「姉妹の相性は超がつくほど抜群。ふたりとも会社勤めは向いてないので、姉妹でビジネスをしたら大成功する」とおっしゃいました。

 

先生の言うこと、ストンと腑に落ちました。「家族の絆を一層強くするため、わたしが変わらなければいけない」と痛感しました。

 

娘たちよ大志を抱け。今の母ちゃんは怖いものなし。どんなすごいのが来たって、体当たりであなたたちを守ります。

 

 

次回はわたしの転機。題して「犯人は誰だ?」

 
 

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Hello from LA
 
はじめました。カリフォルニアでトランスジェンダーのパートナーと娘2人の家族4人で楽しく暮らしている高山愛です。
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今回の内容とまったく関係ありませんが、うちの長女は絵を描くのが大好き。

 

 

 

 

土曜日はアートスタジオに通っています

 

 

自宅から車で30分。送迎係りはあたし。娘とふたりきりで過ごす時間、とても大切。

 

 

 

 

アリッサとの家族体験を書くとき、わたしは、当時の自分の気持ちとシンクロします。「黒いドレスの女事件」のときは憎悪、「服を縫う女事件」のときは、能天気なアリッサに呆れつつも応援したい気持ち。

 

 

今回の「チケットをねだる女事件」は、わたしの知らない女に変貌し、迷走暴走する夫であった人に対する喪失感でしょうか。

 

 

アリッサがカミングアウトして約1年後の2017年の4月。わたしたちは家族で日本へ帰省することにしました。

 

両親が元気なうちに娘たちに会わせておきたかった

日本行きの激安チケットを購入できた

アリッサのカミングアウトでわたしの心が疲れていた

 

以上が一時帰国の理由。

 

当時、アリッサがはまっていたのは 、日本人バンド、L'Arc〜en〜Ciel (以降、ラクル)。ロサンゼルス近郊でラルクのライブコンサートが開催されるとき、アリッサは 最前列の席を確保するため、前日の夜からグルーピーたちと一緒に会場前に泊まり込むほどの熱の入れ様でした。

 

日本滞在予定中の4月8日にラルク結成25周年コンサートが東京ドームで開催されると知ったときのアリッサの興奮ぶりは尋常でなかった。

 

 

60万件におよぶチケットの申し込みが殺到したというプレミアム公演。「日本に住む日本人でさえ、入手が困難だから、アメリカに住んでいるあなたにはきっと無理だよ」というわたしの説得にはまったく聞く耳持たずのアリッサ。

 

予想通り、チケットは 一般販売開始直後に即売り切れ。その後、アリッサの会社の日本人の同僚、日本に住む彼女のお姉さんとそのご主人、わたしの友人で日本に帰国したSちゃんとそのご主人を巻き込み、すったもんだの末、アリッサは競売に出されたチケットを高値で入手したのです。

 

 

わたしはこのチケット入手プロセスに一切関わりませんでした。面倒に巻き込まれるのはごめんだったので、最初からアリッサに、「わたしは手を貸しません」宣言をしておいたのです。日本に住むお友達のSちゃんにも「面倒なことになるから、アリッサから頼まれても無視してね」と伝えていたものの、心優しいSちゃんとご主人は忙しい時間を縫って、チケットを手にいれるために尽力をつくしてくれました。

 

問題はここから。

 

アリッサ側の落ち度で、チケット代を立て替えてくれたSちゃんへの口座振り込みに問題が発生。日本到着前に口座振込をする予定が、うまくいかず、結局、日本到着後の振込になってしまったのです。直接会いに行き謝ってお礼をするのが常識。チケットを入手するのに大迷惑をかけただけでなく、支払い時期まで大幅に遅れてしまったのだから。

 

 

が、しかし、へそを曲げて逆切れしたアリッサ。「自分はできる限りのことをした。悪いのは自分じゃないので絶対謝らない」の一点張り。

 

「Sちゃんはもともと、あなたじゃなくて、わたしの友達なんだよ。友情にひびがはいるからお願いだから謝って。大人の常識はどこ?」というわたしの懇願も無視。結局、Sちゃんにはわたしが謝り、アリッサはイキイキとコンサートに出掛けていきました。

 

この事件でわたしが思ったこと。

 

 

アリッサがカミングアウトしたのは、女になりたかったのではなくて、

夫としての責任、

父親としての責任

社会人としての責任

すべての責任を放棄して、いい人であることをやめて、自分の好きなことを好きなようにやりたかっただけなのかも。

 

自分勝手で我がままな、わたしの知らない女が、責任感と正義感に溢れた、優しいあの人にのり移ったような錯覚を覚えた寂しく物悲しい事件でした。

 

 

今思うとアリッサもあの時はいろいろつらい時期だったのかな。彼女のなかで、私には相談できない何かが起きていたのかな。

今のアリッサは昔と同じで、責任感に溢れたきちんとした大人の女性です。


次回は娘たちについて。親バカ大将の娘自慢たい。

 

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