パパが女(アリッサ)になったとき LA発LGBTトランスジェンダー家族日記 -10ページ目

パパが女(アリッサ)になったとき LA発LGBTトランスジェンダー家族日記

「タイランドのトムクルーズ」とママ友からもてはやされたイケメンパパがある日突然「MTF(トランスジェンダー女性)である」とカミングアウト。苦労や苦悩もあったけど、私たち家族は大丈夫。LAから体験記を発信してきます。

毎朝愛犬ルナの散歩で通る道に、

立派な木が、


たくさんあって、

心が洗われる。この木はなんの木?


育児について。

アリッサがカミングアウトして、よかったことのひとつは、「人を自分の思うようにコントロールしたい」という願望を捨てることができたこと。


コントロールなんてできるわけがない。それに気づかずもがき苦しんでた。

コントロール願望を捨てたら生きるのがすごくラクになりました。

娘たちに習い事を押し付けるのやめました。

「疲れてるから宿題、したくない」と娘が嘆いたら、「じゃあ、今夜はゆっくり休んで明日の朝早起きしてやればいいんじゃない」って言う。

娘たちがまったりゴロゴロしてると、なんかわたしの気持ちがあせって「折り紙すれば?」「外で体動かしなさい」、「部屋のそうじは?」って、ガミガミ追い立ててたけど、「まったり時間も大切か」と思えるようになった。

そんなこんなで娘たちとの関係、以前よりずっとよくなりました。これはアリッサのカミングアウトのおかげかな。

今日のアリ。ヘアはカーリー、メークはパステルパープル。

中学校の吹奏楽部の発表会。「練習しろ」ってうるさく言うの辞めたら自分で勝手に練習するようになりました。

子供はスパゲッティーミートソース。

アリッサは豆腐

 

Hello from LA

 

 

はじめまして。カリフォルニアでトランスジェンダーのパートナーと娘2人の家族4人で楽しく暮らしている高山愛です。

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シアバター、ペパーミント、アップルサイダービネガー入りのleave-in-connditoner

アリッサの愛用品。わたしもこっそり使ってます

 

 

 

日系マーケットで日本のシャンプ−&リンスのサンプルをもらって使用した娘たちが「すごい、髪がサラサラ!」と感激してました。シャンプーひとつで、髪質がそんなに改善するんだと今さらながら気付き、早速ヘアケア専門店へ。店員さんのおすすめでこれを使うことに。

ヘアエクステンション。いろいろ持ってます。わたしが知らないうちに増えてるのがこわい。この写真もこわい
 

「髪は女の命」と昔の人は言ったものです。内面も外観も「完璧な女」を目指すアリッサにとって、もちろん髪は命。ヘアケアにかけるアリッサの情熱はもうなんというか、五右衛門風呂での釜ゆでの刑級って言ったらわかってもらえるでしょうか。情熱が熱すぎてやけどしそう。

 

そんなアリッサ、生え際がちょっと後退しつつあるのが、気になるようで、いろいろ試みています。「もやしを食べると毛が生える」とヘアスタイリストをしているお友達から聞いて、もやしを自家栽培したり(もやしが育つ姿が気持ち悪かったようで、すぐやめました)、抜け毛防止のため、シャンプーは週一のみにしたり(わけわからない)。ヘアケア商品もあれこれ試しましたよ。

 

試行錯誤して辿り着いた解決策はヘアーエクステンション。地毛にクリップで止めるだけで、髪にボリュームがでて、好きなようにアレンジできるし、見た目もナチュラルでかわいい。

 

はじめてエクステンション付けたときのアリッサ、ほんと、幸せオーラーに満ち溢れてました。エクステンションひとつでこんなに幸せになれるなんて、髪はほんとにアリッサの命なのね。

 

 

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アリッサ用に無国籍ビーガン料理。煮込み料理なのに、レタスをちぎっていれちゃって、もうなんだか、ちゃんこ鍋状態。なんでもあり

 

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娘とわたしはきちんと麻婆豆腐。

 

 

長女撮影。「雨があがったよ、お日様が出て来たよ。青い空の向こうには虹がかかったよ」。宇宙の力が守ってくれてる感じで気持ちええよ、虹の下にいるのって。

 

アリッサのお友達、豊かだねー。昔、すいカップという言葉が流行ったけど、今はなんというのかな?こういう豊な感じの胸。アリッサに「本物かな?」と尋ねたら「失礼にあたるから、そんなこと聞いちゃダメ」だって。そんなの、わかってるよ、ふんっ。
 

今日はおっぱいのお話。

 

同僚でマッサージセラピストのオリビアちゃんとの会話。

 

わたし:豊胸手術を受けたお客さんで、「おっぱいが重たすぎて肩首凝りまくり」って嘆いてる人、多いよね。高いお金だして、後で苦労するなら(手術を)受けないほうがいいのにね。わたしはちいパイだけど、絶対受けない。

 

 

オリビア:"Are you serious?". わたしの友達はみーんな大きくしてるよ。わたしも子供が生まれて、胸が垂れてきたら、絶対受ける。肩首凝っても平気。きれいなおっぱいのほうが大切。

 

スタイル抜群なのに、オリビアちゃんったら。

 

オリビアちゃんによると、彼女の友人知人の間では豊胸手術なんて当たり前すぎ。まるで新しい化粧品やバックを買ったときのように、”I got new boob  job”って恥じらいもためらいもなく、みんな新しいおっぱい自慢し合うそうです。

 

昭和48年栃木県生まれのわたしはびっくりたまげたよ。

ちなみに、豊胸手術の費用は平均3700ドルだそうです。

 

ホルモン治療でアリッサの胸はちょっと大きくなったから、わたしとアリッサの大きさは同じくらいかな。どんぐりの背比べ。胸の大きさだけはアリッサに負けたくないな。

 

 

久しぶりのブログ。
わたしたち家族のトランスジェンダー体験記で書きたいことはすべて書ききったので、今回からはカリフォルニアのスライパン一家の日常を綴っていきたいと思います。

アリッサは先だって誕生日を迎えました。”Age is just a number”とアリッサ。20代にしか見えないってみんなに言われるそうです。よかったね。お誕生日おめでとう。

Downtown LAに位置するGrand Central Market でお祝い。美味しいのがいっぱいあるよ


パスタ専門店。イカスミはもちろん、タコのパスタもあるよ
Veganのアーモンドバター&ジャムサンドイッチのお店。アメリカではピーナッツバターとイチゴジャムサンドイッチが主流ですが、ここではアーモンドバターとAçai のジャム





 Vegan icecream (ココナツミルクベース)でご満悦


締めは桜。カリフォルニアの桜は日本のとはちょっと違う。大雑把な感じだけど、アメリカ生まれのこの娘たちには違いはわからんね。

ハッピーな1日でした。

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「パンセクシャル」(全性愛者)とは「どんな性別でも好きになれる人」のこと。同じ会社のパンセクシャルの女の子から人伝に「アリッサはクールでキュート」って言われたそうです。よかったね、アリッサ。恋愛に発展したら、わたしは祝福できると思う。

 

 

 

家族の形態が変わっていくなか、「わたしたちファミリーは最前線を走ってて、かっこよすぎ。めちゃイケてる」。なんて胸を張れる日が来るといいな。残念だけど、今はまだ無理。隅っこでひっそり暮らしてます。

 

 

今回はわたしたち家族日記の最終章。「わたしが伝えたいこと」。

 

 

家族体験記を書こうと決意したのは、夫であったあの人がカミングアウトしてから約2年後のこと。 「パートナーがトランスジェンダーでも気にしない」と思えるようになっていた頃でした。

 

体験記として文章を綴っていくということは、あの頃の自分に帰るということ。当時の感情に自分をシクロクさせること。

 

晴れて女になって浮かれるアリッサ。ドロドロして、暗くて、みじめで恨みがましい自分。忠実に、正直に毎日体験記を書きながら、あの頃の自分や、アリッサ、そして娘たちを思い出し、大泣きしたり、怒りで胸くそ悪くなったり、自己嫌悪で落ちこんだり、深く反省したり。

 

そして気付きました。強がっていただけ。わたしは心の奥底に感情を押さえ込み、「もうだいじょうぶ」と思い込んでいただけだったのだと。 文章を綴っていくうちに、閉じ込められていた感情がどっと溢れ出し、毎回、華厳の滝のように涙が流れました。

 

「書くことで女は救われる」。昔、女性誌で見たあの見出しはその通りでした。わたしは家族体験記を書くことで救われた。

 

あの時の アリッサの行動、アリッサの気持ち、わたしの誤解や偏見、わたしが取るべきであった行動を見つめ直すことができ、アリッサと向き合い、深く話し合うことができた。

 

今はサウナで汗をかき、垢擦りしてもらい、体内の老廃物をすべて排出し、解毒したあとみたいに、すっきり爽やかな爽快感を感じています。

 

 

わたしたち家族の希少な体験を記録に残す。自分の気持ちを整理する。そして、トランスジェンダーの人たちや当時者に関わるすべての人たちにメッセージを伝える。そんな理由で書きはじめた体験記。書きながら、わたしがしなければならない、もうひとつの大切なことに気付きました。それは、アリッサにわたしの今の気持ちを伝えること。

 

先日こんなことがありました。朝、娘を学校まで車で送った帰り、ブレーキの調子が悪いことに気付きました。ディーラーに修理に持っていくと、「すぐには修理できないので、車は残して、後でまた来てほしい」とのこと。

シャトルで帰宅したものの、車を取りに行くときの足がない。Uberを利用するつもりで、取りあえず、アリッサに報告だけしておこうと思い、テキストしました。すると「Uberなんていらない。ランチタイムだから、今から、帰って、愛をディーラーまで送り届ける」とアリッサ。職場から自宅まで30分かかるのに。

 

アリッサに、夫だったときのあの人を感じて、泣きました。優しくて、強くて、わたしをいつも守ってくれたあの人。

 

イソップ物語の北風と太陽だったら、あの人はいつも太陽。押しつけがましいことは絶対しない。 温かい光で包み込んで、正しい行動を取るように導いてくれる優しい太陽。

 

カミングアウトしてから長い間、わたしは色眼鏡をかけてアリッサを見ていました。被害者の色眼鏡。夫に突然捨てられた女の色眼鏡。トランスジェンダーに対して偏見を持つ人間の色眼鏡。

 

2年半が経ち、思い込みの色眼鏡から解放されて 、やっと気がついた。アリッサの本質は変わっていない。ホルモン治療の影響や、女として堂々と生きていけることの喜びで、確かに浮かれ過ぎていた時期があったけど、今ならわかる。外観はすっかり女になったけど、中身はかわってない。 アリッサはあの人のままで、まだわたしたちのそばにいる。

 

 

 

「受け入れてほしい」。カミングアウトしたとき、当事者が切実に願うこと。アリッサの怯えたような目は、いつでも「認めてほしい、受け入れてほしい」と懇願していたのに、わたしはまるで汚いものを見るような視線を投げ返していた。受け入れることを頑に拒み、周囲に対し羞恥心を抱いていた。

 

だから、わたしはアリッサに謝らなければならない。 言葉にして、手をついて謝らなければなりません。

 

 

ごめんなさい。アリッサ。わたしはあなたにとても酷いことをしてきました。ずっと耐えてきてつらかったと思います。カミングアウトするには凄く勇気がいったと思います。”I am very proud of you. My girls are very proud of you too”. 

 

わたしが抱いていた家族の将来像は壊れて粉々になりました。わたしたちのひびだらけだった夫婦関係も、壊れて粉々になりました。気持ちがよいくらい、完全に壊れてしまったから、今度は一緒に、ゼロから新しいモノを作ればいいよね。

トランスジェンダーでもだいじょうぶ。わたしたち家族はもうだいじょうぶ。

 

 

家族や周囲の人たちへ

わたしのメッセージはとてもシンプルです。自由の国と言われるアメリカでさえ、世の中は偏見に満ちていて、自分らしく生きることはまだまだ難しい。わたしたちができること、しなければならないことは、安心して帰ってくることができる居場所を確保してあげること。彼女たち、彼らは、無知で無関心な人たちからの偏見や憎悪と毎日戦い、時には孤独に震え、ときには怒りや、やるせなさで涙を流しています。トランスという理由だけで、罵声を浴たり、暴力を受けることがあります。 家族や友人、コミュニティーの誰かが、彼らに安心できる居場所を作ってあげないと、 彼らが自ら命を断ってしまうことだってありうる。悲劇は日常的に起っているのです。

 

アリッサがカミングアウトしてまず頭に浮かんだ「離婚」という言葉でした。離婚をしなかった理由のひとつは、わたしが子供たちを連れて出て行ったら、アリッサがダメになってしまうことを無意識に感じていたから。当事者があなたにとって大切な誰かなのであれば、側にいて支えてあげてください。

 

知識は最強の武器であり防具になりえます。トランスジェンダーの人たちや他の家族の体験を知り、自分を教育することがとても大切だと思います。わたし自身は、行動を起こすまで2年もかかってしまい、今、それをとても後悔しています。

トランスジェンダーについて学び、当事者たちの苦悩、かれらを取り巻く人たちの気持ちを知ることで、アリッサに対する感情がまったく変わり、アリッサの立場で物事を考えることができるようになりました。

 

人は未知なもの、接したことのない物事に恐怖を感じる。知識が欠如しているから、怖いと感じ、偏見を持ち、差別をすることで自己防衛するのだと思う。だから、当事者の家族や周りの人間は、無知な人たちに教えてあげなければならない。「LもGもBもTも、みんな普通。わたしたちとなんのかわりもない」と。

 

トランスジェンダーの人たちへ

あなたが、大切な人だからこそ、家族や親しい人たちは傷付き、喪失感を感じ、受け入れることができないのだと思います。周囲が受け入れてくれるまで時間がかかるかもしれないけれど、辛抱強く待ってほしい。(アリッサのメッセージと同じだけど)、自分を愛し、受け入れて、強くなってください。

 

そして、辛抱強く待って、待って、待って、それでも家族や親しい人たちから憎しみを感じ続けるのであれば、そんな彼らのことはほっておいて、新しい自分の人生を生きればよいのかなと思います。

 

 

物事を白と黒とでしか判断できない人は損ですね。あいまいなグレーがあってもよいし、レインボーみたいに、いろんな色があったら、ワクワクする。偏見を捨て、多様性を受け入れ、虹色の美しさ、「違い」をみなが「いいね」と思える 日が少しでも早く来てほしい 。わたしはそう願います。

 

 

 

 

 

トランスジェンダーであることを公表しているティーンエイジャー、ジャズ・ジェニングの体験談。この本を読み、彼女と彼女を取り巻く人たちの生活を映像に納めたリアリティーショー、"I am Jazz"を見て、アリッサのことをもっと理解できるようになりました。メディアで取り上げあげられるとき、ジャズはいつも満面の笑顔を浮かべて、キラキラしているけど、トランスジェンダーのジャズの本当の生活は苦悩に満ちています。家族の強い絆とサポートがジャズを支えています。

 

 

トランスジェンダーについて、子供向けに優しく説明している絵本、"I am Jazz"。前述のジャズ・ジェニングの幼少期の体験をもとに書かれています。アリッサもこの本を読み聞かせ、娘たちにトランスジェンダーについて説明しました。

 

知識は武器。この一冊を読んでから、トランスジェンダーの人たちに対する考え方がすっかり変わりました。
 

いつもブログを読んでくださってありがとうございます。わたしはこのブログを書籍化を目標にして、真剣に書いています。それは、トランスジェンダーの人たちと彼らが関わる人たちすべてに伝えたいメッセージがあるからです。このブログとほぼ同じ内容を下記のサイトにも掲載しています。「読んでよかった」ボタン押していただけたら本当にうれしいです。よろしくお願いします。

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ポールダンスタイム。キラキラしてるね、アリッサ。

 

ワンダーウーマンみたいな人がいると思ったら、アリッサでした
 

アリッサに直撃インタビュー、最後の質問。

「アリッサ、まだカミングアウトしてない人へメッセージ、アドバイスはありますか?」

 

 

トランジションのプロセスはその人その人によって違うと思うので、一概に「こうするべき」というアドバイスはできません。ただ、自分と向き合い、「幸せになるにはどうするべきか」という質問を投げかけてみるべき。カミングアウトを急ぐ必要はありません。

 

一番大切な最初のステップは、自分自身にカミングアウトすること 。トランスジェンダーであることは罪ではないし、悪いことでもない。自分に優しくなって、自分を受け入れてあげてほしい。自分の内面を見つめ、自分がトランスジェンダーであることを認めること。カミングアウトした後、辛く悲しい経験をするかもしれない。困難を乗り切るには、まず自分自身を受け入れることが鍵になると思う。

 

 

あせらず、ゆっくり時間をかけて準備してほしい。本を読み、映画を見て、オンラインの文献に目を通し、トランスジェンダーに関する知識を深めてください。カミングアウトする相手にきちんと説明できるように。

 

 

信頼できるセラピストをみつけて、とことん話し合ってください。カミングアウト前のわたしにとって、ジェンダーセラピストのケーシーは唯一の心の拠りどころでした。本来の自分でいられる場所。的確なアドバイスをしてもらい、自分に自信を持つことができたし、カミングアウト前にするべきことがケーシーからのアドバイスによって明確になりました。悩み、不安、不満など心のなかに溜まっている感情を、自分の親しい人たちのサークル外の他人に打ち明けることはとても大切だと思います。

 

 

カミングアウト前に、サポートシステムを確保してください。近隣のLGBTQコミュニティーにコンタクトを取り、ミーティングに参加して仲間を見つけることが大切。すでにカミングアウトした人たちの体験談を実際に会って聞くことはとても大切です。自分に起こりうることを想定できると思うので。また、家族や友人、同僚に拒絶され場合、LGBTQコミュニティーの仲間が強い支えになってくれるはず。

 

わたしは長い間、クローゼントの中に身を隠していました。周囲の反応が怖く、怯えて小さくなっていました。でも、思い切ってクローゼットの扉を開けたら、素晴らしい世界がわたしを待っていました。周囲の人があなたを受けいれるのに、時間がかかるかもしれない。あなたの愛する人たちは、過去のあなたがいなくなることの喪失感で打ちひしがれるかもしれない。でも、あせらず辛抱強く待ってください。

 

 

次回はいよいよ最終章。「わたしが伝えたいこと」。毎日更新してきましたが、ちょっぴりお休みして、頭の中を整理して書きたいと思います。

 

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お花と手作りカードの贈り物

 

 

 

今回は直撃インタビューをお休みして、ちょっとうれしかった出来事について書きます。

 

今日(土曜日)の夕方、愛犬の散歩をしようとドアをあけると、家の前の芝生の上にかわいらしい花束と手作りのカードを見つけました。贈り主は次女のクラスメート。

 

金曜日、次女は悲しそうな顔で、目にうっすら涙を浮かべて帰ってきました 。話を聞いてみると、頭痛がして体がぞくぞくするとのこと。調べてみると案の定高熱がありました。内気な次女は、先生やお友達に、気分が悪いことを伝えることができず、学校でずっと我慢していたようです。

 

お友達のカードには英語で「金曜日は元気がなくて悲しそうだったので、心配してます。個人的なことで話したくなかったら、話さなくてもいいよ。でも、わたしがいつもあなたのそばにいることを忘れないでね」と書かれていました。

 

幸せな気持ちが溢れて、涙になって流れました。10歳の小さな女の子の大きな思いやり。「優しい友達と一緒に学校生活を送ることができて幸せだな」とほのぼの、うれしい気持ちでいっぱいになりました。

 

実を言うと、学校帰りの次女の顔に、涙を見たとき、漠然とした不安に襲われました。「アリッサのことで友達になにか言われたのかな?」「トランスジェンダーについてなにか不快な質問をされたのかな?」って。

 

もし誰かが、わたしに対して、好奇の目を投げかけたり、不躾な質問をしたり、悪意のある態度で接したりしても、わたしは全然平気。相手につばをかけて、反撃にでる。もしくは完全無視。もしくは無知な相手を教育してあげる。もう傷つかないし、落ち込まない。

 

ただ、娘たちが「親がトランスジェンダー」という理由でいじめられたりしたら?自分の子供を完全に守ることはできない。今は優しいお友達に囲まれて、毎日楽しそう。でも、来年のクラスがえはだいじょうぶかしら?中学にはいったら?高校は?

 

 

わたしができるのは、娘たちに「家庭」という、安心できる心地よい居場所を提供することだけ。娘たちに、強くなってほしいと願うだけ。

 

 

小さな女の子の贈り物にうれしさと不安が交差しました。

 

次回はアリッサに直撃インタビューシリーズ、最終回。

「カミングアウトをしていないトランスジェンダーの人たちにメッセージはありますか?」

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このストーリーを読んでくださってるみなさんはきっと「高山愛という人はさぞかし根暗なんだろうな」と思ってらっしゃることでしょう。実は…、その通り、根暗なんです。だけど、美味しいモノを食べると、ハイになってちょっと明るくなるので、いつも美味しいモノを作る心掛けています。最近、はまってるのは、アーモンドミルクとチアシードで作るチアプリンと、

 

 

アボガドトースト。トーストの上にアーモンドバターを塗って、完熟アボガドとソテーしたほうれん草をのせて、軽く塩ふって食べます。美味しすぎて、根の暗いわたしも元気溌剌。
 

 

 

わたくしこと、高山愛は根が真面目です。知り合ったばかりの人との会話が家族の話題になったとき。”My husband” とか” He”といった言葉を使うのに躊躇してしまう。だって、アリッサはもう夫じゃないし、”He”でもない。

 

うそをつくことの罪悪感に苛まれて、ついつい、「実は、わたしのパートナーはトランスジェンダーなんです。2年前にカミングアウトしたんです」と、いらない説明をしてしまう。バカ正直に、事実を言わなくてもいいのにね。きっと相手も戸惑うはず。

 

トランスジェンダーのパートナーを持ち、はじめて感じました。「英語で頻繁に使う代名詞、”she”とか “he”ってやっかいだな」って。

 

 

さてさて、アリッサへの直撃インタビューシリーズ5弾。

「アリッサさん、どんなふうに紹介してほしい?」

 

新しく出会った人には「わたしのパートナーのアリッサです」と紹介してほしい。代名詞としては”she”ですね、もちろん。

 

愛は会話の相手に「このふたりはレズビアンカップルだ」と思われるのがイヤかもしれない。わたしとしてはトランスジェンダーであることをわざわざ触れる必要はないと思うし、できる限り口にしないでほしい。

 

ここ数年、アメリカでは男女を区別しない代名詞として、”she” “he”のかわりに”they”や”ze”を使う人がLGBTコミュニティー内や大学で増えています。例えば、”Alyssa likes chocolate”のかわりに”They (Ze) likes chocolate”と言った感じに。男でも女でもない三人称が”they”や”ze”。

 

それだけ、トランスジェンダ−の人たちや、自分の性が定かでない人が増えているということでしょうか。書類上の名前もすべて変更し、自分を女性だと思っているので、”they”という三人称でよばれたくない。

 

ただ、大学で書類を提出するとき、性別を記載する欄に”She, He, They”の選択肢ができたのは素晴らしいことだと思う。トランジションの途中の若い人たちに希望を与える歓迎すべき変化だと思います。

 

トランスジェンダーの人たちは三人称の代名詞に対し、とても敏感です。去年、バージニア州で、トランスジェンダーの生徒に対して、生徒が希望する三人称(この場合、生徒は女性から男性にトランスしたので、”He”)を使うことを拒否したため、高校教師が解雇されるという事件がありました。この高校教師は敬虔なキリスト教信者で、拒否したのは宗教上の理由でした。

 

教師として、みなから尊敬され愛されていたため、解雇を知った生徒たちが、学校で大々的な抗議をし、メディアでも大きく扱われました。

 

みなこの高校教師に同情するかもしれない。わたしは、この一件後の、トランスジェンダーの生徒のことが心配。「周囲から叩かれ、いじめられて、彼こそ、居場所を失ってしまったのではないか?」と。

 

 

アリッサはもともとシャイで社交的ではない。例えば、娘たちのサッカーの新しいシーズンがはじまり、新しいチームが結成されて、親同士が初めて挨拶を交わすとき。まず、わたしが他の親たちと仲良くなり、それから、夫(であったアリッサ)を紹介するのが常だった。

 

カミングアウトの後、わたしたちのことを知らない人たちにアリッサをどう紹介してよいのか、わかりませんでした。レズビアンカップルと思われるのもイヤだったし、娘たちの父親(であったアリッサ)がトランスジェンダーだと知られるのもイヤでした。だから、アリッサのことを紹介するのをあきらめていました。きっとサッカーママ(とパパ)たちはアリッサの存在を訝しがっていたと思う。

今となってはもうだいじょうぶ。アリッサの希望通り、「この人の名前はアリッサで、わたしのパートナーです」と堂々と胸張って、紹介できると思う。今シーズンは終わっちゃったから、今年の9月からね。

 
 
 
 
 

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前髪切ってもらって、ご機嫌アリッサ。目に力があって美しい

 

 

アリッサに直撃インタビューシリーズ、第5弾。

「カミングアウト後に悲しみ、怒り、絶望を感じたことはありますか?」

 

 

一番悲しかったのは、事実を知ったパートナーの愛から「怒り」を感じたこと。そして、「子供がいなかったら即離婚」と言われたこと。カミングアウトする際に、一番恐れていたことは、愛や子供たちを失うことだったので、離婚という言葉に絶望感を覚えた。

 

愛が怒りを感じたのは当然。先に子供たちに真実を伝えたのはわたしの過ち。子供たちが母親に話すとは予想もしなかった。このことは今でも後悔しています。

 

カミングアウトの後しばらく、愛が泣いているのを頻繁に見かけた。それが自分のせいだとわかっているのに、なにもできないのがつらかった。

 

家族に対して怒りを感じたことはありません。会社ではあります。人事課の代表者が新任の上司ふたりに、わたしがトランスジェンダーであることを伝えたこと。これはわたしが自ら伝えるべきことであって、第三者が伝えることではない。

 

後に、わたしの許可なしに新任の上司に事実を伝えた理由を人事課代表者に聞きました。すると彼女は「あなたに働きやすく安全な職場環境を提供したかった」と答えました。それは違うでしょ。社内でのカミングアウトはとてもうまくいき、わたしはすでに働きやすく安全な職場環境を得ていた。新しく来た上司にわざわざわたしがトランスジェンダーであることを知らせる意味なんて、まったくなかった。

 

みんなゴシップが大好き。知り合いの誰かがトランスジェンダーだと知ったらみんな喜びいさんで噂話に花を咲かせると思う。ほっておいてほしい。噂話をやめてほしい。怒りを感じる。だから、もし立場がいれかわったら、自分は噂話なんか絶対しない。噂話をして浮かれてる人は、暇でかわいそうな人間だと思う。

 

 

タイの両親は、カミングアウトの前は年に2回はわたしたちに会いにロサンゼルスに遊びに来ていました。カミングアウト後はまったく来なくなりました。ときどきメールで写真とともに近況報告をするのですが、母親から「女性になったあなたと孫が一緒にいる写真を見るがつらいから、写真を送らないでほしい」と言われました。母親の気持ちがよくわかる。彼女の気持ちをレスペクトして、写真はもう送らない。母の心情を思うと胸が痛む。

 

学校で「父と娘のダンスパーティー」とか「母と息子のダンスパーティー」というようなイベントが開催されるとき、学校側はなんて無神経なんだろうと腹が立ちます。今、家族の形態は様々で片親がいない家庭は少なくない。片親もしくは両親のいない子供たちの気持ちを考慮して、みなが楽しめるイベントを開催してほしい。

 

自分の体のことを思うとときどき悲しくなる。大きな手、骨太なところなど、努力しても変えられないことがたくさんある。鏡を見て、自分の体に男を感じるとき、とても切なくなる。昨日、職場でプロの写真家を招いて、写真撮影がありました。できあがった写真のなかのわたしは、まだまだ男らしくて、その写真を見た人はわたしがトランスジェンダーであることに気付くのではないかと、不安になりました。セルフィーでしたらもっと上手に取れるのに。

 

 

アリッサ、わたしはもう怒ってないよ。もう、隠れて涙を流すこともない。そう簡単に流れないだろうけど、お互い過去のいろいろを水に流せたらよいね。

 

噂はコントロールできないよ。他人には好きなように言わせておけばよい。人がどう思うかなんて気にしないで、堂々と生きられるようになりたいね、お互いに。

 

次回の質問。「どんなふうに紹介してほしい?」

 

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男女共用トイレのサイン

 

 

スタバのはこれでした

 

アリッサに直撃インタビューシリーズ第4弾、「はじめて女性用トイレを使った感想は?」

 

 

 

初めての女子トイレはカミングアウト前のこと。トランスジェンダー専門のセラピストにカウンセリングを受けているときにセラピストのケーシーにすすめられて、彼女のオフィスの女性用のトイレを使用しました。1人用のトイレだったので、特に緊張はしませんでした。いまでも思うことですが、女性用トイレは男性用よりきれいだし、よい匂いがして使い心地がよいですね。

 

女性は用をたすとき、 音を立てない。男性は大きな音を立てて用を足します。わたしは性別適合手術を受けていないため、男性器がまだあります。だからどうしても小のとき音がでてしまう。音をなるべく小さくしたいので、用を足す前に便器の中にトイレットペ−パーを沈めるようにしています。わたしが生み出した防音対策。

 

トイレよりも緊張したのがヨガスタジオでのロッカールーム。ヨガ専門の大規模なスタジオに通っています。カミングアウト前はカラフルなヨガウエアを着ていたけど、外観は中途半端でした。男性用のロッカールームで着替えていると、男性のメンバーから何度もぎょっとされました。カミングアウトの直後にスタジオのマネージャーに事情を説明すると「あなたが好きなロッカールームを選んだらいいわよ」と言ってくれました。

 

女性用のロッカールームを使用するのはとても緊張しました。みんな堂々と服を脱ぐでしょ。ホルモン治療で、胸は膨らんだけど、わたしの胸はとても小さいし、男性性器もある。でも、そのうち、女性でも胸がとても小さい人がいることがわかったし、露出しないで、上手に着替える方法も身に付けました。

 

トレイに関してもロッカールームに関しても、今まで一度も他人から文句を言われたことはありません。

 

 

 

トイレ法 、”Bathroom Bill”って聞いたことがありますか?「トランスジェンダーの人たちが自分の心の性に応じてトイレを使用する」権利を定めた法律のことです。

 

州によって法律が異なります。カリフォルニア州では2017年の3月1日から、「1人しか入れないトイレはジェンダーニュートラルとして(性別を排除して)提供しなければならない」という新たな法律が施行されました。

 

トイレのサインに関する決まりもあって、サインもジェンダーニュートラルにしないといけません。”Unisex”、 “Gender Neutral”、 “All Gender Bathroom”とかね。

 

カリフォルニアに住むわたしはとても幸運です。なぜなら、全米には「出生証明に記載された性のトイレを使用しなければならない」とトイレ法で定められている州も たくさんあるから。

 

「女性であることを主張し、男性が女性のトイレに自由に入ることができるようになると、レイプなどの性犯罪が増える」というのがトランスジェンダーの人たちのトイレ使用の権利を 否定する人たちの言い分。

 

トランスジェンダーの人たちのなかには自分の心の性とは異なるトイレを使用しなければいけないことに、恥じらいや怒りを感じ、公共のトイレを使用することを拒否または我慢する人がたくさんいます。また、トランジションの途中で、外観が男か女かまだ中途半端な状態で、心の性に応じたトイレにはいり、閉め出しをくらったり、暴力を振るわれるというケースも少なくないと聞きます。

 

 

 

日本のみなさんには「アメリカは自由の国」というイメージがあると思います。「アメリカはLGBTの人たちが住みやすい国」と思っている人も多いかもしれません。

 

でも実はそうではない。アメリカは「宗教の自由」が憲法で保証されています。保守的なキリスト教信者のなかには宗教的な信念によって、同性愛や、同性婚、そしてトランスジェンダーを受け入れない人がたくさんいる。トイレ法でトランスジェンダーの人たちがトイレ使用の権利を認められないのは、アメリカが宗教国家であり、差別国家であることを示唆しているとわたしは思います。

 

 

 

うーん、アリッサはトイレで音を立てないように、そんな努力をしてたんだ。娘たちにその話をしたら、すでに知ってました。わたしは知らなかった。

 

 

 

 

映画 "Hidden Figures"

 

 

NASAで行われた有人宇宙飛行計画を裏で支えた黒人女性計算士の活躍を描いた映画、Hidden Figures(邦題:ドリームス)。映画のなかで、キャサリンは配属されたオフィスに白人専用のトイレしかなかったため、1キロ離れた場所にある黒人用のトレイまで毎回往復しなければならなかった。映画の舞台は1961年。

全米でトランスジェンダーの人たちが差別なく、トレイを使用できるようになるばで、後何年かかるのかな。

 


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